「ユリの女王」と異名をとるカサブランカの香りを弱める方法を農業・食品産業技術総合研究機構花き研究所(茨城県つくば市)が開発した。24日発表した。花瓶の水に市販の薬品を混ぜるだけで済むという。強過ぎる香りで敬遠されがちだったレストランなどに飾りやすくなるという。
カサブランカは白い大輪の花をつけ、豪華な美しさと甘く濃厚な香りで知られる。しかし10畳の部屋に数本の花を置くと、むせ返るような香りが充満するのが課題だった。
研究所の大久保直美主任研究員らは香りの成分を分析。強い香りをもたらす物質は、主にクレゾールなどの「芳香族化合物」と特定。花が芳香族化合物を作るのを妨げる薬品で、生け花の延命に使われる「アミノオキシ酢酸ヘミ塩酸塩」を、花がつぼみのうちに、花瓶の水1リットルあたり約0.01グラム(耳かき1杯分)加えて実験した。
その結果、24時間後には開いた花が放つ香り物質が通常の約8分の1に減り、大幅に香りが弱まることが分かった。「イエローウィン」など他の香りの強いユリにも有効で、薬品の量に応じて香りの強さを調整できた。花1本あたりの薬品代は約0.8円という。【高木昭午】
毎日新聞 2009年6月24日 19時30分(最終更新 6月24日 20時14分)