京都市の人気ブランドかばん店「一澤帆布(いちざわはんぷ)工業」の故一澤信夫前会長が所有した同社株の相続権を親族間で争った訴訟で、最高裁第3小法廷(藤田宙靖=ときやす=裁判長)は23日、長男と四男側の上告を退ける決定を出した。三男側の株式相続を認め、三男を社長から解任した臨時株主総会の決議を取り消した2審・大阪高裁判決(08年11月)が確定した。
長男と四男だけに同社株を相続させるという内容の信夫氏の遺言の有効性が争われた。
三男側は「遺言は偽造された」と主張したが、1審・京都地裁は07年5月、請求を棄却。2審は「経営に関与していない銀行員の長男に株の大部分を相続させるとの遺言は著しく不自然で不合理。信夫氏作成とは認められない」とした。このため、05年12月の社長解任決議についても「(株を相続していない)長男は非株主であり、長男らが参加した総会の決議は取り消しを免れない」とした。
長男と四男側は上告したが、決定は「(憲法違反や判例違反などの)上告理由がない」として退けた。
三男は06年、新会社「一澤信三郎帆布」を設立し、「信三郎帆布」などの新ブランド名で商品を販売している。【銭場裕司】
毎日新聞 2009年6月23日 22時01分
6月23日 | 一澤帆布相続訴訟:三男側の勝訴が確定 |