【緊急インタビュー】前田日明から見た「三沢光晴の死、そしてプロレスの未来」
2009年06月26日08時00分 / 提供:日刊サイゾー
プロレスリング「NOAH」の社長であり、エースだった三沢光晴がリング上の事故で亡くなった。対戦相手のバックドロップを受け、ほぼ即死の状態だったという。
まったく信じられない、三沢だけは、リングで死ぬはずがない。
第一報を受けたファンの多くは、そう感じたに違いない。"受身の天才"、"不屈のゾンビ"......三沢光晴の代名詞は、常に「リング禍」からもっとも遠いところにあった。三沢の死は、単にひとりのレスラーの不幸な事故では片付けられない、プロレスという世界のイメージを根底から覆してしまうような出来事だった。
今回の件、あの男はどんな風に受け止めているのだろう。プロレスの中も外も知り尽くした男、前田日明に話を聞きに行った。三沢が死んで、それでもプロレスは続いてゆく。これから私たちは、どんな気持ちでリングを見上げればいいのか──そのヒントを、前田なら与えてくれそうな気がした。
──まずは、前田さんが今回の三沢選手の事故をお知りになった経緯と、そのときの第一印象を聞かせてください。
「テレビのニュース速報ですね。そのときは、たぶん三沢がコーナーの上から場外に投げられてね、下で受ける人間が受け損なったのかな、と俺は思ったんです。俺は5年前に『ビッグマウス・ラウド』というプロレスを手伝うことになったとき、現状のプロレスを知らなかったので、いろいろ見たんですよ。そしたら、コーナーの上からの合体技、ブレーンバスターとかバックドロップをやるとか、そのまま場外に叩きつけるようなことをやってるじゃないですか。これは危ないな、と思ったんです。『リングス』時代はプロレスを一切見ていなかったので、本当に驚いた。だから、そういった流れで事故が起こったんじゃないかと思ったんですよ」
──まさかバックドロップ一発で、というのはちょっと想像できない。
「できないよね」
──前田さんが新日本プロレスにいたころに、三沢さんは全日本プロレスの新人として入ってきました。
「そう、ちょっと後輩だよね。すごく器用に、卒なくいろいろなことをこなす選手という印象だったね。運動神経がいいんだろうな、と。ただ、今新聞なんかで『受身の天才』って書かれ方をしているけど、特にそういうことはなかったよ。当時の選手のなかでは普通、うん、普通だった」
──その後、三沢さんは全日本を離れて、「NOAH」の社長をやりながらエースとして戦い続けることになります。その流れをご覧になっていたと思いますが。
「そこは本当に大したもんだと思っていた。全日本を飛び出したとき、自分より先輩もいっぱいいるわけじゃない。下だけでも大変なのに、上の人間もコントロールしてね。それに、日テレでの放映まで持っていって、そういう交渉力、経営能力だとか、正直すごいな、プロレス界にはちょっといない人間だな、と見ていました」
──前田さんも新日本からUWFで一度離れて、そのあと第2次があって、「リングス」があって、常に団体の先頭に立っていました。
「そう、だから大変なのは解るんだよね。それに三沢は、いい若手もたくさん育てていたし。丸藤(正道)とかあのへんのジュニア選手の動きなんて、ああ、もうここまでやったか、と感心したよ」
──その三沢が、亡くなりました。この事態を、ただ不運な事故だった、と言ってしまっていいのかどうか、多くのファンは戸惑っているように思います。
「不運な事故じゃないね、不運な事故じゃないと思うよ。(「週刊プロレス」に掲載されたバックドロップの)連続写真を見る限りでは、たぶん試合のどこかで失神状態になったんでしょう。それでもレスラーは夢遊病者のようにフラフラと動きますからね。それで、意識があるかないかという状態のまま投げられた。バックドロップにひねりが入ると、受けるほうも注意しなきゃいけないんです。アゴを引いて、回る方向に肩を持っていって受けなきゃいけないんだけど、失神している状態だとそのまま落ちてしまう。それで、折れてしまったんじゃないかと」
──試合の動画は、たぶん出てこないでしょうね。
「日テレのプロデューサーが見たっていうんで、どうでした? って聞いたら、これは絶対に放送には出せないと。三沢が落ちた瞬間に、全身がバッと青ざめるんだって。ほとんど即死だったみたいだね。その前にコーナーから投げ捨てられて、フラフラし始めたっていうんだけど、悲劇だったのはね、相手も、レフェリーも、セコンドも、みんなが『社長だから大丈夫だろう』『三沢だから大丈夫だろう』と思って、誰も注意して見てやれなかった。プロレスでは"セール"って言うんだけど、演技でするフラフラと、本当に効いているのと、ちゃんと見てれば分かるはずなんだけどね。それでも、頸髄(けいずい)離断っていうのは異常だよ。大ベテランの三沢がそうなるってことは、同じ状況が誰に起こってもそうなってたってことだからね。明らかに、あり得ないことが起こっていたってことだよね」
──誰にでも起こる可能性がある。
「ちゃんと検証しないとね、絶対また誰かやるよ。みんなね、自分たちが危険なことをやってるって認識がない。全員がプロレスをナメちゃってるんですよ。やってる人間も、レフェリーも、観客も。どっかで『大丈夫だろう』と。年間100試合もやってると、どんどん麻痺してくるからね。今テレビなんか見てると、投げ捨ての技で選手が変な角度で落ちても、セコンドやレフェリーが『あ、ヤバイ』って顔をしないんですよ。平気で眺めてる。俺たちが若い頃は『本気でコイツ壊したいと思ったら投げ捨てろ』と教えられた。それくらい危ないんですよ、投げ捨ての技というのは」
──ただ、そういった過激な技の応酬や、投げ技の"危ない角度"は、ファンが求めたものでもあると思うんです。
「なんて言うかね、なんて言ったらいいのかな......、俺らが思っていたプロレスというのは、試合が始まる前にインタビューで何をしゃべるか、それで、なんで俺とあいつが戦うのか、そういう緊張状態を高めて、お互いに『やってやる!』という前提があって、"さぁ、どうなる?"っていう、そういうのがあるんです。ヤクザ映画で言うとね、組の対立をしっかり見せてから抗争をやる、というような。何が起こるんだ!? という緊張感だよね。今はそういうのは置いといて、いきなり機関銃や戦車を持ってきてドンパチやり始めるという風になってる」
──プロレスから物語性がなくなって、代わりに技だけが過激になっている。前田さんが新日本にいたころは、そうした対立の構図や設定を専門に考える人がいたんですか?
「いない、いない。誰も考えてない。選手が勝手に考えてやるんですよ。そういう感覚をみんな持っていて、みんなが自分のほうに周りを引きずろうとする。それで、いちばんその力が強いヤツがみんなを引きずっていくんだよ、無理やり」
──昔はレスラーそれぞれが「こうしたら盛り上がるのに」と考えていたと。それは、今の選手には足りない部分。
「足りないよね。そういった意味では(キックボクシングの)魔裟斗なんか最高です。興行を盛り上げるってことをよく分かってる。いい試合を見せるだけじゃ客は付いて来ないんですよ。本当は、いろいろ考えてやればね、ちょっと動くだけで、何気ない技でも盛り上げられるんです。パンチ一発でも客を『おおっ!』と言わせることができるんですよ」
──選手の体力面で部分ではどうでしょうか。
「今は選手のコンディションも昔より悪くなってる。みんな、練習をしないんだよね。新日本に関して言えば、山本(小鉄)さんとか小林(邦昭)さんに言わせるとね、今の若手は全然ダメ、本当に練習しないって」
──資質という部分で言えば、今回の事故を受けて、全日本、新日本、NOAHの3団体で統一のプロレス・コミッションを作って、ライセンス制を敷こうという動きもあるようです。プロレスラーのライセンス制度というのは、現実的なのでしょうか。
「今は......ムリだと思うよ。だって、じゃあ『ハッスル』はどうすんの? っていう話になる。芸能人出るじゃん。あれはもうプロレスラーじゃないよね。それに『ハッスル』だけじゃない。アントニオ猪木がタッキー(滝沢秀明)とプロレスやっちゃったじゃない(00年3月14日/横浜アリーナ)。よく『前田日明がプロレスを壊した』なんて言われるけど、そうじゃない、アントニオ猪木が壊したんですよ。タッキーとやった時点で、観客もガッカリしたし、選手もガッカリしたし、俺も涙が出るほど悔しかったよ。猪木さんが何を、金のためにこんなことしてんの、って。プライドはどこにいったの、って。プロレスであれが許されると、もう誰も『ハッスル』のことなんて言えない。『ハッスル』もプロレスだって言うしかない。そしたら、ライセンス制なんてムリですよ」
──確かに、プロレスという言葉はすごく幅が広いですよね。UWFもハッスルもプロレスだし、電流爆破のFMWや、蛍光灯でバンバン殴る大日本もプロレスと呼ばれます。
「だからね、本当に統一コミッションで何かやるんだったら、レスラーになるための基礎的な教育だとか、小さな団体が興行に医者を連れて行く余裕がないんだったら派遣してやるとか、そういうことから始めたほうがいい。その前に、レスラー、レフェリー、関係者をみんな集めて、今回の三沢の試合を見せなきゃいけない。なんで大ベテランの三沢が死んだのか、みんなが試合を見て考えなきゃいけない」
──ファンの側から、何かできることはあるんでしょうか。
「ファンもね、やっぱり声を上げていかなきゃいけないんですよ。『三沢ありがとう』だけじゃダメで、『三沢がどうして死んだか』とね、声を上げていくことだと思いますよ。今は本当に、プロレス・マスコミがプロレスを一番ナメてるから、あいつらにプレッシャーをかけてやればいいんですよ」
●まえだ・あきら
1959年、大阪府生まれ。77年に新日本プロレス入団。エース候補として渡英し、帰国後、華麗な技と甘いルックスで人気レスラーになる。84年に「UWF」、88年に「第2次UWF」を立ち上げる。解散後、91年に総合格闘技団体「リングス」を設立、日本に総合格闘技を本格的に根付かせることになる。その後、プロレス団体「ビッグマウス・ラウド」、総合格闘技「HERO'S」のスーパーバイザーなどを務め、現在はアマチュア格闘技大会「THE OUTSIDER」を主催。
●THE OUTSIDER第7戦
・日時:
2009年8月9日(日)/開場14:00 開始15:00
・会場:
ディファ有明(東京都江東区有明1-3-25)
・チケット発売中:
OUTSIDER事務局
http://www.rings.co.jp/outsider_top.html
チケットぴあ
http://t.pia.jp/index.html
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まったく信じられない、三沢だけは、リングで死ぬはずがない。
第一報を受けたファンの多くは、そう感じたに違いない。"受身の天才"、"不屈のゾンビ"......三沢光晴の代名詞は、常に「リング禍」からもっとも遠いところにあった。三沢の死は、単にひとりのレスラーの不幸な事故では片付けられない、プロレスという世界のイメージを根底から覆してしまうような出来事だった。
今回の件、あの男はどんな風に受け止めているのだろう。プロレスの中も外も知り尽くした男、前田日明に話を聞きに行った。三沢が死んで、それでもプロレスは続いてゆく。これから私たちは、どんな気持ちでリングを見上げればいいのか──そのヒントを、前田なら与えてくれそうな気がした。
──まずは、前田さんが今回の三沢選手の事故をお知りになった経緯と、そのときの第一印象を聞かせてください。
「テレビのニュース速報ですね。そのときは、たぶん三沢がコーナーの上から場外に投げられてね、下で受ける人間が受け損なったのかな、と俺は思ったんです。俺は5年前に『ビッグマウス・ラウド』というプロレスを手伝うことになったとき、現状のプロレスを知らなかったので、いろいろ見たんですよ。そしたら、コーナーの上からの合体技、ブレーンバスターとかバックドロップをやるとか、そのまま場外に叩きつけるようなことをやってるじゃないですか。これは危ないな、と思ったんです。『リングス』時代はプロレスを一切見ていなかったので、本当に驚いた。だから、そういった流れで事故が起こったんじゃないかと思ったんですよ」
──まさかバックドロップ一発で、というのはちょっと想像できない。
「できないよね」
──前田さんが新日本プロレスにいたころに、三沢さんは全日本プロレスの新人として入ってきました。
「そう、ちょっと後輩だよね。すごく器用に、卒なくいろいろなことをこなす選手という印象だったね。運動神経がいいんだろうな、と。ただ、今新聞なんかで『受身の天才』って書かれ方をしているけど、特にそういうことはなかったよ。当時の選手のなかでは普通、うん、普通だった」
──その後、三沢さんは全日本を離れて、「NOAH」の社長をやりながらエースとして戦い続けることになります。その流れをご覧になっていたと思いますが。
「そこは本当に大したもんだと思っていた。全日本を飛び出したとき、自分より先輩もいっぱいいるわけじゃない。下だけでも大変なのに、上の人間もコントロールしてね。それに、日テレでの放映まで持っていって、そういう交渉力、経営能力だとか、正直すごいな、プロレス界にはちょっといない人間だな、と見ていました」
──前田さんも新日本からUWFで一度離れて、そのあと第2次があって、「リングス」があって、常に団体の先頭に立っていました。
「そう、だから大変なのは解るんだよね。それに三沢は、いい若手もたくさん育てていたし。丸藤(正道)とかあのへんのジュニア選手の動きなんて、ああ、もうここまでやったか、と感心したよ」
──その三沢が、亡くなりました。この事態を、ただ不運な事故だった、と言ってしまっていいのかどうか、多くのファンは戸惑っているように思います。
「不運な事故じゃないね、不運な事故じゃないと思うよ。(「週刊プロレス」に掲載されたバックドロップの)連続写真を見る限りでは、たぶん試合のどこかで失神状態になったんでしょう。それでもレスラーは夢遊病者のようにフラフラと動きますからね。それで、意識があるかないかという状態のまま投げられた。バックドロップにひねりが入ると、受けるほうも注意しなきゃいけないんです。アゴを引いて、回る方向に肩を持っていって受けなきゃいけないんだけど、失神している状態だとそのまま落ちてしまう。それで、折れてしまったんじゃないかと」
──試合の動画は、たぶん出てこないでしょうね。
「日テレのプロデューサーが見たっていうんで、どうでした? って聞いたら、これは絶対に放送には出せないと。三沢が落ちた瞬間に、全身がバッと青ざめるんだって。ほとんど即死だったみたいだね。その前にコーナーから投げ捨てられて、フラフラし始めたっていうんだけど、悲劇だったのはね、相手も、レフェリーも、セコンドも、みんなが『社長だから大丈夫だろう』『三沢だから大丈夫だろう』と思って、誰も注意して見てやれなかった。プロレスでは"セール"って言うんだけど、演技でするフラフラと、本当に効いているのと、ちゃんと見てれば分かるはずなんだけどね。それでも、頸髄(けいずい)離断っていうのは異常だよ。大ベテランの三沢がそうなるってことは、同じ状況が誰に起こってもそうなってたってことだからね。明らかに、あり得ないことが起こっていたってことだよね」
──誰にでも起こる可能性がある。
「ちゃんと検証しないとね、絶対また誰かやるよ。みんなね、自分たちが危険なことをやってるって認識がない。全員がプロレスをナメちゃってるんですよ。やってる人間も、レフェリーも、観客も。どっかで『大丈夫だろう』と。年間100試合もやってると、どんどん麻痺してくるからね。今テレビなんか見てると、投げ捨ての技で選手が変な角度で落ちても、セコンドやレフェリーが『あ、ヤバイ』って顔をしないんですよ。平気で眺めてる。俺たちが若い頃は『本気でコイツ壊したいと思ったら投げ捨てろ』と教えられた。それくらい危ないんですよ、投げ捨ての技というのは」
──ただ、そういった過激な技の応酬や、投げ技の"危ない角度"は、ファンが求めたものでもあると思うんです。
「なんて言うかね、なんて言ったらいいのかな......、俺らが思っていたプロレスというのは、試合が始まる前にインタビューで何をしゃべるか、それで、なんで俺とあいつが戦うのか、そういう緊張状態を高めて、お互いに『やってやる!』という前提があって、"さぁ、どうなる?"っていう、そういうのがあるんです。ヤクザ映画で言うとね、組の対立をしっかり見せてから抗争をやる、というような。何が起こるんだ!? という緊張感だよね。今はそういうのは置いといて、いきなり機関銃や戦車を持ってきてドンパチやり始めるという風になってる」
──プロレスから物語性がなくなって、代わりに技だけが過激になっている。前田さんが新日本にいたころは、そうした対立の構図や設定を専門に考える人がいたんですか?
「いない、いない。誰も考えてない。選手が勝手に考えてやるんですよ。そういう感覚をみんな持っていて、みんなが自分のほうに周りを引きずろうとする。それで、いちばんその力が強いヤツがみんなを引きずっていくんだよ、無理やり」
──昔はレスラーそれぞれが「こうしたら盛り上がるのに」と考えていたと。それは、今の選手には足りない部分。
「足りないよね。そういった意味では(キックボクシングの)魔裟斗なんか最高です。興行を盛り上げるってことをよく分かってる。いい試合を見せるだけじゃ客は付いて来ないんですよ。本当は、いろいろ考えてやればね、ちょっと動くだけで、何気ない技でも盛り上げられるんです。パンチ一発でも客を『おおっ!』と言わせることができるんですよ」
──選手の体力面で部分ではどうでしょうか。
「今は選手のコンディションも昔より悪くなってる。みんな、練習をしないんだよね。新日本に関して言えば、山本(小鉄)さんとか小林(邦昭)さんに言わせるとね、今の若手は全然ダメ、本当に練習しないって」
──資質という部分で言えば、今回の事故を受けて、全日本、新日本、NOAHの3団体で統一のプロレス・コミッションを作って、ライセンス制を敷こうという動きもあるようです。プロレスラーのライセンス制度というのは、現実的なのでしょうか。
「今は......ムリだと思うよ。だって、じゃあ『ハッスル』はどうすんの? っていう話になる。芸能人出るじゃん。あれはもうプロレスラーじゃないよね。それに『ハッスル』だけじゃない。アントニオ猪木がタッキー(滝沢秀明)とプロレスやっちゃったじゃない(00年3月14日/横浜アリーナ)。よく『前田日明がプロレスを壊した』なんて言われるけど、そうじゃない、アントニオ猪木が壊したんですよ。タッキーとやった時点で、観客もガッカリしたし、選手もガッカリしたし、俺も涙が出るほど悔しかったよ。猪木さんが何を、金のためにこんなことしてんの、って。プライドはどこにいったの、って。プロレスであれが許されると、もう誰も『ハッスル』のことなんて言えない。『ハッスル』もプロレスだって言うしかない。そしたら、ライセンス制なんてムリですよ」
──確かに、プロレスという言葉はすごく幅が広いですよね。UWFもハッスルもプロレスだし、電流爆破のFMWや、蛍光灯でバンバン殴る大日本もプロレスと呼ばれます。
「だからね、本当に統一コミッションで何かやるんだったら、レスラーになるための基礎的な教育だとか、小さな団体が興行に医者を連れて行く余裕がないんだったら派遣してやるとか、そういうことから始めたほうがいい。その前に、レスラー、レフェリー、関係者をみんな集めて、今回の三沢の試合を見せなきゃいけない。なんで大ベテランの三沢が死んだのか、みんなが試合を見て考えなきゃいけない」
──ファンの側から、何かできることはあるんでしょうか。
「ファンもね、やっぱり声を上げていかなきゃいけないんですよ。『三沢ありがとう』だけじゃダメで、『三沢がどうして死んだか』とね、声を上げていくことだと思いますよ。今は本当に、プロレス・マスコミがプロレスを一番ナメてるから、あいつらにプレッシャーをかけてやればいいんですよ」
●まえだ・あきら
1959年、大阪府生まれ。77年に新日本プロレス入団。エース候補として渡英し、帰国後、華麗な技と甘いルックスで人気レスラーになる。84年に「UWF」、88年に「第2次UWF」を立ち上げる。解散後、91年に総合格闘技団体「リングス」を設立、日本に総合格闘技を本格的に根付かせることになる。その後、プロレス団体「ビッグマウス・ラウド」、総合格闘技「HERO'S」のスーパーバイザーなどを務め、現在はアマチュア格闘技大会「THE OUTSIDER」を主催。
●THE OUTSIDER第7戦
・日時:
2009年8月9日(日)/開場14:00 開始15:00
・会場:
ディファ有明(東京都江東区有明1-3-25)
・チケット発売中:
OUTSIDER事務局
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