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もったいない精神もアピールできる「私のアニメ館」の提案

 そもそも、なぜ政府は「アニメの殿堂」をお台場につくると決めているのか。展示内容もはっきりとしないうちに、建設地だけは最初からお台場に確定しているのが妙である。

「アニメの殿堂」ならば、オタクの聖地である秋葉原につくるのが筋だろう。そうすれば、国際的にもアピールできる。さもなくば、アニメやマンガになじみの深い杉並や高田馬場でもいい。

 それが、ほとんど議論もされることなく、お台場に決まった背景はどこにあるのか。おそらく、臨海副都心開発で売れ残った土地がたくさんあり、東京都が困っているのを見かねて政府が助け船を出そうということに違いない。だが、それでは東京都の不良債権処理に税金を投入することになりかねない。

 そうしたインサイダー取引まがいの行為に巨額の税金を使うくらいだったら、処分に困っている既存の施設を使った方がずっとよいのではないか。

 そこで、わたしに提案がある。「私のしごと館」の建物を「アニメの殿堂」に流用したらどうか。

 仕事館の延べ床面積は3万5000平方メートルある。お台場に予定されている建物の3.5倍あるからスペースは十分。これなら数多くのものを保存、展示できる。なにより、建設費用が一切かからないというのがいい。

 アクセスの悪さも、オタク相手ならば問題ない。オタクは根性があるから、どこにでも出かけるし、むしろアクセスが悪いくらいのほうが人気が出る可能性だってある。初期費用が安く済むので、入場料も低く抑えられる。

 一方で、とんでもない不良債権の建物があり、一方で無駄遣いが叫ばれている新規の施設がある。この2つを組み合わせることでいい解決になる。これこそ、政府の普及させたかった「もったいない精神」ではないか。

 建物のネーミングをわたしにまかせてくれるなら、ぜひ「私のアニメ館」にしたい。アニメやマンガとともに、もったいない精神を世界に広めるいいシンボルとなるはずである。

 わたしにはこれ以上ない妙案と思えるのだが、いかがだろうか。

森永卓郎(もりながたくろう)
森永 卓郎 1957年東京都生まれ。東京大学経済学部卒。日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画局(出向)、三井情報開発総合研究所、三和総合研究所(現:UFJ総合研究所)を経て2007年4月独立。獨協大学経済学部教授。テレビ朝日「スーパーモーニング」コメンテーターのほか、テレビ、雑誌などで活躍。専門分野はマクロ経済学、計量経済学、労働経済、教育計画。そのほかに金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開している。日本人のラテン化が年来の主張。

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皆様からお寄せいただいたご意見

お台場にするならビックサイトの修繕+増築をしてそこに入れて欲しいです。
ビックサイトはコミックマーケットを開催できる日本で唯一の建物ですが、老朽化が進んでいますので。(同人オタク)(2009年06月24日 20:43)

森永さんの不良資産有効活用案に賛成です。
単に反対するだけではなく、この様な意見が政治家から出るべき。
廃棄すれば投入した税金を捨てることになるし、維持しても無駄な税金を使うことになる。
これをなんとかしようとするなら森永さんのような提案が出てもいいのでは?
真面目に国の経営を行っていただきたいものです。(2009年06月24日 18:45)

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