Hatena::Diary

pal-9999の日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

生涯楽天家がモットーの男のネタ的はてなダイアリー。本家はこちら

2009-06-25

何故FF11はあそこまでストレスの高いMMOになってしまったのか 何故FF11はあそこまでストレスの高いMMOになってしまったのか - pal-9999の日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 何故FF11はあそこまでストレスの高いMMOになってしまったのか - pal-9999の日記

「ファイナルファンタジー XIV」プロデューサー田中弘道氏インタビュー “成長”をキーワードに、レベル制からの脱却を計った新世代のMMORPG

この記事読んだ時から、書こう書こうと思っていて、結局、今頃になってやっと書き始めたわけなんですが、今日はFF11のお話です。といっても、僕は現役のFF11プレーヤーではなく、随分前に引退して、それ以来、WoWを小休止を挟みつつ、続けてきたネトゲプレーヤーなんですけども。


僕は、UO→EQ→FF11→WoWと渡り歩いてきたMMOゲーマーで、一番長く続けているのはWoWになる。WoWをこれほど長く続けているのは、非常に完成度が高い為で、全世界で1000万アカウントのモンスターMMOというのはやはり伊達じゃない。


で、今回の話は、その前にやっていたFF11の話である。FF11は、FFシリーズのナンバリングタイトルということもあり、日本ではそこそこの成功を収めた。僕も結構やったし、75まで詩人であげた。


ただ、このゲーム、いくつかの点で非常に問題点の多いゲームだった。まぁ、いきなり問題点をあげつらうのもアレなんで、良い点を先に挙げておくと、日本人好みのグラフィック、サーバー管理、インターフェースの三つがあげられる。


スクエアエニックスは、もともとグラフィック方面で強い会社だし、FF14でも、やっぱりグラフィックは素晴らしい。また、意外だったけど、サーバー管理もかなり良かった。他のMMOでありがちな、サーバー巻き戻りによるアイテムロストなんて、僕がやってたときは一度もなかった。また、地味だけどインターフェース周りもかなり良く出来ていて、非常に使いやすかった。


僕は、スクエアエニックスって会社がRPGを作る場合、この三つは非常に信頼がおけると思っていて、FF14でも非凡なものが出来ると思っている。だから、この三つに関しては、全然心配していない。


多分、僕は、FF14のベータテストをやると思うんだけど、この三つには心配してない。たぶん、素晴らしい出来になるだろう。ただ、問題は、他の点である。FF11は、いくつ点で、ゲームシステムに致命的ともいえる欠陥のあるゲームだった。


以前、EQ2のデザイナーが、ゲームデザインの際に、「idle timeをいかになくすか」について気を配ったという記事を読んだ。


このidle timeというのは、まぁ、退屈な時間とかやることない時間という意味で、ゲームにはなにがしかついてきてしまう。


例えば、ゲームのロード時間がその最たる例だ。はっきりいって、世にいう糞ゲーの代名詞として、「大冒険」と「デスクリムゾン」の二つがある。ただ、これらのゲーム、僕もプレーしたが、意外と愛せる部分も多いのである。大冒険はきっちり全部クリヤーした。カルト的であるが、愛せるゲームである。


一方で、どうしても愛せないゲームというのもある。例えば、SNK BEST COLLECTION サムライスピリッツ零なんかだ。何が愛せないかっていうと、ロード時間が糞長いのである。サムライスピリッツの中には、この手のロード時間が糞長いのがあって、敵と遭遇したら1分ロードとかいうふざけたゲームが存在する。個人的に言わせてもらえば、これはもう本当の地雷である。


で、EQの話になるんだが、このゲーム、廃人専用としばしば批判された。理由は、このゲーム、idle timeがもの凄く長いのである。ロード時間が長い訳ではない。戦闘が終わった後のHPやMPの回復に非常に苦痛とも言える時間がかかってしまう上に、デスペナルティが非常にでかいゲームなんである。クラスによってsoloがほとんど不可能なレベルだった時期もあり、最高レベルに達するのに1年かかるとまで言われる仕様だった。


実は、この仕様、FF11が悪い意味で継承してしまった。「idle time」の問題について、FF11のゲーム開発陣は無関心だったとしか思えない。そのため、FF11のジョブシステム、戦闘システムは、非常に問題のあるものとなってしまった。


クラスバランスの悪さ

まず、MMOにおけるかなり普遍的な問題から始めよう。MMO RPGにおいては、多くの場合、playerがmelee(近接攻撃主体のクラス)をやりたがる。大ダメージを出すのは気持ちいいし、爽快だ。一方、tank(partyの盾となって味方を守るクラス)やheal(partyの回復を行う)については、大概、あまり人気がない。


そのため、EQでもFF11でもWoWでも、tankとhealはモテモテだしgroupも組みやすい。一方、dps(敵に攻撃をするクラス)しかできないクラスは、groupが組みにくい。


この問題については、ゲーム会社がどうにかできる問題ではない。プレーヤーがどういうクラスを選好するかという問題で、meleeが人気があるから起こる問題だ。


で、FF11に話をもどすことになるのだが、FF11は、開始の時点で、用意されていたクラスが、戦士、シーフ、モンク、赤魔道士白魔道士、黒魔道士の6クラスと、クエストをやることによってプレイ可能なナイト、詩人、狩人の3クラスとなっていた。


そして、この9クラスの内、pure healerといえるのが、白魔道士しかいないのである。


その後、調整が何度かおこり、赤魔道士のhealは強くなったものの、全9クラス中、healが本職のクラスが2クラスしかおらず、healがあまりplayerに人気がない、赤はheal能力が弱いというのは、その後、必然的に、ある問題を引き起こした。


つまり、慢性的なheal不足と、それに伴うpartyの組みにくさである。白魔がいないときはpary組めないというのが、初期のFF11で最高にストレスフルな仕様だった。


比較として、WoWをだすけれど、全世界で1000万アカウントをもつモンスターMMOだけあって、この問題には、最初からかなり配慮されていた。WoWでは、初期、9つのクラスがあったが、healについては、4クラスがそれぞれ非常に個性的な能力をもちつつ、可能だった。


僕が驚いたのは、paladinですら、holy specで育てるとhealerとしてpriestに劣らないheal能力を発揮できるという点で、これにはびっくりしてしまった。FF11のナイトが、白魔並のheal能力をもっているなんて、なかなか想像できないだろう。でも、ゲームデザインとして、そういう風に作ってしまったのである。そして、それで大成功を収めた。


もっとも、それでも、やはりhealとtankが見つからないときはあるんである。WoWは、dpsは全クラス可能だ。まぁ、これにもびっくりした。priですら、shadow priestというspecで育てると、dpsになれるのだから。。。


全10クラスがdps可能だが、tankは4クラス、healも4クラスしかできないし、healとtankは人気がないのでどうしても偏りが出てしまう。WoWでもそうなのだ。FF11初期のように、healクラスが白しかなかったMMOで、どんな問題がでてくるかは押して知るべしである。


また、healの仕様も問題だった。


FFシリーズでは、meleeに関しては、シリーズごとに相当な仕様の変更があった。必殺技が大量に追加されいったのは、FF5あたりからだと思うけど、meleeインフレが進んだのも、5からだったと思う。これに関しては、playerの好みのせいだろう。meleeで大ダメージを出すのは爽快なのだ。


だが、一方で、ほとんど変わらなかった馬鹿げた仕様がある。つまり、healの退屈さだ。ケアル、ケアル、ケアル、ケアル、ケアルガ、の単調なheal workだ。


馬鹿げている。


meleeは、ある程度、バリエーションを増やしたのに、いつまでたっても、healはケアルなのだ。meleeインフレとケアルルーチン。


こうしたオフラインゲームであったFFの悪い仕様を、そのままMMOに持ち込んだ為、白はかなり退屈なジョブになってしまった。また、赤魔も、使える回復魔法が白と変わらず、healにはほとんど特徴といえるほどの特徴がない。healerは全員、ケアル士にでもrenameしたほうがいいレベルだ。


WoWが偉大だと思うのは、priest,shaman,druid,paladinで、healの特徴がそれぞれ違うことだ。単体heal最強のpaladin,grp healが得意なshm、HoT(heal on time)が得意なdruid,ダメージ吸収shield、HoT、direct healをもつheal masterとしてpriestと、healの種類が多彩なために、クラスごとに出来ることと出来ないことがはっきりしているし、healerに特徴があるのである。


ケアル縛りがなかったが故に、こうした事ができたとも言えるが、FF11は、MMOになった時点で、過去から続いたケアル地獄から足を洗うべきだった。meleeインフレ、ケアルルーチンの継承は、MMOのゲームデザインとしては、失敗だった。


これは、退屈なhealerという問題を助長したし、それに伴うhealer不足に拍車をかけるデザイン以外の何者でもなかった。


そして、heal不足は、groupの組みにくさという問題を助長し、プレーヤーのidle timeの増大を引き起こし、FF11というゲームをストレス過大のゲームに陥らせたんである。


オフラインゲームにおいて、FFがmeleeインフレ、必殺技天国俺tueeeeeeee、ケアルよろwwwを追求していったのは特に問題がなかった。ただし、オンラインゲームで、それをやってしまうと、ゲームバランスそのものを崩壊させてしまう可能性があることは早めに意識されるべきだったと思う。



問題点 戦闘中に座ってMPを回復可能

これは小さいな問題に見えるが、実は大きな問題だった。


FF11では、healerはmanaが尽きると、戦闘中でも座って回復できる。裏をかえすと、座らないとmanaは基本的に回復しない。


これは、非常に小さな問題にみえるかもしれない。だが、ある大きな問題と隣り合わせの仕様なのである。


また、WoWの例で申し訳ないが、WoWでは、戦闘中、座って食事をしてmanaを回復させることができない。そのかわり、mana regeneが非常に強く、立っていてもそこそこ回復していく。戦闘が終われば、食事をして瞬時manaは回復していく。


戦闘中、manaを座って回復できるゲームデザインをしてしまうと、座った際のmana regeneは低く抑えざるを得なくなる。でないと、manaが無限ともいえるゲームになり、ゲームバランスがおかしくなるからだ。しかし、それでは、戦闘後に行うmana回復に非常に時間がかかってしまい、idle timeが長くなってしまうのである。


FF11では、まさにこの事が起こった。


この問題は、小さな問題に見えるかもしれない。ただし、ゲーム画面の前で、座ったMPの回復をさせているキャラを何もせずにぼーっと眺めているだけしかないプレーヤーにとってはストレス以外の何でもないのである。ゲームしているのに何もしてないなんてあほらしいのだ。

groupにミスラでもいれば、尻でも眺めて楽しめるかもしれないが、ガルカが目の前に立っていたら、ガルカのたくましい尻にエクスタシーを感じる変態以外には楽しいことが何もない。むしろ苦痛である。


WoWでは、戦闘中、座って回復できないかわりに、mana regene能力をhealerに追加し、mana regeneを強くした。そのおかげで、戦闘後の座っての回復はスピーディーにできたのである。


EQやFF11であったような座り地獄、idle timeをなくすためのゲームデザインとして、これは非常に正しい方向だったと思っているし、僕自身、この仕様を非常に歓迎している。


問題点 破綻を免れ得ない経済システム

 この後半の講義の内容は,「スクウェア・エニックスが,いかにしてRMT関連活動を取り締ったか」というものである。Sundi氏は,まずチームが問題とするRMTを「ゲーム経済にインフレを引き起こし,ファーミングにより狩り場を占拠し,不法なツールを使用する“ほかのプレイヤーのゲームプレイに悪影響を及ぼす存在”」と定義付けた。スクウェア・エニックスでは,RMT業者の仕事を,「Hunter」(ゲーム内通貨とアイテムの集め役),「Bank」(Hunterの集めた資金を蓄積する),そして「Front-End」(RMTサイト運営や客引き係)にわけ,「追跡していくと,結局数団体のBankが独占している状態に行き着く」のだという。そしてこの金(ギル)が,北米や日本のプレイヤーへと流れていくのである。

[AGDC 2007]スクウェア・エニックスの田中弘道氏とSage Sundi氏が語る,「ファイナルファンタジーXI」の国際化と現状


FF11は、RMTを厳しく取り締まったMMOとして名高い。強制的にアカウント剥奪をし、ギルを回収したのである。


ただ、ゲーム経済で「インフレ」を引き起こしたのは、そもそも、FF11では、これが引き起こされるゲームデザインになっていたのが問題なのである。RMT業者はこの問題を助長したが、問題の根源は、FF11のゲームシステムそのものなのだ。


まず、インフレの問題になるが、このゲームでは、システムから引き出されたお金を回収する手段がない。


リアル世界の普通の店は、無限のお金をもっていない。露天屋から何百億という金が引き出されることはない。ただし、MMOであるFF11では、そのあたりの露天屋から、拾ったアイテムを売って無限の金を引き出すことが可能だ。


こんなシステムでは、ほおっておけば、いずれ悪質なインフレがおこることは避けられない。バーナンキのヘリコプターマネーではないが、システムから引き出された金がそのまま回収されることもなく、プレーヤー側に蓄積していくのだから、インフレが起こるのは必然なのだ。


また、WoWの例になるが、WoWでは、この問題に対処するため、アイテムに耐久度が設定されており、耐久度が0になると修理が必要になる。修理のためには、鍛冶屋にいくしかないのだが、そこで、プレーヤーはお金を払わないといけない。修理は絶対に必要になるので、そのため、お金はシステム内に吸収されていく。


また、その他にも例えば、druidの場合、feralとresto,balanceの三つのspecが存在し、tankをやるならferalなのだが、balanceからferalに変えようとすると、そこでトレーナーにお金を払わないといけなくなる。ここでもやはり、システム内にお金が吸収される。


また、elite flying mountを買おうとすると5000Gという大金が必要になるのだが、ここでもシステム内にお金が吸収される仕組みになっている。


FF11では、この手の強力なお金の回収手段が用意されていなかった。だから、FF11において、ある時期、インフレが起こったのは必然であって、RMTは、それを助長したにすぎないのである。たしかにRMTは問題だ。だが、そもそも、ゲームデザインとして、インフレを免れ得ないシステムだった点が問題としての根源にあったことは見逃せないのだ。



問題点 ゲーマーの学習曲線を無視したクラスデザイン

これは、これまで述べてきたようなidle timeに関する問題ではない。


僕が、FF11の戦闘システムに非常にはやくから飽きてしまったのは、このゲーム、ゲーマーの学習曲線にあわせてクラスのアビリティを増やしていくというバランスを無視しているとしか思えないからである・・・


僕は、MMOに関しては、覚えることが多くても構わないと思っている。ただし、ゲーマーサイドには、十分な学習期間と練習場所を与えるべきだ。


例えば、初期のエリアでは、基本的な戦闘やインターフェースになれてもらうデザインを行う。

その後、少しづつ先に進むにつれて、レベルがあがるたびに新しいアビリティを覚え、それに習熟するためのクエストやダンジョンがあれば良い。

そして、レベルが最大になった時には、そのクラスの能力にプレーヤが慣れている・・・というのがバランスとして好ましい。


FF11の戦闘システムの最大の特徴は、連携で、WSをつなげることで大ダメージをだせるという仕様だった。これ自体は問題ではない。問題は、全クラス共通で、TPという仕様が存在することだった。これは、プレーヤーがダメージを受けたり与えたりすることでたまっていき、TP100%を超えたとき、武器ごとのWSを使えるという仕様になっていた。


何故、これが問題なのか?というと、どのクラスも全部、これなのである。使えるWSに違いはあるものの、すべてTPを消費して闘うというデザインなのだ。遠距離魔法攻撃以外のクラスは、ほとんどこれだ。


WoWでは、戦士とdruidのbear formがこれと似たrage systemだが、rogueはコンボポイントとenergy systemだし、death knightはruneとrunic power、hunter、shm、paladinはmanaシステムになっている。


また、FF11の魔法攻撃は、ほとんどDirect damageばっかりで、DoT系の魔法専門のクラスがなかった。つまり、クラスのシステムに広がりがないのである。


これでは、違うクラスをやっても面白くないし、違うクラスをやっても、それが劣化○×だとわかった瞬間にやる気が削がれてしまう。


まぁ、その後、クラスが追加され、大分、このあたりはマシになったみたいだけど、はっきりいって、初期9クラスに関しては、デザインを完全に間違ったというのが正直なところだった。TPシステムだけの戦闘必殺技システムとケアルしかないhealデザインは、その後のFF11のゲーム展開において致命的な欠陥を持っていたと思う。


というのも、このせいで、FF11のグループ戦闘は、極めて、単純な「よってたかって一人の敵を袋だたきにする戦隊モノ」になってしまったからだ。

プレーヤーの学習曲線に合わせて、レベルデザインを行い、レベルが上がると、違う戦術が必要になるデザインを行うべきだったと僕は思っている。


最後に

色々と述べ来てたが、FF11は、「一人の敵をよってたかって袋だたきにする」システムとしては、良く出来ていた。連携システムは、この戦闘の枠内では非常に面白い。


この手の袋だたきシステムは、WoWではtank and spankと言われる。最も一般的な戦闘システムで、WoWでも、これは非常に多い。同様に、一番、簡単な戦術とも言われ、これで倒せるボスは、一番簡単なボスと言われる。


今はFF11もだいぶ変わったみたいだけど、tank and spankをレベルmaxまで続けるゲームだったのは、ぼくがFF11をやっていて、すっかり飽きてしまった原因の一つだった。


まぁ、ともかくも、簡単にFF11がストレスの高いMMOになってしまった原因としては、


1 idle timeを無くす為のMMOデザインがなされていなかった事

2 ゲーム内における経済システムの根幹である貨幣システムに致命的な欠陥をもっていた事


の二つが大きいと個人的には思っている。


その他に、クラスのデザインや、戦闘システムを中途半端に、オフラインゲームであった頃のFFから受け継いでしまった為に、非常に偏ったクラスバランス、単調な戦闘システムという問題を生んでしまったと思っている。


今回のFF14では、そういった問題について、どう対処をみせてくれるのかが、一つの楽しみとしてはある。


まぁ、いつもの通り、予想の斜め下をいくゲームになるのかもしれないが。

shuji_w6eshuji_w6e 2009/06/25 07:15 healerかぁ・・・MMOとは違うけどGuild WarsのMonkは単純なhealerに収まらず最も玄人好みでPスキルも必要なjobでしたね。TvTに特化したシステムだからできた芸当かもしれませんが。