岩手のニュース

岩手県立27医療機関 救急患者10%減

 岩手県内27カ所の県立病院・地域診療センターの総救急患者数が2008年度、前年度比で10%以上も減少したことが、県医療局のまとめで分かった。安易な時間外の夜間外来の利用など「コンビニ受診」を控える傾向が県民の間に広がりつつあるようだ。ただ、医師不足で急患対応が手薄になった側面もあり、「地域医療の立て直しには、さらなる住民の協力が必要」と医療関係者は指摘する。

 08年度の急患合計は15万5906人で、07年度を1万7849人(10.3%)下回った。医療局によると、急患は増加もしくは横ばい状態だったが、3.9%減った07年度に続く大幅ダウンとなった。

 統計方法を変更した軽米(51.4%減)、2次救急の担当ではなくなった大東(一関市、50.7%減)の両病院を除いても9.1%減。前年度比減は23カ所に上った。

 多くの病院が指摘するのが住民の意識変化だ。山田病院(20.4%減)は「急患を拒んではいない。医師不足や勤務医の負担増が報道され、コンビニ受診が減ったのかもしれない」と、急患の大半を占める発熱などの軽症患者が受診を控えた可能性を指摘する。

 久慈病院(14.6%減)も「(コンビニ受診抑制に向け)地域で医療懇談会などを開き、住民に理解を求めてきた効果が出てきた」と言う。
 地元市町村の協力も背景にありそう。「市が広報や独自のリーフレットなどで、受診マナーの徹底を呼び掛けてくれている」と遠野病院(12.8%減)。胆沢病院(11.9%減)は「市とともに医師会の動きもある」と、奥州市が07年6月から、開業医の協力を得て運営する小児夜間診療所の存在の大きさを挙げる。

 一方で、沼宮内病院(岩手町、24%減)が「常勤医の退職などで、重症患者の時間外診察は難しくなっている」と言うように、医師不足の影響も出ている。大東が2次救急から手を引いたのも医師の退職が理由だ。
 二戸病院(12.8%減)の佐藤元昭院長は「住民の意識は変化してきたが、医師の負担感はまだ変わらない。重症患者をきちんと診るためにも、住民の皆さんの協力がもっと必要だ」と話す。


2009年06月25日木曜日

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