反戦運動と結びつくスパイ活動 沖縄・嘉手納飛行場
2009/06/24 09:53更新
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世界最強を誇る米軍の中で最大の戦闘航空集団とされる第18航空団が拠点にしている沖縄・嘉手納飛行場は、北東アジアから東南アジアにかけての安全保障の要としてつくられた。だが、いまや北朝鮮の核実験、さらには南シナ海における中国艦船を追う情報基地としてクローズアップされるようになり、それが反戦平和を旗印にした沖縄の反基地運動の監視対象となりつつある。そんな反戦機運の中で今度は中国など海外からのスパイ活動が活発化しようとしている。
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記事本文の続き 「リムピース 追跡!在日米軍」と名付けられたウェブサイトが最近、大きな注目を浴びた。「リムピース」とはハワイ周辺海域で行われる、いわゆる日米合同軍事演習を意味する「リムパック」に対し、環太平洋平和活動という意味で命名されている。いわば基地撤去を求める反戦平和運動の延長線上にある。
そのリムピースが今年4月14日、嘉手納基地に駐機するWC135大気収集機、通称「コンスタントフェニックス」の機影を最初にとらえたからだ。
コンスタントフェニックスは旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故のさいにいち早く放射性物質を検出したことで知られる。放射性物質の観測でこれほど高性能な機能を発揮する偵察機は以前は複数あったが、いまは1機しかない。当然ながらその動向は極秘だった。
リムピースはそれをいち早く撮影し、リアルタイムで「ミサイル発射翌日にはすでにスタンバイしていた。北朝鮮の核実験あるいは核開発再開をかなり以前から予想し、準備していた」と解説して軍事専門家をうならせたのである。
実は、こうした撮影を可能にしていたのが基地そばにある「道の駅かでな」だった。「道の駅」は全国に900カ所近くあり、国土交通省が進める地域振興施設のひとつなのだが、嘉手納基地の場合、4階建ての道の駅施設屋上から広大な基地を見渡せるようになっている。結果、米軍基地が一望できる国際的な人気スポットになった。
そうした海外からの観光客の中に中国人基地監視グループも含まれていた。地元旅行社添乗員は次のように話している。「中国の団体客はかならず嘉手納基地をみたがるが、2年ほど前から5、6人の妙なグループが交じるようになった。普通の団体客とは別行動をし、タクシーをチャーターして嘉手納だけでなく普天間や那覇軍港、ホワイトビーチなどすべての米軍基地を連日、訪問する。日本語のやたらうまい通訳までつれており、基地監視が目的とすぐにわかった」
このグループは「道の駅かでな」屋上の軽食店員らにも目撃されていた。「機材が半端でない。5人ほどで完全に基地全域をカバーしている。なぜか偵察機の離着陸情報があるとかならず現れる」
気になるのはこうした“偵察”が日本の反戦平和グループとも連動している可能性がでていることだ。嘉手納基地周辺では次のような証言もあった。
「嘉手納基地の情報収集に熱心な男がいる。基地マニアの間ではよく知られた男で、革新政党事務所に出入りし、本土から来る反戦グループをときどき案内していた。その男が最近、どう見ても中国人要人とみられる外国人グループを案内していた」
似たようなケースは、中国の全国人民代表大会(全人代)代表団29人が3月に3日間にわたって沖縄を訪問したさいにも起きた。訪日団は当初、嘉手納基地が眺望できる「道の駅かでな」を強く要望していたのだが、直前に「沖縄石油備蓄基地」(うるま市)訪問に切り替えたのである。
石油資源のない日本は国家備蓄基地を全国に張り巡らしているが、米軍基地の多い沖縄の場合、有事の際に重要な戦略拠点になり得る。しかも備蓄基地近くにはホワイトビーチ米海軍基地があり、ホワイトビーチはかつての台湾有事で補給基地として活用された経緯がある。
全人代訪日団は日中議員友好を理由に訪日したが、当初から沖縄訪問に強くこだわった。理由は「歴史的、文化的つながりを背景とした経済交流」だったが、なぜか、石油基地見学に固執したのである。しかも代表団には人民解放軍幹部2人が含まれていた。
問題は、沖縄タイムスや琉球新報など地元マスコミでは経済界と訪日団の昼食会など経済交流ばかりが報じられ、石油基地訪問については沈黙が守られたことだった。(前田徹)
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