【パリ=野見山祐史】日本の公的年金の支給水準は現役時代の所得の3割強にとどまり、主要7カ国(G7)では英国に次いで2番目に低いことが、経済協力開発機構(OECD)が23日公表した「図表で見る年金2009」で分かった。年金水準の低さは高齢者の貧困の一因にもなっている。
OECDは加盟30カ国の男性の単身世帯について、現役時の所得のどの程度を公的年金で老後に受け取るかを示す「所得代替率」を集計。平均的な所得水準の場合、日本の税・保険料控除前の所得代替率は33.9%で、OECD平均(59.0%)を下回った。日本では現役世代の平均年収に対する標準的な厚生年金の受給額の比率について、政府は将来にわたり50%以上の所得代替率を堅持すると説明する。日本の基準でもモデル世帯(夫が会社員で専業主婦の世帯)ではない男性単身世帯では50%を下回る。
日本では高齢者が貧困に陥るリスクは他国より高い。05年時点で65歳以上人口の22%がOECDの貧困基準(本人の所得が全体の所得分布の中央値の半分以下)に当てはまった。(23日 19:28)