首都ホニアラのあるガダルカナル島はソロモン諸島最大の島で、東西160km、南北48km、頭を西に向けたアザラシを思わせる形をしている。起伏が激しく切り立った尾根が続く中央部から南側にかけては、年間5,000mmを超える雨が降る。特に、6月から9月にかけて激しい雨が降り、毎年のように農作物や住居が洪水に見舞われる。一方、ホニアラのある北側は、12月から4月にかけて雨が多いが、それでも年間降水量は平均2,154mmで、南側の半分以下である。
面積5,336平方kmのガダルカナル島に約70,000人が生活しており、その約70%がホニアラとその周辺、20%が南側、10%が中央高地で生活している。島を一周する道路はなく、西側のランビ(Lambi)からホニアラを通ってアオラ(Aola)までの約45kmは4WD車があれば走破できる。また、南東部のアブアブ(Avu Avu)とマキナ(Makina)を結ぶ道路も車で走れる。それ以外は歩くか、カヌーでの往来となる。
ガダルカナル島にヨーロッパ人が初めて訪れたのは1568年4月、スペインのメンダナ探検隊がサンティエゴ号で寄港している。その後約200年間、ガダルカナル島を訪れたヨーロッパ人はなく、1788年と1790年にイギリス人が寄港している。
首都ホニアラ
首都ホニアラはガダルカナル島の北側中央よりやや西に位置する特別行政市。統治国の英国が首都をガダルカナル島の北に位置するツラギからホニアラに移したのは、第2次世界大戦が終結した直後であった。移転の理由は、旧首都ツラギの破壊が凄まじく復興に時間がかることと、ホニアラからククムにかけてはアメリカ軍が物資輸送のために造った埠頭や道路、貯蔵施設があり、
ホニアラ(旧ヘンダーソン)飛行場を含めて利用できることが決め手になった。
空港からホニアラへのアクセス
ソロモン諸島の空の玄関口ホニアラ国際空港はホニアラの東11kmにあり、ホニアラ市内へはタクシーまたはミニ・バスを利用する。ミニ・バスはトヨタのハイ・エースで12人乗り、大きな荷物がある場合は断わられる。タクシー料金は
事前に交渉で決めることになるが目安はSI$45.00ほど。ミニ・バスはSI$2.00と安いが、初めての旅行者には乗り場など利用法が分かりにくいかも知れない。
ホニアラを歩く
空港からククム・ハイウエイを西に約8km走るとソロモン諸島の産業地区ラナディがあり、トレーディング・センターやホニアラ・ゴルフコースがある。さらに2kmほどでククム地区に入る。ホニアラに隣接した地区で、南太平洋大学ソロモン校やソロモン諸島マラリア研究所、スポーツセンター、中央病院、職業訓練所などがある。ククム地区を過ぎてマタニコ川を渡るとホニアラの市街地となる。
マタニコ橋の手前左手がチャイナ・タウン、川を渡ってメンダナ・アベニューを20分ほど歩くと議会や観光局、航空会社、銀行などの集まる中心地区になる。
日本大使館を始め、豪、NZ、EU、英、PNG、台湾各大使館もこの辺に集中し、国際機関事務所も数多くある。観光局の海側にはソロモン・キタノ・メンダナ・ホテル、山側100mにはキング・ソロモン・ホテルがある。市街地は30〜40分もあればすべて見て回ることができる。
ソロモン観光局 Solomon Visitors Bureau (677-22-424)
1997年に組織変更して再出発したもので、それまでの投資を中心とした対応から、一般観光客を含めた幅広い対応ができるようになった。ホニアラの中心にあり、営業時間は平日の8:00〜16:30、土曜日の9:00〜12:00。
ガダルカナル・トラベル・サービス Guadalcanal Travel Services (677-22-587)
ソロモン観光局の東100mの所にある。旅行代理店はほかにもあるが、国際的サービスが期待できるのはここだけである。
ホニアラの見どころ
議会 Parliament
アシュレイ通りがハイビスカス・アベニューに突き当たる地点にあり、1993年にアメリカの資金援助によって建てられた。しかし、議員会館やそれに伴う福祉施設は資金不足で未完成のままである。見学時間は11:00〜12:00、14:00〜15:00。
国立博物館 The National Museum (677-22-309)
観光局の向いにあり、規模は小さいが民族文化センターが併設されている。館内にはカヌーや伝統的儀式に使われた道具、貝細工などが展示されており、レプリカも販売している。開館時間は平日の9:00〜16:00と、土曜日の13:00まで。入館料は無料。
植物園 Botanical Garden
ホニアラの西の外れにあるロブ・クリーク沿いにある。3,000種類を超える熱帯雨林の植物標本があり、特にランの豊富な種類が素晴らしい。開園時間は月曜から金曜日の7:30〜12:00、13:00〜16:00。
チャイナタウン Chinatown
マタニコ川のすぐ東、チャン・ワー通り沿いに400mほど続く地区で、その名の通り活気に満ちた中国人の街である。銀行やレストラン、そして南の外れにはホニアラ・ホテルがある。
ガナルカナル島と第二次世界大戦
1942年5月、日本軍はガダルカナル島の対岸にあるツラギ島に上陸し、翌年2月にガダルカナル島北西部のエスペランス岬から撤退するまでの9ヵ月間、陸と海での悲惨な戦いが続き、日米両軍に多くの犠牲者を出した。ガダルカナル島での最初の戦いは、1942年8月7日に日本軍が建設したルンガ飛行場を奪取するためにホニアラの東約15kmにあるレッドビーチに上陸したアメリカ軍と、それを取り戻すために8月18日にタイボ岬に上陸した日本軍一木支隊の間で行われた。ルンガ飛行場はアメリカ軍によって拡張されて、
ミッドウェー海戦で日本の零戦に打落とされた米軍パイロットの名前を冠してヘンダーソン飛行場と呼ばれるようになった。このアリゲーター・クリークを挟んでの戦いは2日間におよび、一木支隊の将兵800人の凄まじい抵抗が今日まで語り伝えられている。この後、日本軍はブラッディ・リッジ(血まみれの丘)からギフ・リッジ、シー・ホース・リッジと激戦を続けながら次第に島の西へと撤退することになった。この間に、日本軍はマラリアなどの病気や餓死による死者も多く
(この為、この島を別名餓島と呼んだ)、1943年2月にガダルカナルを放棄した。
また、海での戦いも1942年8月7日の第1次ソロモン海戦から11月30日のルンガ沖の海戦まで9回行われた。特に8月23日から24日にかけての第2次ソロモン海戦は日米両軍で73隻、10月26日から27日にかけての南太平洋海戦では同じく72隻が戦ったと記録されている。
地獄の岬 Hell's Point
ホニアラ国際イ空港の東にあるアリゲーター・クリークが海に出る場所が「地獄の岬」と呼ばれる。1942年8月20日、日本軍一木大佐の率いる将兵800人が「バンザイ」を叫びながらアメリカ軍の機関銃に向かって突撃した。
血染めの丘 Bloody Ridge
現在のホニアラ国際空港の南にある丘で、アメリカ軍の基地を攻撃した日本軍(川口支隊と仙台第二師団)はここで2,000人の兵士を失ったと言われている。
ギフ高地とオースティン山 Gifu ridge & Mt Austen
標高400mのオースティン山からギフ高地を通ってククムへの道は、日本軍がアメリカ軍に対して必死の抵抗を見せた場所である。ククムまで4kmほどの地点には、ガダルカナルで戦死したすべの人々の霊を慰めるために日本が建設したソロモン諸島平和記念公園がある。
米軍の戦争記念碑はスカイライン・リッジ(市内から車で10分)にある。
タサファロング岬 Tasivarongo Point & Reef
1942年10月と11月に日本軍の2つの師団が上陸した地点で、岸辺からすぐのところに輸送船の鬼怒川丸と広川丸が沈んでいる。鬼怒川丸の船体の一部は海面から出ており、広川丸は海面下3mから斜めになっている。2隻の回りにはカラフルな魚が群れており、ボンギ・ビーチの使用料を支払えば簡単に近付ける。
ホワイト・リバー村 White River Village
タサファロング岬に上陸した2個師団が1943年1月まで、ここに司令部を置いた。この地を撤退する直前には、ホニアラ中心部に配置していた2つの大隊がキタノ・メンダナ・ホテル附近で全滅している。
エスペランス岬 Cape Esperance
1943年1月から2月にかけて、ガダルカナル島の北西にあるこの岬から11,000人の日本人将兵が撤退した。将兵のほとんどは病気であったり餓死寸前であったことが伝えられている。日本軍はガダルカナル島の西に位置するニュージョージア島、コロンバンガラ島へと防衛線を後退させたが、いずれもアメリカ軍の攻撃を受け1943年10月にはソロモン諸島から完全に撤退した。
エスペランス岬から西約2kmにあるタンベア(Tambea)には、撤退前に死亡した日本人将兵200人を偲ぶ記念碑が建っている。
ホニアラのアクティビティ
ダイビングとシュノーケリング
ガダルカナル島とホニアラの沖合に浮かぶフロリダ諸島の間に横たわる海峡をアイアン・ボトム・サウンド(鉄底海峡)と呼ぶ。その名の通り、この海峡には日米両軍の艦船が数十隻沈んでおり、至る所がダイビングスポットだ。最も近いポイントはキタノ・メンダナ・ホテル沖のメンダナ・リーフで、浅瀬にアメリカ軍の戦闘機が沈んでいる。水温は1年中27〜28℃で視界も30m以上と良好。
アイランド・ダイブ・サービス Island Dive Services(677-22-103)
キタノ・メンダナ・ホテルにあるダイビング・サービス。日本人ダイバーは、ほとんどがここを利用する。シュノーケリングの道具もレンタルがあるが、数が少ないので持参するほうがよい。
レッスゴー・ダイビング Let's go Diving Ltd(20412)
キング・ソロモン・ホテルにあるダイビングショップ。
その他スポーツ
数は多くないが、テニスコート、スカッシュコート、ゴルフ場があり、その他スキューバ・ダイビングも盛ん。スポーツとしてはサッカーに人気があり、ラグビー・野球も人気が高まってきている。最近、日本ソロモン友好協会が野球道具をソロモン野球連盟に寄付した。
シュープリーム・クラブ Supreme Club(20629)
ビリヤード、フィットネス・ジム、スカッシュ・コート、バスケットコート等がある。
ガダルカナル・クラブ Guadalcanal Club(20796)
テニスコートがある。現在は主に現地の人々の交流の場としても使われている。
ホニアラ・ゴルフ・クラブ Honiara Golf Club(30181)
会員制。ノミネーション費としてSI$500支払い、会員として認められたら年会費SI$150を払う。非会員は9ホールでSI$25、18ホールでSI$50のプレー代を払う。
ホニアラのホテル
首都ホニアラには予算に応じて利用できるホテルが13軒ある。料金の安いホテルはバックパッカーの利用が中心でシャワーやキッチンは共同使用。近代的なホテルは数軒のみ。
キタノ・メンダナ・ホテル Kitano Mendana Hotel (TEL:677-20-071)
ホニアラ空港から車で15分、目の前に海岸が広がるホニアラ市街の中心にある。ホテルの名前は、ソロモンを発見したスペイン人メンダナに因んで付けられたもので、現地の人は単にメンダナ・ホテルと呼ぶことが多い。ソロモン諸島では最大の第1級のホテルで、スイートや家族用の部屋もあり、全97室にエアコンが付いている。プールやレストラン、バーも完備しており、毎週金曜日と日曜日の夜には伝統的な民族舞踊が催される。日本食のサービスがある。
総支配人とマネージャーが日本人で、親切に対応してくれ、各種ツアーの手配も安心して頼める。また、ホテルにはダイビング・ショップもあり、ダイビングはもちろんシュノーケリングやカヌーなどのマリンスポーツも
いろいろ用意されている。また簡単なクルージングのアレンジも可能。なお、支払いについては日本円でも可。
キング・ソロモン・ホテル King Solomon Hotel (TEL:677-21-205)
キタノ・メンダナ・ホテルの山側100mほどにある全15室のホテルで、一部改装して設備が充実した。レストランとバー、プールのほかにディスコがある。ディスコは金曜と土曜日の夜は2時まで営業している。レストランは2つあり、イタリアンレストランのピザに人気がある。
ホニアラ・ホテル Honiara Hotel (TEL:677-21-737)
ホニアラ市街の東にあるチャイナ・タウンの南に建つホテル。部屋数は66室で、シャワーを共有する低料金の部屋からテレビやエアコンの付いた部屋までいろいろ用意している。ダイビングサービスもある。レストランは味に定評があり、水曜と日曜日にはショーを見ながらディナーが楽しめる。
レレイ・リゾート Leley Resort (TEL:677-20-720)
ホニアラの西、約3kmにある比較的新しい海辺のリゾートで、設備の整った全6室がある。リゾートに併設されているトモコ・レストランは、ホニアラで一番との評判である。
カジノとバー
ホニアラにはホテルのバーのほかに数軒のディスコ・バーと4軒のカジノがある。ホテルのバーはどこも安心であるが、そのほかのバーは問題もあるようなので旅行者は避けたほうがよい。
カジノは4軒で、観光局からメンダナ・ストリートを東に300mほど歩いたウエストパック銀行の隣に、ソロモン・カジノとホニアラ・カジノが並んでいる。ルーレットはSI$1.00からで、ブラックジャックとバカラはSI$5.00から。営業時間は11:00〜15:00。
ホニアラのレストラン
キャピタナ・レストラン Capitana Restaurant (677-20-071) 日本食・洋食
メンダナホテル内にある。日本食が食べられるレストランとして日本人客に人気がある。毎週水、金の晩は、和・洋食ビュッフェディナーが提供されている。
シー・キング・レストラン Sea King Restaurant (677-23-678) 中華料理
味に定評がある。台湾系の中華料理店として代表的なレストラン。
キング・ソロモン・ホテル・レストラン King Solomon Hotel Restaurant (677-21-205) 洋食
ホンコン・パレス Hong Kong Palace (677-23-338) 中華料理
値段が手頃で人気がある。日本大使館の裏側にある。土・日の昼には飲茶(ヤムチャ)が楽しめる。
フォーチュン・レストラン Fortune Restaurant (677-20-629) 中華料理
日本人の口に良く合い、メニューが豊富。日曜の昼は飲茶(ヤムチャ)がでる。
ホニアラ・レストラン Honiara Restaurant (677-20-629) 洋食
コロニアル雰囲気が残る西洋レストラン。
ライム・ラウンジ Lime Lounge (677-23-064) カフェ
ソロモン唯一のカフェレストラン。おいしいショートブラックが飲める。
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