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きょうの社説 2009年6月26日
◎県議会定数3減 「4年後の見直し」も確実に
石川県議会の選挙区・定数見直し議論は、自民党県連が県議定数を3減とする案を了承
したことで、事実上決着した。市町村合併で市町村議員は全国的に大幅に減った。県議も率先して身を削るのは当然であり、総論賛成・各論反対のなかで、議長答申にまでこぎつけた関係者の努力を多としたい。答申には人口減を考慮してさらなる見直しを示唆する文言が盛り込まれた。削減により 議員定数は46から43となるが、富山県議会は既に定数を40にまで減らしている。石川県議会も4年後には再度見直しを協議する必要があるだろう。議会内のコンセンサスを今のうちから固めてほしい。 県議会で過半数を占める自民は当初、総定数を4減とする方針を決めていた。選挙区・ 定数検討懇談会の自民側委員7氏が今年1月に合意したことで、自民を軸に各会派の意見集約が進むはずだった。ところが、新進石川、清風・連帯、公明は4減のうち金沢市選挙区での2減を求める自民に強く反発し、1減を主張して譲らなかった。自民は新進石川などにじりじりと押し込まれるかたちで、鳳珠郡、七尾市、金沢市を各1減とする最終案に落ち着いた。 定数4減であれば、法定数48に対する削減率は12・5%となり、都道府県議会の平 均削減率10・3%を上回っていた。定数3減では削減率は10・4%とほぼ平均値にとどまる。定数4減を「既定路線」と受け止めていた県民からすれば、キツネに化かされた思いだろう。 金沢市の定数2減に反対した議員の一人は、「金沢は世界を見て仕事をしている。議員 を減らすわけにはいかない」と語ったが、中身の濃い仕事をしていると胸を張って言える議員は何人いるだろう。県民の目は、議員各自の「自己採点」以上に厳しいと見てよいのではないか。 定数3減をもって定数問題に一区切りついたと考えている議員がいるとしたら、大きな 間違いだ。人口規模から見れば、石川県議会も富山県並みの定数40ぐらいが妥当な水準と思える。次回の見直しでは、これを一つの目安として削減に取り組んでほしい。
◎後絶たぬ献金疑惑 法律の空洞化は甚だしい
西松建設の巨額献金事件に続き、今度は与謝野馨財務相と渡辺喜美元行政改革担当相に
迂回献金疑惑が浮上した。商品先物取引会社が幹部社員から集めた金を政治団体を通じて献金していたとされるが、これは西松事件と似た構図である。このままでは政治資金収支報告書に正しく記載され、収支が明らかになっていても、金の出所を調べれば企業というケースが他にもあるのではないかと疑われても仕方ないだろう。与謝野氏は小沢一郎民主党代表代行と同様、「適法な献金で、きちんと処理をしている 」と釈明した。小沢事務所が献金の仕組みづくりを主導したと検察側が断じた西松事件とは同列に論じられないが、法律違反の有無はともかく、今回も企業が政治団体を隠れみのにして献金した疑いが濃厚である。実態が企業献金であっても、受け取る側が疑惑浮上のたびに金の性格は知らない、知る必要もないと繰り返せば、政治資金規正法は空洞化するばかりである。 一連の疑惑はそれらが「氷山の一角」ではないかという法自体の信頼にかかわる重大な 問題を抱えている。民主党は3年後に企業献金を廃止する法改正案を国会に提出したが、自民党もこの問題にいつまでも及び腰でいるわけにはいかないだろう。 企業が利益を追求し、政治家は政治資金を求める以上、企業献金は見返りを求める性格 を帯びやすい。その典型が小沢事務所からの「天の声」に期待し、献金を通じて公共工事受注の見返りを求めた西松事件である。 検察側は西松建設前社長の公判で「建設業者と特定政治家との金銭的癒着を国民の目か ら覆い隠した」と指摘した。表のカネの流れを透明化し、企業と政治家の関係を見えにくくしている行為こそ、規正法の趣旨を踏みにじる極めて悪質な犯罪という解釈である。 民主党の案では企業献金禁止と同時に、個人献金拡大へ向け、一定額までの献金を所得 税の税額控除の対象とすることなども盛り込まれている。自民党も企業献金に依存せず、個人献金を促す仕組みを真剣に検討するときである。
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