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“社交ゲームは協調性、暴力ゲームは攻撃性を伸ばす”との説に待ったの声 |
2009.06.23 |
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平和的な内容のゲームをプレイすると協調性が高まり、暴力描写を含むゲームをプレイすると攻撃的になる――この一見まともそうな考え方は、本当に正しいのだろうか?
上の説は、米ミシガン大学のBrad Bushman氏などが学術誌で紹介したもの。彼らは、アメリカ/日本/シンガポールで行われた、対象年齢や手法が異なる3つの実験をまとめ、ゲームの内容が人の心に与える影響を論じた。
例えば、アメリカでは161人の学生を対象に、こんな実験が行われている。平和的な手段で問題を解決するゲームと暴力的なゲームを2つのグループにプレイさせ、そのあとで、無作為に選ばれたパートナーに対してパズルを出題してもらう。パズルは3つの難易度から自由に選ぶことが可能で、パズルを解いたパートナーは賞金10ドルをもらえるようになっている。
この実験の結果、平和的なゲームをプレイした人はパートナーに向けて易しいパズルを、暴力ゲームをプレイした人は難しいパズルを出題する傾向が強かったという。こうした結果を踏まえ、Bushman氏は、「ゲームはその内容を見ながら善し悪しを決めるべきだ」と訴えているわけだ。
ところが、「そんな単純な話じゃない」と反対の声をあげているのが、テキサスA&M大学のChris Ferguson教授。ニュースサイト“GamePolitics”によれば、教授は上の説について「“ゲームと人の協調性・攻撃性は関係している”と端から決めてかかり、問題点を抱える研究例から都合のよい側面だけを取り上げている」と批判している。
先に挙げたパズルテストについても、「パズルの出題は現実の暴力とはまったく別物。判断基準にはならない」とバッサリ。……たしかに、難しいパズルを人に解かせるのは、どちらかといえばイジワルの部類に入りそう。人の攻撃性や暴力と結びつけるのは無理があるかもしれない。
(中島理彦)
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