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【主張】麻生政権 信を問う政策示すべき時
来月8日からのイタリアでの主要国首脳会議(G8サミット)などを控え、麻生政権が正念場を迎えている。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、内閣支持率が1カ月余りで約10ポイントも急落し
た。
自民党内には「首相の下では衆院選は戦えない」といった総裁選前倒し論も広がっている。浮足立つ議員も出ている。
麻生太郎首相は海賊対処法の制定、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議などに向けて、一定の実績を上げてきた。もう少し正当に評価されてよい。
しかし、麻生政権はいかなる政策をもって国民に信を求めようとしているのか。それが、いまだにはっきり見えない。そこを明確に示すことを首相に求めたい。
具体的には、日米同盟の強化や社会保障の財源論を提示するのも方策だ。米国に向けて北朝鮮のミサイルが発射されても、日本は座視せざるをえない。集団的自衛権の行使に抵触すると判断しているためだが、この行使を容認するなどして日米が共同して防衛する枠組み作りこそが求められている。北の無謀な行動を抑止することにもなる。消費税論議をもっと正面に据えるのもよい。
この1カ月の間に、厚生労働省の分割構想の見送りや日本郵政人事の迷走など、首相の指導力、決断力に大きな疑問を抱かせる事態が相次いだ。世論調査では、首相の指導力を「評価する」との回答は10・9%にとどまり、「評価しない」が8割を超えた。
日本郵政社長人事をめぐり、鳩山邦夫前総務相を事実上、更迭したことでも、7割の人が首相の判断は適切でなかったと受け止めている。「かんぽの宿」売却への疑問も多かろうが、西川善文社長と鳩山前総務相のどちらを支持するかで、首相に迷いが見えたことも影響しているのだろう。
民主党の鳩山由紀夫代表との2度の党首討論では、鳩山代表の「友愛」精神の政策的あいまいさがわかったものの、首相が政策論争で相手を圧倒したという見方にもつながっていない。
総裁選前倒しを主張する人々は新総裁にどのような政策、理念を求めているのか明示すべきだ。世論調査結果には政権交代に対する強い関心が示されている。看板の掛け替え程度では、有権者の支持を取り戻すことは難しい。