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【社説】

コンビニ食品 時代は廃棄を許さない

2009年6月26日

 売れ残りは速やかに廃棄し、食品の鮮度と品ぞろえを保つ。値引き販売は認めない。コンビニエンスストア業界のあしき「商習慣」がいつまでも許されるはずがない。食料自給率四割のこの国で。

 コンビニは、その名の通り「便利」を売る店である。値段は安くしなくても、近所にあって、二十四時間開いていて、必要なものがある程度そろっているのが、まさしく「売り物」だった。

 公正取引委員会が不当としたのは、業界最大手のセブン−イレブン・ジャパンが、品ぞろえを維持するための手段である。主力商品の弁当類が、いつも新鮮で豊富にそろっていることをアピールするため、販売期限を独自に定めて、まだ食べられる弁当やおにぎりを、加盟店に一日数回廃棄させている。スーパーなどとの価格競争に陥るのを避けるため、賞味期限が迫っても値引き販売は「推奨」しないのが、業界の基本姿勢だ。

 だが、時代は効率一辺倒から環境配慮へ、軸足を移し始めた。

 京都市は、主にエネルギー消費の面からコンビニの深夜営業規制を提唱し、論議を呼んでいる。レジ袋削減に後ろ向きとの批判も強い。とりわけ、食料の六割を海外からの輸入に頼る現実に、強い不安を覚える人は増えている。世界の飢餓人口は十億人を超えた。

 どんな理由があっても、全国四万店を超えるコンビニが、一日一店平均十数キロの食べ物を捨てる行為が、見過ごされる時代ではなくなった。

 一昨年の改正食品リサイクル法施行に伴い、小売りチェーンには廃棄食品の45%をリサイクルする義務が課された。ミニストップは売れ残り食品を飼料にし、育てた豚肉で弁当を作る試みを始めている。しかし、廃棄量自体を元から減らすのが法の目的であることを忘れてはならない。

 公取委の指摘を受けて、廃棄損失の一部を本部が負担する措置が業界に広がりそうだ。廃棄自体を減らすつもりはないのだろうか。

 日本人の消費スタイル自体が今、岐路に立つ。コンビニ業界も、これまでは本部に偏りすぎた力関係を改めて、加盟店との信頼関係を結び直し、地域の環境や実情に合わせた売り方を考えないと、消費者の支持を保てない。

 家庭から出るごみの三分の一は食べ残しの食料だ。消費者側もこれを機に、「便利」の裏側に潜む弊害を考慮に入れて、商品をさらに賢く選択したい。

 

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