当初、男性マニア向けの色合いの強かったエヴァンゲリオンに、これだけ女性ファンが増えたのはなぜなのだろうか。
「ガイナックスさんが私たちのブランドの良さを生かしたままのコラボレーションを認めてくださったことが大きいと思います。おかげで、エヴァのファンではない人でも手に取れるアイテムを作ることができました。コアなファン以外でも気軽に楽しめるグッズがあれば、一気に裾野は広がりますからね」(モバコレの椎さん)。
実際、ガイナックスでは、エヴァの関連商品を製作・販売する企業や団体に対してマニア向けの商品にならないようにタイアップを進めている。こうした手法をとったのは「商品化を進めるにあたって、マニア向けのテイストで作っては意味がない」という思いがあったからだ。モバコレのケースでも、生かすべきは元になるブランドの特徴やテイストであり、そこにエヴァの要素(イラストや色使いなど)を織り込んだ。箱根町の「ヱヴァ観光マップ」にしても同様で、作品中に登場しない観光名所も普通に紹介する、エヴァファン以外にも役に立つ観光マップ作りを行った。
「最初に作ったものは、ガイナックスさんに『マニアックすぎる』と言われてしまいました(笑)。『普通の箱根観光マップを作っていただいて、それにエヴァのテイストをちょっと足すだけでいいんですよ』とアドバイスされました」(箱根町観光協会の鈴木さん)。
このような提案やアドバイスでは、ややもすれば“エヴァらしさ”が薄くなってしまう。しかし、ガイナックスにとっては、“マニアも納得のエヴァらしさ”よりも“エヴァを知らない人でも手に取れる”ことのほうが重要だったのだ。この点においては、05年にリリースされたパチンコ「CR新世紀エヴァンゲリオン」は大きな契機となった。年配の人たちやテレビシリーズを見たことがない若い世代などが新たにエヴァに触れる機会をつくり出したからだ。
「エヴァを知っている人でも楽しめるし、エヴァを知らなくても楽しめるという、本当にいい機種を作っていただいたと思っています。これがなければ今の状況は生まれなかったでしょう。それ以降、商品化のお話には積極的になりました。エヴァ公式グッズが網羅的に購入できる『エヴァストア』というオンラインショップも開設しました。一般への流通ルートを持たないメーカーさんにもエヴァ市場に参加してほしいと思ったからです」(前出のエヴァンゲリオン版権担当者)。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009年6月27日全国公開)
【あらすじ】汎用ヒト型決戦兵器ヱヴァンゲリヲンに乗ることで、自ら戦うことを選んだ碇シンジ。大きな運命を託された14歳の少年の物語は、ここから未知の領域へ突入する。綾波レイと人気を二分するヒロイン、アスカがヱヴァンゲリヲン2号機に乗って参戦。加えて魅惑の新ヒロイン、マリが登場する。謎の生命体“使徒”とEVAシリーズの戦いは新ヱヴァンゲリヲン仮設5号機の参加で、さらに激しくエスカレートしていく。
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■関連サイト
- エヴァストア:http://www.evastore.jp/