2009年6月18日23時0分
右肩上がりの年収を前提に、マイホームを買った人たちがピンチだ。給料も、ボーナスも大幅に減って返済に行き詰まるケースが出始めた。「米国のように、住宅ローンの焦げつきが社会問題化する恐れがある」。専門家からは「6月危機」を心配する声も出ている。
IT会社に勤めていた堺市の男性(48)は、給料が昨年9月に70万円から50万円、さらに年末に20万円に激減。たまらず同じ業界で転職したが、転職先でも3カ月の研修期間を過ぎても給与は20万円のまま上がらない。4月にそこも離れて就職活動中だ。
月々12万円の住宅ローン返済が重くのしかかる。一軒家を購入したのは01年。3180万円の35年ローンを組んだ。当時はIT会社を共同経営していて900万円近い年収があった。ところが、経営難に陥って住宅ローン以外の借金もかさんだ。残債は住宅分の3千万円を含め4500万円ある。
いま、住宅ローン以外の借金を減額してもらい、生活再建をめざす「個人再生」を裁判所に申請する準備をしている。ただ、相談を受けた弁護士は「まずは安定した再就職先を見つけないと、申請が認められない」と危ぶむ。
男性は「生命保険で返すしかないのか。本気でそう考える時もあります」と話す。
「今のままでは60歳の定年後、5年以内に貯蓄を使い果たしてしまいます」
大阪市内のプラスチック部品メーカーの工場で一緒に働く夫(52)と妻(57)は、ファイナンシャルプランナーの山下修一さん(46)の説明に青ざめた。将来の資産残高を試算した棒グラフは65歳の手前でマイナスに転じていた。
夫婦合わせた手取りは4月から12万円減り、33万円に。正社員の夫は基本給を1万5千円カットされ、皆勤手当、食事手当などの諸手当も軒並み廃止。昨冬のボーナスは半減の15万円。今夏は出るかどうかも危うい。パートの妻も、受注減で勤務時間が大幅に減っている。