民主党の菅直人代表代行が18日、毎日新聞のインタビューに応じ、今月6~11日の英国訪問を踏まえた政権運営構想を語った。
--英国と日本の政権運営の違いは。
◆英国では根回しは閣僚や政治家の仕事で、官僚はしない。日本では例えば道路特定財源を守るために国土交通省が与野党と自治体を巻き込んであらゆる手を使った。
--民主党が目指す政権運営は。
◆役人任せにしてきた与野党議員の国会での質問内容の事前収集なども含めて自分たちでやる。内閣と国会運営全部に政権党として責任を持つ。
--実現可能か。
◆今は何百人という官僚が組織的に質問取りをしている。「本来政治家の仕事だがしばらくは官僚に」という中間過程が必要かもしれない。
--政権運営構想をどう作るか。
◆鳩山由紀夫代表が「自分が中心で作る」という考えだ。93年の細川政権では事前準備が全くできず、自民党の攻撃から守りきれなかった。国民に構想を示すことで民主党政権への不安が少なくなり、大いにプラスだ。
--局長級以上の官僚に辞表を求めるか。
◆機械的に辞表を出させるのは国家公務員法の関係で難しい。「脱官僚」は反官僚、官僚排除では全くない。官僚の経験、知識を政策立案に活用したい。政治家と官僚の役割は違うことを理解してもらい、新しいビジネスモデルにおける協力関係を作りたい。
--各省事務次官との選挙前の公式協議は要求するか。
◆英国と違って日本には慣例がなく、省庁側もどう対応すべきか分からないだろう。政権運営構想を党全体で共有した後、官僚の皆さんとぜひ議論したい。
--小沢一郎前代表時代は政権運営構想策定が進まなかった。
◆小沢さんは自民党、細川政権、自自公連立政権と中心メンバーとして経験し、百戦錬磨。我々も「小沢頼み」的なところがあった。鳩山代表の経験は官房副長官で、小沢さんほどではない。「ちゃんと準備しておこう」となった。
--発表はいつか。
◆それよりも鳩山代表が党内や連立を組む党の幹部、官僚などと意見交換し、実感を持つ作業が優先される。【聞き手・田中成之】
毎日新聞 2009年6月19日 東京朝刊