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痴漢:被告に逆転無罪…被害者証言、信用性欠く 東京高裁

痴漢事件を巡り東京高裁で逆転無罪判決を受け、会見する花田泰被告(左)=東京・霞が関の司法記者クラブで2009年6月11日午後2時15分、安高晋撮影
痴漢事件を巡り東京高裁で逆転無罪判決を受け、会見する花田泰被告(左)=東京・霞が関の司法記者クラブで2009年6月11日午後2時15分、安高晋撮影

 西武新宿線の車内で痴漢をしたとして強制わいせつ罪に問われた東京都立川市のアルバイト、花田泰(ゆたか)被告(23)に対し、東京高裁は11日、懲役1年4月の実刑とした東京地裁判決(昨年3月)を破棄し、逆転無罪判決を言い渡した。阿部文洋裁判長は1審が有罪の根拠とした被害者の証言について「犯行を見ておらず、被告を犯人と言える根拠にならない」と指摘した。

 痴漢事件の審理を巡っては最高裁が今年4月「特に慎重な判断が求められる」との初判断を示しており、それに沿った司法判断となった。

 花田被告は07年2月5日午前8時前、アルバイトに向かうため上り線に乗車中、鷺ノ宮-高田馬場間で女子高生(当時17歳)に腕をつかまれ逮捕、起訴された。

 女子高生は「スカート内(陰部付近)を触られ、手がスカートから抜かれると同時に被告の手首をつかんだ」と証言した。1審は「具体的で信用できる」としたが、判決は「実際に目で確認しておらず信用性がない」とした。同房者が「拘置中に被告から犯行を打ち明けられた」と証言した点についても「自分の罪を軽くしてもらうためである疑いがある」と信用性を退けた。

 弁護側は、逮捕当時、被告の手の指すべてから採取された資料をDNA鑑定し、被害者と一致しなかったことを立証した。弁護人の弘中惇一郎弁護士は「客観証拠を重視すべきだ」と訴えた。

 会見で花田被告は「応援してもらった両親や友人に感謝の気持ちでいっぱい」と話した。検察官に「お前しかいない。やったと言えばすぐに終わる」などと言われたといい、「何度も同じ質問を繰り返しされた」と振り返った。そのうえで「1審はもっと客観的に見てくれると思ったが予想外だった」と批判した。【安高晋】

 ▽東京高検の渡辺恵一次席検事の話 判決内容を十分に検討し適切に対処したい。

毎日新聞 2009年6月11日 21時52分(最終更新 6月11日 23時33分)

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