2007年08月30日

 7月22日に行われた『Core 2 Quad Q6600』の価格改定と同時に出回り始めた、G-0ステッピングの『Core 2 Quad Q6600』を入手したので、以前から出回っていたB-3ステッピング品との比較を行いました。


G-0 Stepping   B-3 Stepping




テスト概要

 今回比較を行ったのは、7月22日以前から出回っていたB-3ステッピングの『Core 2 Quad Q6600』と、B-3ステッピングに改良を加え、TDPの引き下げとTcaseの引き上げが行われたG-0ステッピングの『Core 2 Quad Q6600』です。


比較を行ったCPU
モデルクロックコア数L2FSBTDPTcase
Q6600 [G-0]2.4GHz
(266×9)
44MB×21066MHz95W71℃
Q6600 [B-3]2.4GHz
(266×9)
44MB×21066MHz105W62.2℃


 どちらも性能に関わるスペック(動作クロック、L2キャッシュ容量)は同じになっていますが、TDPの引き下げとTcaseの引き上げが行われたことで、G-0ステッピング品の方がスペック上では低発熱・低消費電力で最大動作温度も高くなっており、CPUの冷却が容易になっている事が期待されます。

そこで、今回はパフォーマンスではなくコア温度や消費電力を中心に比較をしていきます。



テスト環境

 今回の比較テストではCPUクーラーの性能差で温度差が出ないように、『Core 2 Quad Q6600』に付属しているリファレンスクーラーとOCZの銀グリス『OCZ Ultra5+』を使い、ファンの回転速度は2500rpm程度に固定しています。

その他のテスト環境は以下の通りです。


テスト環境
CPU定格:2.4GHz(266×9)、FSB 1066MHz、L2 4MB×2
OC時:3.0GHz(333×9)、FSB 1333MHz、L2 4MB×2
MEMDDR2-667 8192MB
2GB×4、デュアルチャンネル
M/BDFI 『LANParty UT P35-T2R』
HDD320GB 『HGST 5K160 80GB』×4
VGARadeon HD 2600 XT [GDDR4]
OSWindows Vista Ultimate 64bit



使用したCPUクーラー   使用したグリス




コア温度の比較

 まずはWindows上からCPUコアの温度をモニター出来るソフト『Core Temp 0.95』を使って、CPUコアの温度比較を行いました。

なお、Windows Vistaの64bit版でそのまま『Core Temp』を起動しようとしてもエラーが立て続けに表示されて起動できませんが、Windows Vista起動時に"F8"を押して起動オプションの「ドライバ署名の強制を無効にする」を選択して起動すればWindows Vista 64bit版でも『Core Temp』を起動する事が出来ます。情報をくださったMazeさん、ありがとうございました。


アイドル時のコア温度
フルロード時のコア温度


 比較テストの結果では、アイドル時・フルロード時ともにG-0ステッピング品がB-3ステッピング品よりもコア温度が低いという結果になっています。

特にフルロード時のコア温度比較で、定格動作のB-3ステッピング品よりも3GHzにオーバークロックしたG-0ステッピングの方がコア温度が低くなっていることを見ると、TDPの10W引き下げがスペック上の話だけでないという事が判りますね。



システム全体の消費電力

 次に、G-0ステッピング品とB-3ステッピング品の消費電力を比較するため、ワットチェッカーを使いシステム全体の消費電力を計測しました。


システム全体の消費電力


 比較グラフからも判るように、G-0ステッピング品とB-3ステッピング品では消費電力に明確な差がついており、定格動作でアイドル時に6W、フルロード時に14W程度G-0ステッピングが低い消費電力になっています。

この差はオーバークロック時にはさらに大きくなっており、フルロード時には20W以上の差がついています。G-0ステッピング品には、発熱だけではなく消費電力面での優位性も確実にあると言えますね。



パフォーマンスの比較

 TDPとTcaseを除く基本的な仕様はG-0ステッピング品・B-3ステッピング品共に同じなので、パフォーマンス上の差は無いはずですが、念のために『SiSoft Sandra XII』を使ってパフォーマンスの比較を行いました。


パフォーマンス比較1
パフォーマンス比較2
キャッシュとメモリの転送速度


 当然と言えば当然の結果ですが、G-0ステッピング品・B-3ステッピング品の間にパフォーマンス差はほとんど見られません。

「Arithmetic Dhrystone ALU」と「Arithmetic Whetstone FPU」の項目で、G-0ステッピング品のほうが若干高いスコアとなっていますが、ベンチマークを複数回実行するとこの程度の差が生じることはよくあるので、実質ほとんど性能差は無いと考えて良いでしょう。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 最後に行ったパフォーマンス比較では優位性を示せなかったものの、コア温度や消費電力面では明らかにG-0ステッピング品のほうが優れていると言えます。

パフォーマンス面での優位性が無いため、既にB-3ステッピングの『Core 2 Quad Q6600』を使っている方が敢えてG-0ステッピング品に乗り返る必要はありませんが、これから『Core 2 Quad Q6600』を購入する場合には、G-0ステッピング品を選ばない理由はほとんど(*)ないでしょう。


* 『Core 2 Quad Q6600』対応を謳っているマザーボードでも、新ステッピングとなるG-0ステッピングに対応していないものや、BIOSをアップデートする必要がある場合があります。

こういう場合には、敢えてB-3ステッピングを選択する事があるのかもしれないです。





関連情報
Core 2 Quad Q6600の最安値 [coneco.net]
倶楽部あるだん [Core 2 Quad Q6600のOC検証など]
OverClock Community2 [Core 2 Quad Q6600のOC検証など]

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コメント一覧

1. Posted by Maze    2007年08月31日 19:25
Commando、再び動くようになるといいですね。それにしても、G0&P35-T2Rとは羨ましい。八月に入ってからx3220&P5DG2 WS PROで組み直して稼動させていますが、i975xってこんなに熱かったっけという感じで参ってます。(680iは劫火の如くですが・・・・) P35の発熱というか、P35-T2Rのヒートパイプ冷却の具合はどうです? 

Vista64のドライバ署名〜の件ですが、第三の手段がありました。といっても私は試していないので確認していませんが、よろしかったらどうぞ。ttp://forums.erodov.com/showthread.php?p=15559#post15559

リンク先で手に入る*.zipファイルの中にある"coretemp-startup.bat"を"coretemp"の前に実行すればOKだとか。

2. Posted by 瀬文茶    2007年09月04日 23:14
Mazeさん、こんにちわ。
レスが遅くなって申し訳ないです。

 P35-T2Rのヒートパイプ冷却ですが、実はコメントを頂いた頃からボチボチ検証を行っていました。ざっと見た感じでは、COMMANDO(P965)よりも発熱は少ないようです。検証結果はいずれどこかでアップしたいと思います。

ところで、検証しながら気がついたのですが、チップセットの温度は搭載しているビデオカードが結構影響しているみたいです。(8800 GTSだからかもしれませんが…)

 Vista64の第三の手段を実行したところ、特に問題なくCore Temp 0.95.4を起動することが出来ました。

これで「PCが起動してからドライバ署名の強制を無効にし忘れていた事に気づいて再起動する」なんて事はなくなりそうです。情報ありがとうございました。
3. Posted by Maze    2007年09月11日 20:47
いえいえ、お構いなく。

なるほど、よさそうですね>>発熱 Intelサイドの宣伝だとTDPが下がったという話でしたけれど、全体的に各社P35マザーのヒートパイプ&ヒートシンクが以前よりも派手になっていてどうなのかなと思っていました。検証結果、楽しみにしています。

自分で試さず終いでしたので恐縮ですが、了解しました>>coretemp-startup.bat

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