職員が官製談合にかかわったとして、国土交通省が公正取引委員会から改善措置を求められた。入札・契約改革の推進役だった同省が、二度も官製談合の是正を要求されるとはどういうことか。
公取委はまず、国交省北海道開発局発注の公用車管理運転業務の入札で、同局幹部が特定の社に有利な情報を伝えて官製談合に関与したと、官製談合防止法を適用し同省に改善措置を求めた。
さらに同局や同じ国交省の出先機関である八地方整備局発注の入札で十社が談合したと、独占禁止法違反で排除措置と課徴金納付を命じた。
官製談合の当事者が国交省職員であることが驚きである。
一九九〇年代のゼネコン汚職摘発以来、公共工事など入札改革を推進したのは国交省だ。公共工事入札・契約適正化法の施行、一般競争入札の拡大などである。
ところが、二〇〇七年三月、河川やダムの水門工事をめぐる談合に職員がかかわったと、同省は公取委から官製談合防止法により、改善措置を求められている。改善を要求されるのは、今回で二回目だ。改革の旗振りとして、国民にどう釈明するのか。
不祥事発覚のたびに、もっともらしい再発防止策が公表されてきたが、これでは公共事業全体への不信が再燃する。不退転の覚悟で改善策をたてるべきだ。
官製談合の舞台が北海道開発局というのも、「またか」との印象を強くする。昨年六月、同局発注の公共工事をめぐる競売入札妨害の疑いで、本省の北海道局長らが逮捕されたからだ。
省庁再編で旧北海道開発庁は国交省に統合、本省北海道局、出先の北海道開発局となったが、道内の国の直轄公共事業は今も北海道開発局が一元的に行う。しかも旧開発庁出身者は、他省庁出身者との交流が少ない。道内の特定企業との癒着を疑う声も強い。
この際、北海道局と開発局を解体し、他地方の整備局、農政局に準ずる機構に模様替えをし、職員は全国的に人事交流を行い、禍根を断つべきではないか。
公用車の管理・運転業務は、外部に発注が必要か。多くの自治体のように職員自身が運転・管理に当たり、夜間など必要ならタクシーを活用するのが常識だろう。
特定業者に業務を委ねるのは、一部職員の天下り先確保のためではないか。そうだとすれば構造的な腐敗といえる。納得のいく理由を示してもらいたい。
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