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Windows 7は古いPCでも動く? RC版を7台に入れて検証

nikkei TRENDYnet6月24日(水) 11時 4分配信 / 経済 - 産業
Windows 7は古いPCでも動く? RC版を7台に入れて検証
米国での発売が2009年10月22日に決まったマイクロソフトの次期Windows OS「Windows 7」。動作が軽いと言われているWindows 7の実力を試すべく、低スペックの古いパソコン7台にRC版をインストールして検証してみた。
 米国での発売が2009年10月22日に決まったマイクロソフトの次期Windows OS「Windows 7」。前回は現行OSの「Windows Vista」からの改良点や新機能の「Windows XPモード」を中心に解説した。今回は、動作が軽いと言われているWindows 7の実力を試すべく、低スペックの古いパソコンにインストールして検証してみた。

【詳細画像または表】

米国は10月22日発売、日本は?

 検証の前に最新のWindows 7の情報を整理しておこう。米国では11月末の年末商戦開始時期よりもかなり早く店頭に並ぶ。開発の次の目安であるRTM(製造工程向けリリース)は7月後半になるようだ。日本での発売日はまだ発表されていないが、全世界同時発売だったWindows Vistaと同じように、米国と同日か、その翌日になる可能性が高い。

 発売日が決まったことで、次に気になるのがWindows VistaからWindows 7へのアップグレードパスだ。これについても近い内に発表があるだろう。これまでのように、数千円か無料でアップグレードできる仕組みが用意されるに違いない。

 前回述べたように、Windows 7はWindows VistaをベースにしたOSであり、Vistaとの互換性が非常に高い。Windows VistaからWindows 7へアップグレードすることで使えなくなるハードウエアやソフトウエアが出ることは考えにくい。今、最新のWindows Vista搭載パソコンを買ってもWindows 7へ簡単にアップグレードできるだろう。心配な人はもう少し待って、Windows 7へのアップグレードパスの詳細が公表されてから、Windows Vista搭載パソコンを購入するといいだろう。

欧州向けWindows 7にはIEが搭載されない

 米マイクロソフトは、欧州向けのWindows 7にWebブラウザー「Internet Explorer」(IE)をバンドルしない予定だと発表した。欧州委員会の独禁法違反訴訟に配慮したものだ。欧州向けのWindows 7は製品名末尾に「E」がつく。

 事の発端はWebブラウザー「Opera」を開発しているノルウェーのOpera Software社による申し立てだ。これを受けて欧州委員会はWindowsへのIEのバンドルについて調査をしていた。マイクロソフトは訴訟を避けるためにIEをバンドルしないバージョンの投入を決めた。欧州では、パソコンメーカーが独自にWebブラウザーをバンドルして販売することになりそうだ。日本ではIEが付くだろう。

 Windows 7では、Windowsメールなどのメールソフトや、アルバムソフト「Windowsフォトギャラリー」が付属しない(写真閲覧ソフト「Windowsフォトビューワー」が付属するが、アルバム機能はない)。マイクロソフトは、オンライン統合サービス「Windows Liveサービス」でこれらのソフトを提供する。

 Windows Vistaまでは、OSに様々な機能やソフトを統合した結果、OSがどんどん肥大化していくことになった。Windows 7では、一部のソフトをオンラインソフト(サービス)に任せるように方針を変えた。変化への素早い対応が求められるソフトはオンラインソフトやクラウドサービスに任せ、OSはその土台に徹するようにシンプルになっていくというのが、将来のOS像なのかもしれない。

-->古いパソコンにWindows 7 RC版をインストール

 Windows 7の動作が軽いのなら、低スペックの古いパソコンにインストールしても使えるはず。そこで最近のものから5年以上前のものまで色々なパソコンを用意して、Windows 7 RC版をインストールしてみた。用意したパソコンは以下の7台だ。自分のパソコンのスペックと比較してみれば、Windows 7がどの程度動くかの参考になるはずだ。

・富士通 FMV-BIBLO NW/C90D(2008年12月発売)・富士通 FMV-BIBLO NF75U/V(2007年2月発売)・オンキヨー SOTEC C103S4(2009年3月発売)・富士通 FMV-BIBLO LOOX U/C30(2008年12月発売)・富士通 FMV-BIBLO LOOX Q70TN(2006年9月発売)・富士通 FMV-BIBLO MG70H(2004年4月発売)・パナソニック Let'snote W2 CF-W2B(2003年10月発売)

 Windows 7 RC版をDドライブ(Dドライブがないものはパーティションを設定した)にインストールし、旧OSとのデュアルブート構成にした。インターネットに接続した状態でインストールし、インストール後はWindows Updateを適用した。インストール前に、Windows 7が動作するかどうかを確認するためのソフト「Windows 7 Upgrade Advisor Beta」をインストールして実行した結果も掲載する。起動時間も調べた。スペックによる起動時間の違いを比較してほしい。

Core 2 Duoを搭載した昨年末発売のA4ノート

 デジタル3波(地上/BS/CS)対応のテレビチューナーと、サブディスプレイを搭載したA4ノート。昨年12月に発売された機種だが、基本スペックは現在のA4ノートのスタンダードと呼べるものだ。Core 2 Duo P8600(2.40GHz)と2GBのメモリーを備え、Windows Vistaが軽快に動作する。

 インストールはトラブルなく終了した。動作は快適でWindows Aeroも問題なく動作した。Windows Vistaより体感で軽く感じられる。元々、Windows Vistaが快適に使えていただけに、劇的に軽くなったというほどでもない。「パフォーマンスの情報とツール」でのスコアの値も悪くない。Windows 7の起動時間は約48秒だった。テレビチューナーはWindows Vista用のドライバーを認識したものの、対応ソフトがないと利用できない。

結論現在販売されているCore 2 Duo搭載のA4ノートなら、Windows 7をインストールするとWindows Vistaよりも軽快に利用できる。ただしテレビチューナーなどの特殊なハードウエアがある場合は、メーカーの対応を待ってからアップグレードする方がよさそうだ。あるいはデュアルブート構成にして元のOS(Windows Vista)も起動できるようにしておくのがいいだろう。

Windows Vista初期のスタンダードA4ノート

 Windows Vistaとほぼ同時に発売されたA4ノート。当時のA4ノートの平均的なスペックだ。CPUはCore 2 Duoだが、メモリーは1GBと少ない。そのためWindows Vistaを使っているとHDDへのアクセスが多く、動作はもたつく感が否めない。

 Windows 7のインストールはトラブルなく終了。ただしワンセグチューナーなど認識されないデバイスがいくつかあった。動作はWindows Vistaを使っていたときよりも明らかに軽く感じられた。Windows Vistaとほぼ同時に発売されたパソコンを使っている人はアップグレードがお薦めだ。起動時間は約54秒。

結論Windows Vista登場とほぼ同時に発売されたパソコンは、Windows 7へのアップグレードがお薦めだ。特にメモリーが1GBのパソコンでは動作がグっと軽く快適になる。

Atom搭載のネットブック

 Atom N270(1.60GHz)と1GBメモリーを搭載したネットブック。OSはWindows XPで動作は軽い。光学ドライブがないので、外付けDVDドライブを用意してインストールした。インストール終了後、Windows Aeroが自動的にオンになった。元々、シンプルなパソコンで、デバイスとして認識されないものや使えないデバイスはなかった。

 動作は、Core 2 Duo搭載パソコンに比べると重いが、ストレスを感じるほどではない。Windows Aeroをオンにした状態でも、快適に利用できる。Windows Aeroの透明効果をオフにすると、描画やウインドウの開閉がスムーズになり、快適度が増した。動作が重いと感じたら透明効果をオフにするとよいだろう。Windows 7の起動時間は約55秒だった。

結論Atom N270(1.60GHz)と1GBのメモリーを備えたネットブックでは、Windows AeroをオンにしてWindows 7が使える。Windows XPに比べると動作は少し重くなるが、実用的なレベルだ。少しでも軽快な動作を求める人は、Windows Aeroの透明効果をオフにするといいだろう。

Atom N270より処理性能の低いCPUを搭載したミニノート

 重さ約565gの超小型軽量ミニノート。CPUはAtom Z520(1.33GHz)を搭載する。Atom N270(1.60GHz)より処理性能が低いCPUだ。メモリーは1GB。現在新品で販売されているパソコンの中では最も性能が低いクラスだ。それでも、Windows XPの動作は特に重く感じることはない。快適に利用できるレベルだ。

 光学ドライブがないので、インストールは外付けドライブを利用した。インストール終了後、Windows Updateを実行すると最新ドライバーがダウンロードされ、チップセット内蔵グラフィックスが認識される。大きなトラブルはないが、スリープからの復帰時に画面が黒くなる。F5キーを押すなどして画面を再描画させると元に戻る。

 Windows Aeroは、最新ドライバーを適用した後に「パフォーマンス測定」を実行すると利用できた。ただ透明効果がオンになっていると動作は重い。透明効果をオフにするとかなり改善され、ストレスなく使えるベルになった。それでもWindows XPに比べると動作は重い。Windows 7の起動時間は1分15秒78。

結論Atom Z520レベルのCPUだと、さすがに動作は重い。Windows Aeroの透明効果をオフにすればいくらか改善される。それでもWindows XPの方が明らかに動作は軽い。無理にWindows 7にアップグレードする必要はないだろう。クロック周波数1.60GHzのAtom Z530を搭載する「FMV-BIBLO LOOX U/B50」にもインストールしてみた。こちらはWindows XPのときより少し動作が遅くなる程度で済んだ。

メモリーが512MB、低スペックのスリムノート

 携帯性を優先した薄型ボディーのモバイルノート。メモリーは512MBで、Windows 7の推奨動作要件である1GBを下回っている。約3年前の機種だが、当時でも処理性能は低い方だった。Windows XPの動作もやや重く感じられる。

 インストールはトラブルなく終了したが、Windows Aeroがオンにならず、「Windows 7 ベーシック」の画面になった。動作は「FMV-BIBLO MG70H」の場合よりもやや重く感じられた。Windows XPでも動作が重かったので、Windows 7にすることでさらに動作が重くなってしまった。実用できないこともないが、無理にWindows 7にする必要はないだろう。Windows 7の起動時間は約1分46秒。

結論Windows 7は安定して動作するが動作は重い。Windows Aeroも利用できなかった。このクラスのグラフィックス機能や、512MBのメモリーを搭載するパソコンで無理にWindows 7を利用する必要はないだろう。

5年前の古いモバイルノート

 約5年前に発売されたモバイルノート。CPUはCoreシリーズが登場する前に使われていたPentium M 1.60Hz。メモリーは標準の256MBから512MBに増設してある。Windows XPなら十分快適に利用できるが、Windows 7の推奨動作要件は下回っている。

 インストールは少々時間がかかったが、特にトラブルなく終了。Windows 7を起動すると、Windows Aeroはオンにできないものの、動作はそれほど重くは感じられず、思いのほかスムーズに動作した。この機種より新しい「FMV-BIBLO LOOX QT70TN」よりも軽快な動作だ。CPUのクロック周波数の違いが影響していると考えられる。「パフォーマンスの情報とツール」のスコアを見ると、いずれも最低ランク。メモリーも動作要件を下回っている。それでも、これぐらいのスペックであればWindows 7は利用できるようだ。

 とはいえ、Windows Aeroを利用した操作はできないので、操作性は落ちる。当然ながら動作はWindows XPの方が軽快なので、無理にWindows 7をインストールすることもないだろう。Windows 7の起動時間は約1分7秒。

結論5年前のモバイルノートでも、Windows 7はスムーズに動作した。しかしWindows Aeroには対応できないため、Windows Aeroを生かした操作はできない。Windows 7らしい使い方ができないのでは魅力半減だ。

1GHzのCPUを搭載した低スペック機

 今回テストしたものの中では最も古くスペックの低いパソコン。CPUは「FMV-BIBLO MG70H」と同じPentium Mだがクロック周波数が1GHzと低い。メモリーは標準で256MBだったものを512MBに増設している。ストレスを感じるほどではないが、Windows XPでも動作は重い。

 インストールはトラブルなく終了。Windows Aeroはオンにできない。Windows 7の動作はWindows XPに比べるとさすがに重く感じるが動作は安定している。スペックの低さを考えると驚くほどしっかり動作する。起動時間は約1分48秒。

結論クロック周波数1GHzのCPUと512MBのメモリーでも、Windows 7は安定して動作した。もちろんWindows Aeroには対応できないし、Windows XPより動作は重い。安定して動作したことが驚きだ。

Windows 7の動作は搭載メモリー量で変わるのか?

 Windows 7は、メモリー容量の違いで起動時間やメモリー消費量がどう変化するか調べた。用意したのはHT対応Pentium 4 3.0GHz搭載の自作パソコン。2004年〜2005年の売れ筋デスクトップパソコン相当の処理性能を持つ。このパソコンにWindows 7 RC版をインストールし、メモリー容量を変更して起動時間やメモリー消費量、「パフォーマンスの情報とツール」のスコアを比較してみた。

●512MB

●1.0GB

●1.5GB

●2.0GB

 起動時間はメモリーを増やしても若干速くなる程度でそれほど変化はなかった。しかし起動後はメモリーが多い方がHDDへのアクセスが減り、ソフトの起動がより素早くなるなど体感速度は向上した。特に512MBと1GB、1.5GBと2GBの違いは大きい。Windows 7搭載パソコンは1GBでもVistaより動作は軽いが、メモリー2GB以上搭載したパソコンを用意するのがベストと言えそうだ。

Vistaユーザーはアップグレードがお薦め、XPユーザーはパソコン次第

 今回の検証で、Windows 7はかなり古いパソコンでも動作することが分かった。もちろん、推奨動作要件以下のパソコンや、不明なデバイスが多いパソコンで使うのはお薦めできない。今回はあくまでテストであり、Windows XPで普通に利用できているパソコンを無理にアップグレードする必要はない。

 Windows Vistaを搭載したパソコンは、Windows 7にアップグレードするのがお薦めだ。動作は軽く快適になる。特に、1GBしかメモリーを搭載していないパソコンでは効果が大きい。互換性の心配はほぼいらない。

 Atomを搭載したネットブックでは、Windows Aeroをオンにした状態でWindows 7が使える。動作はWindows XPより重くなるが、ストレスを感じるほどではない。Windows 7の機能や操作性が気に入ったのならアップグレードするといいだろう。Windows Aeroの透明効果をオフにすれば、操作性は落ちるがより快適に使える。

Windows 7搭載パソコンは最初から「買い」

 Windows 7は、Windows Vistaでは動作が重すぎて使えなかったパソコンでも利用可能なぐらい動作が軽い。パソコンに高いスペックを要求しないOSであることは間違いない。ネットブックなど低スペックのパソコンでも、Windows Aeroをオンにした状態で利用できるほどだ。

 Windows 7発売開始時から快適に使えるパソコンがそろうだろう。Windows Vista登場時は、Windows Vistaを使うにはスペックの低いパソコンが多く、スペックの高い高価なパソコンしかお薦めできなかった。Windows 7ではそうした状態にはならないだろう。Windows 7を搭載したパソコンは、最初からどの製品を買っても満足できるはずだ。

(文/湯浅英夫)

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  • 最終更新:6月24日(水) 14時36分
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