実は、95年のテレビシリーズ放映当初は、タイアップはむしろ少なかった。テレビアニメシリーズの制作を担当したガイナックスのエヴァンゲリオン版権担当者はこう話す。
「通常のロボットアニメですと、放映開始時から玩具メーカーがスポンサーについてフィギアなどを販売することが多いのですが、エヴァの場合はそういうことはありませんでした。放映前はこれほど人気になるとは思われていなかったようで(笑)。人気が出るとともに、フィギアの自主製作を行う愛好者の方が増えていったという印象です。当時のファンは、男性が9割で、男性マニア向けという趣が強かったですね」。
ところが、それから15年近くがたってファン層は大きく変化している。前作『新世紀ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』では動員客の4割が女性だった。エヴァの舞台となった箱根町の観光協会による観光地図「ヱヴァ観光マップ」の制作も、「地元のさがみ信用金庫の女性社員が大ファンだったことがきっかけ」(箱根町観光協会の鈴木克典さん)。上司にエヴァのDVDを手渡し、「一晩で全部見れば分かります。地域活性化としてぜひ何かやりましょう」と力説したところから話が持ち上がり、箱根町観光協会を中心に具体化されたそうだ。
箱根町の観光協会の鈴木さんはこうも語る。
「配布場所に来ている方のほぼ半数は女性でした。カップルで来ている方の中には、『彼女がファンで彼氏を連れてきた』というケースも多かったようです。エヴァがこれほどまでに女性に人気があるとは思っていませんでした」。