見通しのよい田んぼの交差点は、なぜか自動車同士の出合い頭の衝突事故が多いという。日本自動車研究所(茨城県つくば市)で事故発生のメカニズムを研究する内田信行主任研究員(41)は、年間数百件に上ると推測する。
実験から、運転手の右前方45度の位置で車が同じ速度で交差点に向かうと、常に視界の同じ位置に車があって気付きにくいことが判明。道路沿いにフラワーポットを置くだけの対策で、車とポットの色が交互に変化して運転手に注意喚起できるという。
内田さんは、人工衛星などのハイテクよりも、ちょっとした工夫や心がけで事故を予防できる、いわばローテク技術の研究に力を入れている。
最近は車の前方や運転手の顔の向き、足元などを映像で同時記録するドライブレコーダーを開発、事故が起きやすい運転手の行動パターンを分析している。右折車と直進車との交差点の衝突事故の多くが、直進車の背後にある車を確認せずに右折を始めていたことが分かった。「ローテクの出番はこれからですよ」と笑った。【石塚孝志】
毎日新聞 2009年6月16日 12時20分