4月19日・20日の二日間、中国に出掛けてきました。先月の韓国に続き大臣に就任して2度目の海外出張でしたが、連日の国会での消費者庁法案審議の合間を縫っての出張ということもあり、一泊二日、しかも上海、北京の2大都市を回るといった相変わらずの忙しいスケジュールでした。
今回の主な目的は、国際原子力機関(IAEA)の主催のもと、北京において4月20日~22日の日程で開催された「21世紀の原子力エネルギー」閣僚級会合に政府代表として出席・演説を行うというものでしたが、これに加えて、科学技術政策の分野で、万鋼(ワンガン)中国科学技術部部長との会談、また、消費者政策の分野で、周伯華(ジョウボウホァ)中国国家工商行政管理総局長との会談を行ってきました(中国はいろいろと肩書きが異なり分かりにくいかも知れませんが、お二人とも大臣クラスの方です。)。韓国同様、駆け足の出張でしたが、その分、中身の濃いお話しが出来たと思っているので、その結果について、皆さんに簡単にご報告します。
先ずは、19日に、上海で万鋼科学技術部部長とお会いしました。本来であれば、北京でお会いするところですが、今回万鋼部長は、20日から開催される上海モーターショウに出席するために上海に滞在しており、そのため、最初中国側からは当初「今回の会談は難しい」との回答が来ました。しかし、せっかくの貴重な機会でもあることから、私から「それであれば、こちらから上海に乗り込もう」と言って、今回の会談を実現させました。会談においては、先月韓国の安科学技術部長官を訪問した際に私から提案し、賛同を頂いた、東アジアにおける科学技術の協力強化を日中韓の3カ国が主体となって進めることについて、中国側に提案を行い、その方向性について合意を得ることが出来ました。実は、その翌日、IAEAの閣僚級会合の場において、韓国の安長官と再びお会いする機会を得て、早速、万鋼部長との会談結果を伝えることが出来ました。今回の三カ国間の合意を受け、私としては、今後、日中韓で主体的に東アジア域内の科学技術協力を強化すべく、その具体化のために、これまで以上に緊密な関係を構築していきたいと考えています。
19日の夜に北京に移動し、翌20日は、今回の主たるミッションであるIAEA主催の「21世紀の原子力エネルギー」閣僚級会合に出席しました。以前もお話ししましたが、昨年8月の大臣就任後、2回ほど原子力関係の国際会議に出席する機会があったのですが、国会の関係で断念せざるを得なかった経緯もあり、今回、念願叶ってようやく参加することが出来ました。同会合では、今回の主催者であるエルバラダイIAEA事務局長、ホスト国である張徳江中国副総理などの挨拶を含むオープニングセレモニーに続き、各国閣僚による演説(ナショナルステートメント)が行われましたが、我が国はその一番バッターとして、私が演説に立ちました。私からは、地球温暖化対策とエネルギー安定供給のためには原子力の平和利用が不可欠との国際的な共通認識の形成を促進すること、また、これからの原子力発電を導入・拡大しようとする国への基盤整備の支援をすること、等について我が国政府を代表して演説を行いました。地球温暖化問題が深刻さを増す中、特に、途上国を中心に原子力発電への関心が非常に高まっています。同会合では、その熱気を肌で感じるとともに、これらの国への原子力発電の安全な導入のために、日本の果たす役割の重要性を改めて感じ、その責任をしっかりと果していかなければ、と決意を新たにしました。
20日午後には、周伯華総局長を訪問し、日中の消費者政策について、意見交換を行いました。日本は中国から多くの食材を輸入しています。まさに日本と中国は「共通の胃袋」であり、食の安全に関しては、中国国内はもとより日本に対しても、しっかりと配慮してくださいということをお話ししました。周総局長も、食の問題については非常に憂慮されていて、しっかりと取り組んでいきたいと、特に、本年6月の食品安全法の施行により、かなり厳しく取り締まっていくということでした。冷凍ギョーザ事件については、きちんと中国側なりに「けじめ」をつけていただきたいと述べました。事件が宙ぶらりんになっていることは、中国にとっても、日本にとっても、非常に不幸なことなのですよというお話を、少し踏み込んでしました。
本当に、駆け足の2日間でしたが、私の担当分野で、それぞれ大きな成果を得ることが出来ました。今後、今回得た成果の具体化を図るべく、関係機関とも連携しつつ、引き続き努力してまいります。