フジテレビの憂鬱はいつまで続くのか

　フジテレビの編成部が予想しなかった事態に頭を抱えているという。

　テレビ放送は１１年７月２４日でアナログ放送から地上デジタル放送に完全移行する。これに伴って行われたのが一部キー局のチャンネル変更だ。

　ＮＨＫ総合、日本テレビ、ＴＢＳ、フジテレビは現行のままだが、ＮＨＫ教育は３から２、テレビ朝日は１０から５、テレビ東京は１２から７に変わる。

　このチャンネル変更によって今年３月から朝日新聞と日経新聞などがご覧のようにテレビ欄の並び順を入れ替えている。この影響が早くも出ているのだ。

　これでもっとも戸惑っているのは新聞で番組をチェックしているＦＭ３層（３５歳以上の男女）。長年、見慣れたテレビ欄が変わったため、番組をチェックできないのだという。

　その結果、どんな変化が起きたのか――。

「ＦＭ３層が視聴する全日帯で変化が起きています。とくに在宅率の高い土日のゴールデン・プライム（Ｇ・Ｐ帯）は顕著です。隅に追いやられたフジが日テレに負ける週が今年３月以降は増えていて、とくに最近は頻繁です。３月から６月の全日帯における平均視聴率は“王者”フジが８．３％、日テレが８．１％で０．２ポイントの僅差（きんさ）になっている」（キー局関係者）

●日本テレビが全日帯で肉薄！！

　ＦＭ３層は以前なら真っ先に切り捨てられていた。しかし、テレビ離れが顕著になる中で今や重要なターゲットになっていて、彼らを取り込むのはテレビ界の重要な課題になっている。

「最近はコアターゲットという視聴率の分析方法がある。スポンサーもこれが有効と気がついて、ＦＭ３層を狙い撃ちして年金や保険、旅行などのＣＭ戦略を考えているほどです」（業界関係者）

　既に発売されているテレビは新チャンネル対応になり、他紙やテレビ雑誌が順番変更に追従するのも時間の問題。

　テレビ界ではこの流れの中でフジが劣勢に立たされているため、“フジテレビの憂鬱（ゆうつ）”と呼んでいる。また、視聴率がアップする現象はテレ朝、ＴＢＳ、テレ東の全日帯でも起きている。

「テレ朝やＴＢＳ、テレ東はそれぞれ０．１〜０．３ポイントと、本当に微増ながら数字がアップ」（編成関係者）という。“フジの憂鬱”は今後も続くのか。

（日刊ゲンダイ2009年6月19日掲載）