EVA、再擧/庵野監督インタビュー(Newtype6月号)

 放映終了の余韻も冷めやらぬうちに、大ニュースをお知らせ!「エヴァンゲリオン」映画化決定!!・・・今回は映画化を記念して、庵野監督の特別インタビューを敢行。賛否両論あるが、これだけ論争を巻き起こす作品は珍しい。裏を返せば「エヴァ」は確実に視聴者の心に爪痕を残した。
 庵野監督が最終回に込めた“気分”を感じとってほしい。自分なりにその意味を考え、受けとめてほしい。そして「エヴァ」の“再擧”をしばし、待て!・・・(中略)


 「TVでオンエアした25・26話は、僕のあの時点の気分がストレートに反映しています。だから僕の中では満足なんですよ。・・・本当は、表現としては絵に描いたものすら必要ないんじゃないかと思う。実際は、僕が出てしゃべってもよかったんです。・・・“セルじゃないから手抜きだ”なんて文句をつけてくるアホウな連中に何か言いたかったわけですね。それは解放なんです。・・・(中略)
 いちばん最初に試みたのは、16話で“線”にしゃべらせたときですよ。アニメーションはただの記号で構成されているものだから、最初からウソの世界でしょう。虚構なんです。誰もドキュメンタリーとは思わない。でもフィルムの中にドキュメンタリズムを入れてみたい−−−というのが僕なりのライブ感覚なんです。TVアニメで記号論を破壊する方法はめずらしいでしょうね。線画が出たときに、業界の一部の人間に手抜きと言われましたが、あれを手抜きと見る時点でもうダメです。あれを“表現”として狙っていることに気づかない、というより、観念がすでに存在していない。」・・・(中略)
 一部のコアなファンからは否定論も出た26話。もちろん本来のストーリーを描かなかったという点で、フラストレーションを感じたファンがいるのも事実だろう。パソコン通信などではストレートな“口撃”も多いと聞く。しかし一方で、この最終話が「エヴァ」の最高視聴率を記録し、普段アニメを見ない視聴者から“エヴァンゲリオンてすごいですね!”という声が届くのもまた事実である。
 「パソ通やってる人間は頭が固い人、多いです。自分の部屋で閉塞してやっているのに、全世界に広がっているイメージをもってしまう。・・・あと秘匿性ですね。・・・“庵野なんか死んでしまえ”と言いますよね。・・・それって便所の“落書き”でしょう。名前を書く必要がないんです。それが延々と自分の部屋で続いている。・・・少しは世間を知り、現実に帰れと言いたい。・・・」(後略)