破壊と萌えは共存できないのか。 そういう考えから2つをできるだけ共存させた状態で書いた意欲作(のつもり)。 世界を破滅させるか世界征服するかの終わり方がほとんどの破壊話の中で、猫印が書いたらこうなりました。 ▼▼▼ミルキーエンジェル▼▼上▼▼▼ 文章・キャラクター設定:猫印ヤキニク 「きゃーっ!ドロボー!」 朝の駅前に突如響き渡る叫び声。 声の主が指差す方向には茶髪の若い男がバッグを手にして走り去ろうとしていた。 「メルー。ひったくりだって」 まだあどけなさを残す中学生くらいの少女が逃げていくひったくりを見つめながら独り言を言っている。 『そうだね…それが?』 「それが…じゃないでしょ!地球の平和が乱されてる!」 独り言をつぶやきながらずっこけている少女に周りの人は怪訝な表情を浮かべる。 「もう、じれったいなぁ!」 少女は人ごみを掻き分けて駅前にあるデパートに駆け込んだ。 「メルー!ミルキーチェンジするね」 『ミルキーチェンジ……ってここで!!?やめなさいよ!こんな所でチェンジしたら…!』 少女はポケットの中から宝石の付いたブローチを取り出した。 ブローチは相変わらず『やめなさい!』とか『いい加減に…』とかわめき散らしているが少女は構わずにブローチにキスをした。 「デシェントオブミルキーエンジェル!!!」 『まっ、待ってって!わーっ!!』 ブローチが悲鳴をあげると光の奔流が少女を包み込む。 ワンピースは剥ぎ取られるように脱げていき、代わりに紺色のメイド服が少女を優しく包み込んでいく。 胸元には大きな赤色のリボンが結ばれるのと同時に純白のエプロンが現れて少女は完全にメイド服に包まれた。 ツインテールにしていた髪が振りほどけると髪がワインレッドに変わり腰ほどまである長いロングヘアーになったかと思うと頭からは猫耳、スカートの中から長い尻尾が現れた。 スポーツシューズは十字架のエンブレム入りの純白のブーツになり、太ももにはブーツと同じ色のニーソックスに包まれた。 胸元にはさっき喚いていたブローチが据え付けられ、そこから赤色のリボンが伸びてくる。 するとどうだろうか。 幼さの残る少女の体が見る間に女性らしくなり始めた。 小さな胸はたちまち柔らかそうな大きな胸に成長し腰や足も丸みを帯びていく。 しかしそれだけではなかった。 少女の足が急にめり込んだかと思うと体がどんどん巨大化し始めた。 頭があっという間に天井に到達してフロアを突き破る。 上階のちょうど頭上にいた客は床を突き破って出てきた少女の頭に跳ね飛ばされる。 突然の事態に動けない客や店員を尻目に赤色の自信に満ち溢れた巨大な目が現われかと思うと今度は巨大な胸が床を爆破したかのように出現した。 人々は逃げ惑うが少女の巨大化する速度の方が速く人々を瓦礫もろとも埋めていく。 店の外では突然軋みだしたデパートに多くの人が右往左往していた。 しかし、次の瞬間爆破解体のようにデパートは崩壊し瓦礫が周囲の通行人を押し潰していく。 もうもうと上がる埃を突き抜けるように巨大な少女が立ち上がる。 混雑する駅前の群集はあまりにも唐突な出来事に硬直してしまっていた。 巨大化が終わった頃には周囲のビルが膝位の高さしか及ばない巨大な少女が出現していた。 「ミルキーエンジェル光臨♪」 デパートを崩壊させて出現した巨人はそう叫んで右手を空に掲げたポーズをとる。 「地球の平和が乱す悪い子ちゃんは私が許しませんっ♪」 腰に手を当てて呆然とする群集をまじまじと眺める。 「あー!悪い子ちゃんはっけーん!」 群集を掻き分けて逃げるひったくりの男を目ざとく見つけると、巨人はそれを鋭く睨み付けた。 びしっ!と指を指す。 「平和を乱す悪い子ちゃんには反省してもらいまーす!」 そう言うと巨人はあろうことか群集の真上に足を踏み出した。 ズン!!!! あまりの唐突な出来事に身動きできない群集を巨大なブーツが襲い、数十人の人々を踏み潰し鮮血をあたりに撒き散らした。 途端に人々は逃げ惑うが巨人はそれをあざ笑うかのように歩を進める。 ひったくりの男は自分が追いかけられていることに気付き、手にしていたバッグを放り出して死に物狂いで逃げ始めた。 しかし巨人は人々を踏み潰しながらどんどん距離を詰める。 「もう逃げられないよ」 人々を轢き潰しながら立てひざを付くと手を伸ばし、男の周りにいた人もろとも掴み上げる。 突然空中に持ち上げられた者達が見たのは巨大な少女の笑顔だった。 純白のニーソックスが仄かに赤く染まっているのも構わず立ち上がると少し手を広げる。 「捕まえた♪」 ひったくりの男のみを摘み上げる。 男と一緒に掴み上げられた人々は巨大少女―ミルキーエンジェルを恐々と見上げていた。 すると彼女はまるでゴミを投げ捨てるかのように手の中に残った人々を放り投げた。 投げられた人々は悲鳴を上げながら飛んでいき、ある者はビルの外壁に激突し、またある者は地面に叩き付けられて絶命したが巨人は全く意に介していないようだ。 そのまま摘み上げた男を顔の前に持ってくる。 『未柚!もう十分!!』 ブローチから声が聞こえる。 「だってまだお仕置きしてないよ」 未柚、と呼ばれた巨人は不満そうな顔でブローチを見る。 「ちゃんとお仕置きしなさいって言ったのはメルーの方でしょ?」 ブローチに聞き返す。 透明度のあるブローチの中には逆三角形の眼鏡をかけたメイドの格好をした天使が厳しい表情で未柚を睨んでいた。 『それとこれとは話は別!』 怒気がこもった声で反論するが未柚はあっさり無視した。 「さーて。ひったくりをした悪い子ちゃん?どうやってお仕置きされたいですかー♪」 硬直する男に甘い猫なで声を投げかける。 「食べちゃおっかな〜♪」 男を口の前に持ってきて舌なめずりをするような仕草をした。 電柱よりも太い指に摘まれた男は目の前で艶かしく動く巨大な舌を見て生きた心地がしない。 時折舌と唇の間から漏れる少女の甘い息が全身にあたる。 このままこの巨大な少女に食べられてしまうのだろうか…という嫌な思いが頭をよぎったが男の予感は違う形で否定された。 ぶちっ。 あっさり四散する男の体。 「あ〜!」 思わず困った顔をする。 「力の加減間違えちゃった〜」 思わずテレ笑いをするが、指にこびりついた血と肉隗を見て満足げに微笑んだ。 「一応悪者もやっつけたし…まいっか」 『ひったくり犯をやっつけるためにわざわざ巨大化する必要もないのに…』 「もし普通の大きさで戦って勝てなかったらどうするの?」 『……ただ単に大きくなって暴れたいだけなくせに………』 メルーがそこまで言いかけると急に未柚はリボン留めにしているブローチに手を掛けた。 「そんなこと言ってもいいのかなー?」 そういいながらブローチを砕かんばかりの力を加える。 『ぅぅ……も、申し訳ありませんでしたミルキーエンジェル様っ』 慌てて謝ると未柚は拘束を解いた。 「わかればよろしい♪」 得意げな表情とは対照的にメルーは心底後悔していた。 実の所このブローチは未柚の巨大な体と魔法力を維持するためのものでもなんでもなく、ただ単にエンジェルが操者をサポートするため小部屋のようなものなのだ。 ここが砕けるとメルーは大変なことになるがミルキーエンジェルに変身している未柚に何の影響もない。 もちろんブローチが砕ければ未柚は永久に元の大きさに戻れなくなるが本人はそうなっても全然良いらしく、かえってこのことをメルーを脅す材料にして巨大化しては好き勝手に暴れまわっているのだ。 初めのうちはちゃんと地球侵略を目的とする宇宙人や人間界制圧を画策する魔族を倒し、正義の味方としての役割を果たしていた。 しかしある時を境にして巨大化するたび破壊と殺戮の限りを尽くしてきたため『破壊神ミルキーエンジェル』が人間界にすっかり定着してしまった。 こうなったのも全て巨大化するための道具を未柚に与えてしまったことが原因なので、メルーはこのことをかなり後悔していた。 人間界を荒らした罪は良くても位の大幅降格、極刑は追放されるが恐らく後者だろう………。 『せっかく天使養成機関をトップで通過したのに何しているんだろ』 メルーが思いにふけっていると、未柚は10両編成の通勤電車をぶんぶん振り回していた。 「あはははは!」 電車の乗客がどんな状態になっているか全く気にもせず振り回していると、連結器がちぎれて持っている部分以外の車両がバラバラに吹き飛んでいった。 しばらくして轟音が轟く。 「あーあ、つまんないの」 数箇所上がった煙を眺めながら手に残った電車の屋根をメリメリと引き剥がす。 車両の中は予想通り…というか真っ赤に染まっており体の原型を成していないものが殆どだった。 思わずメルーは目を背けるが未柚は笑顔を浮かべて車両を握り潰すと後ろへ放り投げた。 「この間は一人生きてたのに…今日はみんな死んじゃったぁ」 あっけらかんとつぶやく。 『もう十分!早く帰ろう!』 帰宅を促すが未柚は応じない。 「えー!?これからが面白いのに…。あ、そうだ!」 ポンと手を叩く。 「今日は避難所に行ってみよう!避難してるみんなにミルキーの美しさををみせてあげるんだーっ」 『美しさじゃなくて恐ろしさじゃないの……』 そこまで言いかけてメルーの言葉が詰まった。 「何か言った?」 鋭い視線が自分に注がれる。 『な…なんでもありませんミルキー』 「よーし!避難所にしゅっぱーつ」 メルーに笑いかけるといきなり目の前にあった膝下にも満たない雑居ビルを踏み潰し、建物を蹴散らしながら歩き始めた。 ズゥゥゥゥン………ズゥゥゥゥン………… 腹に響くような地響きを立てながら未柚は歩く。 これから進む所に道はなく、隙間なく住宅街が立ち並んでいるが全く気にも留めずにあらゆるものを踏み潰しながら歩いていく。 『ねえ…わざわざこんな所歩かなくても道路歩けばいいじゃ…』 「道路歩いたら遠回りになっちゃうでしょ?まっすぐ歩いた方が早く着くよ」 街を荒らす未柚をどうにか止めたいメルーだが全く効果が無い。足元に目を転ずれば未柚の足を包む十字架のエンブレムが入ったブーツがちょうどアパートを蹴り飛ばす所だった。 何の抵抗もなく巨大な足がアパートにめり込み土台から上の部分を四散させる。 よく見ると逃げ送れた住人だろうか、瓦礫と一緒に何人か吹き飛ばされるのが見えたが次の瞬間ブーツが踏み下ろされて見えなくなった。 未柚にしてみれば住宅街を歩いても『くしゃっ』という紙くずを踏んづけた程度の感触しか伝わってこないが、足元では地獄絵図が繰り広げられていた。 逃げ惑う住民をあざ笑うかのように家一件分よりも大きい巨大な純白のブーツが2階建てのアパートに突き刺さると、轟音とともにアパートは崩壊しまさに外階段を駆け下りようとしていた一家を瓦礫ごと吹き飛ばす。 数メートル吹き飛ばされるものの向かいの家の生垣に落ちたため何とか一命は取り留めたようだがすぐにあのブーツが日を遮り哀れな一家を影が覆い尽くす。 子供が悲鳴を上げるが容赦なく振り下ろされる足。そして…轟音。 視線を上に転ずると肌色の太ももが柔らかそうにブルン!と揺れその上には赤い縞の入ったパンティがエロチックに食い込んでいた。 やがて左足がゆっくりと動き頭上の縞パンが通り過ぎていく。今目の前で起きている惨状など全く気付かない様子で巨人は歩み去った。 あの家族は生垣ごと地面にめり込み原型を成しておらず、ただかろうじて人間のなれの果てと思われる肉隗が鮮血の中に沈んでいた。 そんな惨状に気付くことなく歩きつづける未柚、いやミルキーエンジェル。 しかし逃げ惑う人々にとっては天使でもなんでもなく無慈悲に破壊と殺戮の限りを尽くす悪魔だった。 「あれー?避難所ってこの辺じゃなかったっけ??」 ふと思い出したように未柚は立ち止まった。 「もう通り過ぎちゃったかな?」 きょろきょろ辺りを見回す。 『ねえ…未柚?ちょっと足元見てみなよ……』 未柚が足元を見てみるとまさに自分が立っている場所が避難所になっている小学校の校庭だった。 校庭は足跡で穴ぼこだらけになっていて所々原型をとどめていない肉片が転がっている。十字架のエンブレムが入った純白のブーツは下半分が赤く染まっており、足の間には多くの人が悲鳴を上げていた。 一瞬表情を変えた未柚だったがすぐにいつも通りの顔になると、足元に気付かないふりをしながらしゃがみこむ。 「ちょっとつかれちゃったなー」 泣き叫ぶ人々を気にする様子もなく、そのままお尻を地面につけるように座り始めた。 不運にも未柚の足元にいた人々に赤色の縞が入ったパンティに包まれた巨大な臀部がゆっくりと迫る。 食い込んだパンティにははっきりと臀部のズジが浮かび上がり、何ともいえない香りが辺りを包み込む。 やがてスカートが光を遮り暗闇に包まれる。 人々が覚悟を決めた時、尻は彼らを潰すか潰さないかという辺りで動かなくなった。 未柚には何本もの小さな手が自分のお尻を押し返そうとしている様子がパンティ越しに伝わってきていた。 小さな彼らにとって圧倒的な大きさであろう自分のお尻を健気にも押し返そうとしている。 「カワイイ……」 愛撫にも似た彼らの反抗は未柚を少しずつ感じさせ始めていた。 ちょうど割れ目の真下で必死に頭上の尻を押し返そうとしていた人は段々と手先がぬるぬるとしていくことに気付いた。 僅かにスカートの間から見える光に手をかざしてみると、手についた液体はぬらぬらと光り糸を引いている。 「コイツ、感じているのか…」 そう思った彼は自分が押していた部分に手を突っ込んだ。 ヌプリ。 予想通り手先は吸い込まれ、手先にぬるぬるとした生暖かい感触がした。 「はぅっ!!」 小さな手が自分の秘所に入り込んだ感触で未柚は甲高い声を上げて腰を浮かせた。 「ふふっ……いたずら好きな人がいるんだね………」 秘所からは既に大量の愛液が溢れ出ている。 「もうちょっと…がんばってもらおうかなぁ……」 再び腰を落としてか弱い小人に秘所を押し付ける。 「ん……あん………」 いつのまにか服の上から右手で豊満な胸を揉みしだき、口元から甘い吐息が漏れるようになってきた。 未柚の痴態に呆れ返っていたメルーはふと我に返った。 もしかしたら今が最後のチャンスかもしれない……。 常時ブローチに監禁されているメルーだが、たった一つブローチから脱出する方法があった。 しかしそれを実行するためには50段にも上る呪文を詠唱しなければならない上、最後に『デシェントオブメルー=アヌエス=エルフォート!!』と自分のフルネームを叫ばなければならなかった。 当然今まで成功したことは一度もなく半ばあきらめかけていたが、悦に入った未柚はあまり他のことが気にならなくなるという特徴を持っていた。 『今しかない……!』 胸の前で手を十字にクロスさせた。 『天にわします偉大なる神々よ………』 メルーはゆっくり目を閉じ詠唱を開始した。 「はぁ…はぁ……はぁ………」 ゆっくりと、尻の下にいる人々を舐めるように前後に腰を動かす。 あまり激しく動かしてしまっては彼らの腕を折ってしまいかねない。そのためはやる気持ちを抑えながらゆっくり、ゆっくり人間達に秘所を押し付けていく。 尻の下にいる人々は秘所から漏れる愛液と甘い香りに昏倒しそうになりながらも必死に生きるための抵抗を続けていた。 手はおろか既に全身愛液まみれとなり息をするのもままならないが、それでも人々は必死に頭の上にあるストライプのパンティに包まれた巨大なお尻を押し返そうとする。 そのちょこちょことした小さな手の動きが未柚を確実に感じさせていた。 「あん………」 絶えず下からやってくる刺激に、たまらず乳首を露出させそれをくちゅくちゅと舐め回す。 ビンビンに張り詰めた人よりも大きい乳首は巨大少女の下で幾度もこねまわされる。その光景を校舎や体育館の中にいた人々は息を潜めながらじっと見詰めていた。 『万物の事象を行使し無知なる者に与えんとする………』 焦りつつも冷静にメルーの詠唱は続く。残す所あと半分ほどだが今の未柚に気付かれればブローチを握り潰されてしまうかもしれない。 そんな不安が焦りを更に高めていた。 未柚も最初に比べ腰を動かす速度を速めていた。 今までは人間達の動きのみで感じていたが今はもうそれだけでは彼女の中の切ない感情を抑えることは出来なくなっていた。 「ごめん………ね……」 たまらず股間に手を入れるとちょうど秘所の真下にいた人を指でパンティに押し付けてしまった。 秘所の真下にいた男は暗闇から現れた巨大な棒に驚愕した。 それがこの巨大少女の『手』と理解する前に男は棒に捕らえられ、そのまま愛液したたる秘所へパンティ越しに押し付けられてしまう。 「ゴ…ゴプッ……」 粘つく愛液が鼻から口から入り込み息ができない。 しかし苦しむ余裕も与えられず巨大な指は彼を圧倒的な力で押し付ける。 必死にもがくが、彼の行動は更に未柚を追い詰めていった。 「うぁ…ああっ……!」 思わず悩ましげな声を上げて首を大きく仰け反らせる。 半分露出した巨大な胸がブルンッ!と辺りを威圧するかのように揺れた。 「…ら…らめぇ……!…イッちゃうう……!」 もう押し付けているだけでは満足できなくなった。 ためらうことなく強く押し付ける。 ぷちっ。 あっさり押し潰してしまう。しかし指は亡骸もろとも秘所をかき回す。 快感にもはや未柚は限界にさしかかっていた。 「イ…イクぅぅぅぅ!!」 ブルッと体を震わせながら未柚はついに絶頂を迎えた。 「うぁぁぁぁぁぁ!!」 そのまま腰が抜けたように座り込む。 尻の下にいた人々は突如として秘所から溢れ始めた愛液にまみれながら降って来た巨大な尻に押し潰されていく。 「ぎゃあああああああっ!!!」 人々の叫び声さえも飲み込みながら尻は地面に着地した。 ズゥゥゥゥゥゥン!!!!! 地響きと爆風。 生じた揺れは校庭を割り未柚の周りの建物を襲い亀裂を刻み込む。 「あぁぁ…ああん……!」 力が抜けたのか未柚はそのまま前のめりに倒れこんでいく。 そのまま胸が体育館を襲う。 体育館では自分達の方に倒れこんでくる巨大少女に残っていた人々がいっせいに逃げ出そうとしていた。 しかし体育館と同じくらいの大きさの胸は逃れる人々よりも早く体育館の屋根を突き破っていく。 破れる屋根の合間から赤色の巨大なリボンとともに豊満な胸が眼前に迫る。 「うわーっ!!!!」 人々が叫び声を上げた途端、巨大な胸が人々を一気に押し潰し血潮を撒き散らしながら瓦礫もろとも地面にめり込ませていった。 頭は学校から逃れる人々を潰しながら住宅街に突っ込む。 『我が行いに力を与えたまえ……っ!』 ブローチがアスファルトに叩き付けられ思わず声にならない声を上げる。 しかし、もう少しだ。 もう少しでこの苦しみから開放される。 メルーは最後の段の詠唱を始めた。 「はぁ…はぁ……」 絶頂の余韻に浸りながらゆっくりと寝返りを打つ未柚。 背中で逃げ惑う人々を潰してしまうが全く気付かず、四肢を緩慢な動作で投げ出していく。 足が校庭に並ぶ木々をなぎ倒しその奥にある家々を蹴り崩す。 「はぁ…ありがと…ね。とても良かったよ………フゥ」 火照った体を冷ますように大の字になって空を見つめる。 ふと胸元のブローチを見つめた未柚は驚愕した。 ブローチが煌々と光り輝きメルーの声が増幅されたように大きくなっていた。 『偉大なる神々よ!我が行いに力を与えたまえ!!』 メルーはついに全ての詠唱を終え自分の名前を高らかに読み上げる! 『デシェントオブ……!!!!!』 異変に気付いた未柚がすばやくブローチを破壊しにかかるが既に遅かった! 『メルー=アヌエス=…エルフォートォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!』 メルーが自分の名前を高らかに叫んだ瞬間、天空から一条の光がブローチに降りそそぎ、そこから光の奔流が吹き出した。 吹き出した光の奔流は未柚のブローチを離れ小学校の目の前にある大通りに集約されていく。 集約された光はやがて人形を成し始める。 豊満な体つきの少女が現れたかと思うと若干未柚の物とはデザインの違うメイド服が少女を包み込んでいく。 深い紺色を基調としたメイド服とニーソックス、そして黒いブーツ。 長い黒髪を結ってポニーテールにしている赤いリボンが映える。 同じ色のリボンは胸元と首にも配された。 空中に浮かんでいた少女は音もなく着地した。 顔を上げると逆三角形の眼鏡の奥の目がゆっくり見開かれる。 「クスッ………」 口元に薄い微笑を浮かべたメルーは校庭に半裸で横たわる未柚を睨み付けた。 殺せ! この愚かな人間を殺してしまえ! 罪なく殺された者達の苦しみを味あわせろ!!!! メルーの心の中は怒りに支配されていた。 人間界を救うつもりだったのに救えなかった自分。 力をいいように使われたことを止められなかった自分。 未柚の本心を見抜けなかった自分。 そして…未柚自身への憤り。 殺せ!殺せ!殺せ!!! 負の大合唱。 天使にとってあってはならない負の感情が満ち溢れていった。 「…ひさしぶり」 驚嘆の表情を浮かべる未柚にメルーはつぶやく。 「どうしたの?確か…始めて会ったとき私の姿は見ているでしょう……?」 ゆっくり問い掛ける。 「………」 ついさっきまでブローチの中に封印されていたメルーが自分とほぼ同じ大きさで目の前に立っている。 未柚は半分理解しきれないといった様子で呆然とメルーを見つめていた。 「心の優しい女の子にまさかこんな性格が隠されていることを見抜けなかったなんて…私も馬鹿だよね……」 クスクスと笑いながら自嘲気味に話すメルー。 しかしそうしている間も彼女の目だけはしっかりと未柚を捕らえて離さなかった。 「…メルー?」 いそいそと乱れた服を直してメルーに話し掛けるが、未柚の問いかけを無視するかのようにメルーは続ける。 「地球を守る星守が地球を破壊する破壊者になるなんてね…」 そこまで言ってからメルーはうつむいてしまった。 「性格、能力を併せ持った理想的な星守が見つかった…と思っていた…のに……」 次第に涙声になる。 「それに…せっかく…いい友……達が出来たと思っ…たのに……ひぐっ…」 メルーの眼から涙が数滴零れ落ちた。 未柚は肩を震わせるメルーにかける言葉が見つからず立ち尽くすばかりだった。 「…信じて……たのに…………」 「………」 そう呟いてからメルーは明らかに違った様子でボソボソ言いはじめた。 「…許さない……絶対に………」 ゆっくり顔を上げる。 そこにあったのは悲しみと憎しみが入り混じった般若のような形相。 「っ………!!」 あまりの威圧感に未柚は思わず後ずさりしてしまう。 「所詮人間………か…」 無言のままの未柚を強烈な視線で睨み付ける。 「空下未柚、主に成り代わり神罰としてあなたの存在をデリートさせて頂きます」 「ちょ……ちょっと待ってよ!」 最後通告に慌てる未柚だがメルーは絶叫した。 「問答無用!!!!!!!」 叫び声と同時に未柚の目の前からメルーが魔法でもかけたかのように消えてしまう。 「あ…あれっ?」 きょろきょろとあたりを見回すがメルーの姿は何処にもない。 と、突然自分の背後に殺気が。 「クスッ」 振り向くとそこには妖しげな笑みを浮かべたメルーが微動だにせず立っていた。 「ひっ…!!」 あわてて飛びのこうとする未柚だったがメルーはすばやい動きで背中を蹴り飛ばした。 「キャァァァッ!!」 経験したことのないような衝撃。 絶叫しながら跳ね飛ばされると今度は前方にいつのまにかメルーが立っている。 「フフフ………」 口元に笑みを浮かべながら今度は飛ばされてくる未柚の鳩尾に強烈なドロップキックを見舞う。 「うぐっ!!!」 そのまま地面に叩き付けられるのかと思いきや今度は後ろから上に蹴り上げられる。 「…がはっ……!!!」 上空に蹴り上げられると今度は自分の体があらゆる方向から殴打されるのを感じた。 息つく間さえ与えられぬ苛烈な攻撃に未柚は成されるがままだ。 メルーにしてみればこれくらいの動きをすることなど造作もないことであった。 その上彼女は周囲のことも考えて戦っている。 重力と衝撃波を完全に制御しているため、これだけの巨体を高速で動かしても木の葉が揺れる程度の衝撃しか周囲に及ぼしていない。 どちらが勝っているかは誰の目にも明らかだった。 「それっ!」 一通り未柚をいたぶったところでメルーは強烈な一撃を叩き込む。 凄まじい勢いで地面に叩き付けられた未柚の体は、アスファルトと周囲の建物を地面ごと根こそぎ抉り取っていく。 ようやく大き目のマンションに衝突し未柚の上に折り重なるように崩壊してようやく停止した。 「…かはっ…!はぁ…はぁ……」 何とかよろよろと立ち上がる未柚だったが既にコスチュームはボロボロになり、大き目の胸は半分露出してしまっている。 スカートも大きく破れていてストライプのパンティが丸出しになっていた。 「フフ…破壊天使と呼ばれたミルキーエンジェル様がとんだザマね……」 未柚の様子を余裕の表情で嘲笑う。 「酷…いよ!何で急にこんな事…」 「そんなこと言える立場?」 未柚の言葉を遮るように吐き捨てるメルー。 「ミルキー…いや、未柚。今まで罪のない人々をただ自分の楽しみのためにどのくらい殺したか知っているの?」 「………」 「言っておくけど千とか1万とかいう人数じゃないからね……」 「べ…別に人間なんてこの世にたくさんいるんだから少しくらい殺しても……」 「ふぅ〜ん。『少しくらい』ねぇ…」 するとメルーは悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。 「じゃあ…今から私が未柚のお父さんとお母さん、それに友達や未柚の住んでいる街の人たちを皆殺しにしても良いってことだよね?」 「……!」 信じられない発言に未柚は思わず目を見開いた。 「この星に生きる全ての人間に比べたら未柚の街くらい消しても大したことないでしょ?『少しくらい』だから………」 くるりと未柚に背を向ける。 「どうせなら今からやってあげましょうか♪」 クスクス笑いながら未柚が住んでいる街の方へ歩き出す。 「待ちなさいよ……!!!」 メルーが振り向くと未柚は自分の背丈と同じくらいのオフィスビルを担ぎ上げていた。 「そんなことさせない!!」 相当痛めつけたはずなのにとメルーは思わずたじろぐ。 「うりゃぁぁぁぁっ!!!!!」 大きく振りかぶるとメルーに向かって思い切り投げつけた。 ヒュュュルルル…!! 空気を斬りながら鋭く飛んでいくビル。 しかしメルーは避けようともしない。 やった…と未柚が思ったのも束の間。ビルは突然何事もなかったかのように静止した。 「…え……!?」 突然動きを止めたビルに未柚は驚愕した。 と、ビルの陰から余裕綽々な様子のメルーがヒョコと顔を出す。 「…それで……?どうしたいのかしら?」 つんつん、とビルを突付く。 「もう終わりにしましょうか…」 その刹那、静止していたビルはとんでもない速度で未柚に襲い掛かった。 「キャァァァァッ!!!」 何とか立っていた未柚はオフィスビルの直撃を受けてそのまま後方へと倒れこむ。 爆風がと共に瓦礫が降りしきる中をメルーは凄まじい速さで距離を詰め、瓦礫に埋もれていた未柚の長い髪の毛を鷲掴みにした。 「う……ぁ…」 髪の毛を持ち上げられうめき声を上げる未柚に構わず、そのまま髪を鞭のごとく振りかざして未柚を何回も地面に叩き付けた。 未柚が叩き付けられる衝撃で周囲にあった建物は次々崩壊していく。 「飛べっ!」 そう呟くのと同時に未柚を放り投げる。 ドガァァァァァァ!!!!! 放物線を描いて飛ばされた未柚は少し離れたオフィス街を目指して飛び、何棟かの高層ビルをへし折ったのちに地面に叩き付けられる。 自らへし折ったビルの瓦礫と爆風によって未柚の体は見えなくなってしまった。 不敵な笑みを浮かべてメルーは未柚の元へと歩き出す。 「……ぁ………」 瓦礫に埋もれた未柚は、それでも何とか体を起こすと、ちょうど自分の目の前には横倒しになったビルを踏み付けているブーツが見えた。 視線を上に転ずると大きな胸の向こうに笑うメルーの顔。 「…こ…こんな……こと…し……ていい…の……?」 もう切れ切れとしか出ない声でメルーに尋ねる。 「天……使でし…ょ………街…こん…な・・…に…。ここ…の…人たち……みんな………」 するとメルーはしゃがんで未柚の顎を指で持ち上げた。 「うん。もちろんここの人たちはみんな犠牲になるよ。普通ならね…」 「普……通…なら………?」 「戦うことで被害が及ぶ範囲と、被害が及ぶかもしれない範囲にいた人間は戦う直前に全員安全な所に瞬間移動させておいたの。 あなたへ神罰を下すといっても無関係な人間たちを殺すわけにはいかないでしょう?」 そう言いながら横たわる未柚の首をガシッと掴んだ。 「うぅっ……」 首を掴んだまま未柚を高々と掲げていく。 「が…はっ…!」 涙を零しながらメルーの拘束を振りほどこうとする未柚だが全く歯が立たない。 「さよなら。未柚」 静かに呟くメルー。 メルーの体を何度も叩くが彼女は身じろぎもしない。 苦しさのあまり手を動かしているうち何かに右手が引っかかった。 「………!!」 思い切りそれを下の方向に引っ張る。 ブルンッ!! その途端メルーの豊満な胸が周りの空気を動かしながら勢いよく揺れ動きながら露出してしまった。 「きゃあっ!!!」 思わず素っ頓狂な声を上げるメルー。 手の力が抜けると同時に未柚が上に覆い被さる形で仰向けに倒れこむ。 周囲を揺るがす大音響。 辺りは埃に包まれた。 「けほっ…けほっ……」 舞い上がる瓦礫と埃にむせていると、突然自分の胸から感じたこともないような刺激が走った。 「!!????」 埃が次第に晴れてくると、メルーにとっては一番想像したくない光景が広がっていた。 「はむ…んん……むちゅ……」 自分に馬乗りになった未柚がいとおしそうな表情で乳首を噛み、捏ね回していた。 「なっ…何して………ああん…」 押しのけようとするも絶妙なタイミングで捏ね回される乳首からやってくる刺激によって、メルーは段々と腰砕けになっていった。 「くちゃ…ふむぅ……へぇ…メルーっ…て結構感じやすい……んだ…」 不意にメルーの方を向く。 メルーの乳首は度重なる愛撫によってビンビンに起立していた。 「や…やめっ……」 冷静さを演じようとしたが起立した乳首と、先ほどから自分の中にモヤモヤと渦巻く切ない気分によって思わず視線を背けた。 それを見た未柚は苦しそうな表情をしながらにやっ、と笑う。 はっとして体を動かそうとしたが既に体はいうことを聞かない。 「こっち…はどうか……な……?」 未柚はメルーの秘所の周りをパンティの上からゆっくりツツツ…となぞっていく。 「い、いい加減に……」 何とか言い返すが切なさと恥らいは更にメルーの平常心を蝕んでいった。 「あ…れぇ…?ここ何で…湿っ……ているのか…な?」 いつのまにかメルーの秘所をツンツン…と突付いていた。 純白のパンティには仄かにシミが付き、僅かだが未柚の指と糸を引いている。 「…殺…すよ……」 強がるがメルーは既に限界を迎えていた。 ちゅく。 「!!?」 全身に電流が走る。 未柚はパンティをずらし、メルーの秘所に直接指を突っ込んだ。 「おかし……いなぁ。なん…でこんなに濡れてる……んだろ………」 そのまま指を上に方にずらし、突起を軽く突付く。 「…うぁっ!」 喘ぎ声と共に体がビクッ!と震えた。 そのまま指をメルーの中へと挿れてゆっくりと出し入れしてみる。 「ああ…うぁっ……」 動作を繰り返すたびメルーの悩ましげな声は次第に大きくなり、未柚の指をギュウギュウと締め付ける力も大きくなっていった。 それにつれて未柚も指を出し入れする速度を速めた。 「らめっ……らめぇ…!!!」 いっそう強く指を突き入れた途端メルーは絶頂を迎えた。 大量の愛液が未柚の指を伝いヒビだらけの道路に流れ落ちていく。 「はぁ……はぁ……」 荒く息をしながらメルーは脱力していったが、彼女の心の中には微かな迷いが生じていた。 もっと…楽しみたい…。 天使としては考えることさえ許されない事。 しかし、メルーの心は確実に快楽を求めていた。 もっと楽しみたい。 もっと求め合いたい。 お互いの温もりを共有したい。 このまま未柚を断罪して天上へ帰っても、恐らく堕天させられてしまうのは多分…確実だろう。 それより人間界にとどまり未柚と交わりあっていたい。 それに密かな願望もあった。 未柚が街を破壊し人間をゴミ屑のように殺戮するのを必死に咎めながら、心のどこかでは自分も矮小で脆弱な人間達を弄びたいという夢を抱いていた。 今までは天使、そして星守補佐の使命感からそうしたノイズを抑えていたが今のメルーにそうした考えはなきに等しかった。 夢を実現すれば天界全てを敵に回すことになる。 しかしリスクよりも未柚と一生楽しめるということの方が高かった。 「…未柚……」 体を起こすとメルーは未柚の顔をじっと見つめる。 いきなり顔を見つめられてきょとんとする未柚であったがメルーのトロン…とした視線に驚いた。 と、そのとき。 「………!」 未柚は声にならない声を上げた。 突然メルーが未柚の唇を奪ったのだ。 しかもとっさのことで半開きになっていた唇の間からするりと舌を滑り込ませ、自分の唇に絡みつかせていた。 「むちゅ…くちゃ……」 突き放そうとするがメルーのいとおしそうな視線のせいで上手く力が入らない。 ようやくキスから開放されると彼女は頬を赤らめていた。 「未柚……大好き…」 急に豹変したメルーに未柚はついていけず驚くばかりだった。 「…どうしたの……急に?」 相変わらずメルーはトロン…とした顔をしている。 「別に…ただ未柚ともう少し遊びたいだけだよぉ……」 顔をずいっと近付けるとささやくように呟く。 「………もっと…もっと未柚を知りたいな…………」 ついさっきまで自分を殺すつもりで叩きのめしていたとは思えないほどの今の様子。 油断させておいて一気に片をつける気かとも思えて安易に気を許せない未柚であったが、尚も言い寄ってくる。 「…いいでしょう……?私も未柚のおっきな胸…触ってみたいな……」 ボロボロになった服から見える胸を人差し指で突付く。 「……っ!」 思わず飛びのくと彼女は急に悲しそうな顔で未柚を見つめた。 もちろん未柚にもメルーと交わってみたいという願望があったが、今までは当然実現できないことだった。 しかし今目の前には自分を盛んに求めるメルーがいる。 隙を見せたら殺されるという危機感はあるが、求め合ってみたいという願望の方が強くなっていたのは否定できなかった。 おずおずとメルーの手を取りそのまま抱擁する。 すると彼女が強く自分を抱きしめてくることに気付いた。 大丈夫だ。 向き合うとメルーは再び唇を奪う。 さっきと同じように舌を伸ばしてくるので今度は未柚も舌を絡みつかせた。 「ちゅく……むちゅ…」 艶かしい音をたてながらしばらくの間2人は何度も互いを求め合う。 抱擁しつつ2人は自然と互いの衣服をゆっくりと脱がし始めた。 エプロンの結び目をするりと解き、スカートを下ろしたところで2人は向き合った。 少し恥ずかしそうにするメルーの様子が、日に照らされて光る純白のランジェリーとあいまってたまらなく可愛く見えた。 一呼吸おいて互いの下着をゆっくり脱がす。 最後にメルーの眼鏡を外すと2人はそのまま抱き合い、地響きを立てて倒れこんだ。 「わぁ…。未柚の胸って柔らかくて……気持ちいい…」 未柚の豊満な胸をゆっくりと揉むメルー。 戒律というものに縛られている以上こういう経験はない筈なのにメルーは絶妙な力加減で未柚の胸を揉み解していく。 「…あぅ……うぅん…」 早くも未柚は口元から甘い吐息を漏らし始めた。 「うーん…これだけじゃあまり面白くないなぁ……」 胸を揉みながらメルーはあたりをきょろきょろと見回す。 2人の周りには戦闘の巻き添えでまともに建っている建物はない。 道路を走っていた車も瓦礫に埋もれたり、踏み潰されて道路にめり込んだりしていた。 「そうだ♪」 ぽん、と手をたたく。 「どうした…の?」 何を思いついたのか分からず不思議そうな面持ちでメルーを覗き込む。 「少し前人間を瞬間移動で避難させたって言ったよね」 未柚は黙って頷く。 「避難させることが出来れば……逆も出来るんだよ」 にやっと笑うと指をパチン!と打ち鳴らす。 途端、2人の足元は足の踏み場もないほどの人間達で溢れた。 「ぁ!」 突然の出来事に驚愕する未柚。 それは眼下の人間達とて同様だった。 彼らは数時間前突然数キロ離れた隣町の再開発用地に瞬間移動していた。 仕事中の人も、道を歩いていた人も突然飛ばされたために意味が理解できず混乱の様相を呈していた。 そんな人々が再び目にしたのは無残に破壊された街、そしてとてつもなく巨大な2人の全裸の少女。 自分達の身の上に起きていることを理解できぬまま立ち尽くしていた。 「フフン♪」 メルーは上機嫌な様子で茫然自失な人々を数十人まとめて掴み上げる。 「どうしようかなー」 そう言いながら鷲掴みにした人間達を目の前に持ってくると、ためらうことなくゆっくりと握り潰していく。 断末魔の叫び声とともにメルーの指と指の間からドロドロとした血液が湧き出し、滴り落ちる。 悲鳴は更に大きくなるがメルーは力を緩めない。 バキボキと骨が砕かれる音がして悲鳴が止んだと同時に手を開く。 血まみれの手の平の上には人間のなれの果てである肉隗が出来上がっていた。 「クスッ」 なれの果てに対する嘲笑を含んだ微笑。 するとあろうことかメルーはその肉隗を口に入れてしまうとモゴモゴと口を動かして飲み込んだ。 食べてしまったのだ。 その上手の平にこびり付いた血糊を美味しそうにペちゃぺちゃと舐める。 「未柚も食べてみる?」 唐突に言われて返答に窮する未柚。 その間にメルーは数十人を掴み上げて未柚の前に持ってきた。 「おいしいよ♪」 促され、震える手で人々を受け取る。 自分の手の平に移された人間達は恐れに満ちた表情で必死に哀願していた。 「やめて!私を食べないで!!」 「お願いだから助けてよぉ……!」 男女の関係なく泣き叫ぶ手の上の人間たち。 今まで人間を握り潰したりして殺したことはあっても食べたことは一度もない。 そのため涙ながらに命乞いをする人間たちをそのまま口へ運ぶことはどうしてもできなかった。 しかし。 「あれ…?なんでだろう??」 感じたことない感覚。 「おいしそうに見える…」 目の前の泣き喚くものは人間そのものに見える。 しかしなぜかその人間自体がとてもおいしそうに感じられていた。 ゴクリ。 自然と唾液が溢れる。 気持ち悪さなどは全く感じられず、あるのはただ好物を目の前にしたときに感じる『おいしそう』という感覚。 食べたい。 この人間たちを食べたい。 「もう!何を考えているのよ私は!」 ぶんぶんと頭をふってノイズをかき消そうとする。 「私と同じなのに何でこんな事……」 でも、食べてしまいたい。 ためらいつつ手の中にいた20代くらいの女性を摘む。 「キャアァァ!」 半狂乱になって悲鳴を上げる。 女性の目の前には唾液でぬらぬらと光る巨大な舌が蠢く口内が見えていた。 ゆっくり持ち上げられてから少し間を置いて、自分の下半身がバスを一口で飲み込んでしまうほどの巨大な口に咥えられた。 女性の下半身を咥えこんだ未柚は軽く足を舐めてみた。 甘い。 なぜこう感じるのか理解できなかったが、女性はとても甘美な味がした。 舌を動かして靴らしきものを剥ぎ取る。 その靴さえとても甘く、舌で転がしているうちに溶けてしまったのか無くなってしまった。 もう、もう我慢ができない。 心のどこかで欲望を抑制していた箍は一瞬のうちに外れた。 ブチッ……… 「………………!!!!!」 噛み切ってしまった。 少し抵抗があるかと思ったが実にあっさりと、下半身と上半身は離れた。 女性は絶叫を上げ苦痛に顔を歪めながら必死に両手で自分の唇を叩く。 未柚にとってはささやかな抵抗に一瞬罪悪感が湧き上がったが、それはすぐに食欲によってかき消された。 咥えていた女性を口の中に誘い奥歯で噛み潰す。 悲鳴が消え、それと入れ替わるようにしてとても甘い蜜が口に溢れた。 しかしそれはすぐに消えてしまう。 未柚は手の平に残っていた人間たちを一気に流し込むと彼らの叫び声に構わず噛んだ。 プチプチと潰れる感触が心地よく、先程にもまして蜜が口の中に溢れる。 骨らしき感触はあったもののそれらはすぐにとろけてしまい、まるで大トロを食べているような感覚に襲われた。 ある程度舌の上で転がしてからそれを飲み込む。 咽に落ちていく感覚が心地よかったがすぐに口寂しくなってしまう。 辺りを見回し夢中で人々を掴むと口へと運んだ。 悲鳴や命乞いの声が聞こえているはずなのだが何故か耳に入らず、ひたすら食べつづける。 と、不思議なことにさっきまで全身痛んでいたのが急に楽になり体が幾分か軽くなったような気がした。 はっとして体を眺めると傷だらけだった肌はすっかり元通りになっていた。 「…………?」 意味がわからず呆然としているといきなり未柚は突き飛ばされて瓦礫に頭から突っ込んだ。 「何するの!」 するとメルーは悪戯っぽく笑うとアカンベーをした。 「ここまでおいでーっ」 そう言って逃げていく。 「こらっ!」 逃げるメルーを未柚は追いかけた。 廃墟と化した地域から出てまだ無傷の住宅街を走る。 住宅を次々踏み潰していくが、追いかけっこに夢中な2人は自分達の足元がどうなっているか全く気が付かない。 彼女達が通った後にはめちゃくちゃに破壊され尽くした住宅街と原形をとどめていない無数の死体が残された。 不運な人々はもはや悲鳴さえ上げる間もなく踏み潰されていく。 腰の高さ位あるマンション街も2人は気にとめる様子もなくあっさり蹴り崩すが、未柚達の体には傷一つさえ付かない。 巨大な少女が邪魔といわんばかりに次々蹴り飛ばし、整然と建っていたマンションを数分で瓦礫の山に変えた様は混乱する群衆を呆然とさせるほどであった。 未柚が巨大化した駅前まできた所で2人は折り重なるようにして倒れた。 轟音とともにあらゆる建物が爆砕するかのように巨体に押し潰されていき、駅前の繁華街入り口から駅前まで地面を深く抉り取った。 自然と笑いがこみ上げてくる。 まだ無傷のビルを背中で押し潰しながら寝返りをうった2人はしばらく大きな声で笑っていた。 「あはは…。もう、急に突き飛ばすんだもん。メルーったらひどいよぉ」 「ゴメンゴメン。夢中になって人間食べてる未柚見てたらつい……」 「もーっ」 そういいつつ2人はまた街に響き渡るような声で笑った。 2人の声で周囲のビルのガラスを次々と砕け散り、逃げ惑う人々の頭上に降り注ぐ。 笑っていた2人は再び顔を見合わせた。 「続き…やろっか」 メルーが告げると未柚は顔を赤らめた。 ゆっくり体を起こしたメルーは逃げ惑う群集に容赦なく手を突っ込み、数人がすり潰されるのも構わず持ち上げた。 両手でかなりの数をすくい上げると何人か手の間から落ちていくのも構わず両手に分ける。 「未柚?これ…どうしようか?」 なんとなく想像できるが未柚は首を横に振った。 「こうしちゃうんだよぉ…」 笑みを浮かべながら鷲掴みにした人々をそのまま未柚の胸に押し付ける。 グチュリ…… 何かが潰れるような音と共にメルーの手の間から赤い筋が流れ出す。 「ぎゃあぁぁぁっ!!」 「うわーっ!」 指の間から悲鳴が上がるが耳を貸さず、そのまま人間をすり潰しながら胸を揉みしだいた。 グチュリ、グチャリ…… 指の間から肉片と血潮が吹き出し周囲を血の海に変えていく。 「うぁぁ……」 「きゃぁぁ………!」 張りのある胸が揉まれるたび叫び声は弱々しく、小さくなっていった。 「あん………はぁ……」 胸の上で展開する地獄絵図とは対照的に、にゅるにゅるとした感触で乳首を弄ばれる度未柚の口から吐息が漏れた。 血が流れ出さなくなった所で再びかなりの人数を鷲掴みにして胸にこすりつける。 絶妙な力加減とともに、今の自分達にとって矮小な人間達を快楽のためだけに殺戮しているという感覚がとても快感に感じられる。 「うぁん…メルぅ……とても気持ちいい…」 そう呟くとメルーはとても嬉しそうな顔をした。 ぺちゃ…ぺちゃ… 真っ赤に染まり肉片がこびり付いた胸を美味しそうに舐めるメルー。 物欲しそうな顔で見つめていると、メルーはある程度口に含んでから未柚の方に身を乗り出した。 くちゅっ。 そのまま未柚に口付けをするメルー。 すると、口を介してメルーの唾液が混ざり合った血が流れ込んでくる。 さっき人を食べた時よりさらに上品で甘美な味が未柚の口の中に溢れた。 「そろそろ私も……」 そう言ってメルーは半壊した駅ビルの一部を払いのけて駅の中を覗き込んだ。 駅の中には多くの人々がいて、電車が1編成ほど残っていた。 突然現れた破壊者に人々は悲鳴を上げる。 メルーは軽く微笑むと残っていた電車を掴もうと手を伸ばしたが、既に駅を発車していた電車が目に入った。 少し体を動かして走り去ろうとする電車に手を伸ばす。 掴むのを止めた方は反対方向に走り去っていく。 足で押し潰してやろうかと思ったが走り去る電車の方に気を取られていたのでそれは見逃すことにした。 「逃げてもムダだよ」 そう呟くと走っている電車を持ち上げる。 連結器が千切れて2両目が激しく地面に落下した。 反動で3両目以降もバラバラになり地面に叩きつけられる。 そんな電車もメルーが座り位置を変えたことであっさり尻の下敷きになり、乗客もろとも押し潰された。 「くちゃ…くちゃ…」 取り上げた車両をいやらしい音を立てて舐め、唾液まみれにしてしまう。 その間、密かにメルーは魔法をかけて車両の固さを数百倍にしておいた。 こうしないと未柚に挿れた瞬間車体はぐしゃぐしゃに潰れてしまうだろう。 「そろそろいいかなぁ」 濡れそぼった車両をゆっくりと下へと持っていく。 まだ生きていた乗客が見たものは窓一杯に広がるメルーの秘所。 止め処なく漏れる愛液の香りが車内に充満すると、何の前触れもなく車両は秘所へ向けて動き出した。 ぬぷり。 待っていましたとばかりにぬらぬらと光る唇が車両を美味そうに飲み込む。 「んぁ……ぁあん…」 挿入されていくに従って悩ましげな声を漏らすメルー。 ある程度挿れた所で未柚の方を向く。 「ほら…未柚ぅ。いっしょになろ……」 促されるように起き上がりメルーに近付く未柚。 恥ずかしそうにしながらも自ら秘所を指で押し開いた。 止め処なく漏れる愛液。 しかしメルーはわざと車両を挿れようとはしなかった。 「いじわる…。早く…早くしてよぉ……」 不満げに催促する。 「あ、そう。じゃあ」 間髪居れず一気に車両を突き立てた。 ずぶり!! 「うぁん!!!」 突然のことに甲高い声を上げる未柚。 じゅぷり!じゅぷり!じゅぷり! 何度も何度も腰を動かして車両を出し入れするメルー。 たまらず未柚も腰を動かし始めた。 あまりの速さに車両のガラスは砕け散り、2人の暖かい愛液が容赦なく乗客たちを押し流していく。 「うぁぁぁ……」 「ゴプッ…!」 あまりの勢いに溺れる者さえいた。 「メルーっ!何…これ…!!おなかが壊れちゃうょっ!!!」 「くッ…未柚ぅぅ!!!」 互いに何度も何度も出し入れする。 「あん…うぅ…はうっ!!」 「うぁ…ああぁ……いやぁぁ!!」 快楽に身を任せ、自分達が出し入れしている電車に人が乗っていることすら忘れて更に腰をふる速度を速めていく。 ぐちゅり!じゅぶり!ぐちゅり! 愛液に溺れつつあった乗客たちは淫らな音が更に高まるにつれ次々と気を失い、絶命していく。 かろうじて生き残っていた人々もひしゃげ始めた車両によって最後の時を感じていた。 求め合う2人の激しい動きはとてつもない震動を生み、駅周辺の崩れていない建物を次々と崩壊させていった。 「メルぅっ…もう……もうらめぇっ!!!!」 「未柚ぅぅっ!!!!」 バリバリバリッ……!! 魔法による強化も限界に近付き、ついに車両はねじ切られる。 その瞬間同時に2人は果てた。 ビクビクと体を震わせながら、地響きと共に瓦礫を巻き上げながら崩れ落ちていく未柚とメルー。 止め処なく溢れ出す愛液が駅前を覆い甘美な匂いが辺りを支配した。 「…はぁ…はぁ…はぁ………」 あまりの激しさに疲れきった2人は、愛液に沈んだ駅前広場でそのまま気を失った。 気が付くともう日は傾いて夕方になっていた。 火照った体を心地いい涼しい風が癒してくれる。 周囲を眺めると上階の一部しか残らず崩壊した駅ビル、瓦礫の山と化した繁華街。 少し前まで華やかだった街は動くものの無い死の街へと様変わりしていた。 自分の周りには性別、年齢さえ分からない無数の死体が無残な姿を晒し、血の海に沈んでいる。 全部私達がやったんだ……。 暴れた後改めて周囲を見回す度、巨大化した自分が持つ力の大きさをこうやって何度も思い知る。 横を見るとメルーは破壊され尽くした街をぼーっと眺めていた。 「メルー…いいの?これからどうするの?」 多少の罪悪感を感じていた未柚は心配そうに尋ねる。 「いい、っていったら嘘になるかな。でもどうせ追放される位なら未柚と一緒に遊んだ方が楽しいから…ね」 少しばかり安心した未柚。 メルーはゆっくり体を起こすと未柚に抱きつく。 未柚も体を起こし、互いを抱擁した。 「大好きだよ…未柚……」 「メルー…私も大好き……」 動くものの無い瓦礫の街で2人の巨大天使は熱い口付けを交わすのだった。 △続く▽