ブックオフへ出資、出版連合6社の狙い(1) - 09/06/04 | 12:20

 「ブックオフ株を買って、何をするつもりか」――。

 5月、ファンドが保有するブックオフ株が複数社に譲渡された。その企業群を見て、出版関係者に衝撃が走った。大日本印刷と傘下の丸善など2社、講談社、小学館、集英社という出版業界大手がそろって名を連ねていたからだ(下図表参照)。出資の真意は何か。業界でさまざまな憶測が飛び交っている。

 ブックオフコーポレーションといえば、既存の出版流通ルートを介さずに消費者から直接中古本を買い取り、安価で販売するビジネスモデルで成長を続けてきた。すでに全国に900店舗を構え、本の一大流通網を築き上げている。ただ、発売から間もない本でも消費者から仕入れて安く売りさばくため、「新刊本の販売に影響が出かねない」と出版社はその存在を好意的にはとらえず、むしろ“敵対”する関係だった。

昨日の敵は今日の友 出版新戦略の真意

 ファンド側からブックオフに対し株式売却の打診があったのは昨秋。複数挙げられた売却先候補の中に、今回の連合体が含まれていたことから、「出版社大手が名乗りを上げるとは、と驚いた」(ブックオフの佐藤弘志社長)と正直に振り返る。

 出版流通を盛り上げたいとの大方針は一致し、話がまとまった。しかし「具体的な施策はまだ。ほんのあいさつ程度」(佐藤社長)。「どういう関係を築けるか、これから知恵を出し合う段階」(丸善・小城武彦社長)。「まだ何も決まっていない」(講談社の森武文常務)と各社とも口をそろえる。

 具体化はこれからだが、出版社側の狙いの一つに、ブックオフで売られる中古本に対する著者への利益還元がある。「いちばん考えているのは、価値を創造した人への利益還元。(ブックオフへ売られた本が)何度売買されても著者に利益が還元されないならば、創作の活力は失われる。今後、当事者間で自主ルールを作りたい」(講談社の森常務)。

なぜ6社連合は出資したのか?
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