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「骨太09」社会保障費抑制せず、与党に確約 閣議決定

2009年6月23日20時56分

 政府は23日の臨時閣議で、経済財政改革の基本方針「骨太の方針09」を決めた。形式的には小泉内閣の「骨太06」以来の歳出削減の維持が盛り込まれたが、年間2200億円の社会保障費抑制を実施しないことを与党に確約。総選挙を前に財政出動圧力を強める与党に押し切られ、歳出改革のトーンは後退した。

 総選挙で民主党の財源論のあいまいさを突き、自公両党の「責任政党」ぶりをアピールしたい首相は「基本方針(骨太)06等を踏まえ、歳出改革を継続」との文言を残すことにこだわった。だが支持率急落で求心力の低下した政権に2200億円抑制方針の撤回を求める自民党厚労族などを押し返す力はなかった。

 骨太09には「社会保障の必要な修復をする」「昨年度とは異なる概算要求基準を設定」との記述が追加されたうえ、与謝野財務相が23日、自民党の細田博之幹事長ら四役、厚労族でもある尾辻秀久参院議員会長と(1)来年度予算で社会保障の自然増はそのまま認める(2)一方で無理のない範囲で節約に努める――などとする覚書も交わした。

 首相は骨太09を次期総選挙の政権公約に反映させたい考え。ただ、年末の予算編成より前に行われる総選挙で、与党が勝利し自公連立政権が継続しなければ、骨太09は白紙となる公算が大きい。

 首相は23日、来週中をめどに10年度予算編成の概算要求基準をまとめるよう与謝野財務相に指示。記者団には「2200億円はほころびが出始めて修正しないといけない」と述べつつ、中期的な財政再建路線とは両立していると強調した。

 骨太06は社会保障費の伸びを07年度から5年間で1.1兆円抑えると定め、政府は毎年度2200億円の圧縮を目指してきた。しかし、09年度予算編成では230億円程度の抑制にとどまり、09年度補正予算でも社会保障に重点配分され、事実上抑制方針は破綻(はたん)していた。今回は年末の予算編成を待たず、骨太決定段階で抑制を断念した。

 新たな財政再建目標としては、国と地方の債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率を20年代初めまでに安定的に引き下げることなどが明記された。首相は骨太06で定めた公共事業費の毎年度3%削減は原則守り、中長期的には財政再建路線を堅持する構えだ。一方、首相の指示で、当面の最優先課題として盛り込まれた(1)雇用や地域経済回復などのための経済危機克服(2)少子化対策や子育て支援などのための社会保障強化――は財政出動拡大につながる可能性が大きい。(稲垣直人)

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