2009年6月23日23時21分
写真共有サイト「フリッカー」に22日投稿された「ネダ」とされる女性=ロイター
【テヘラン=吉武祐】イラン大統領選を巡る抗議行動の最中に発砲を受け、命を落としたとされる若い女性の映像が、インターネットを通じて世界中に広まっている。彼女の名は「ネダ」。「民主主義と自由を望んだだけ」と語ったとされ、中世フランスの女性戦士にちなんで「改革派のジャンヌ・ダルク」と呼ばれて、抵抗のシンボルとなっている。
動画サイト「ユーチューブ」などに投稿された映像では、女性は20日にテヘラン中心部であったデモに参加した際に撃たれた。胸から血を流して倒れ、数人に介抱されたが吐血して死亡。アフマディネジャド大統領を支持する志願民兵バシジに撃たれた可能性が高いとみられている。
小規模ブログの「ツイッター」には、女性の勇気に感動した各国の市民から「安らかに眠ってください」など大量のコメントが寄せられた。米主要メディアも、その過熱ぶりをこぞって報じた。
「ネダ」とはペルシャ語で「声」を意味する。ネット上では本名が「ネダ・アガソルタン」であるとして写真も公開されているが、年齢や経歴については様々な情報があり、食い違っている。
22日にテヘランで起きた数百人規模のデモは、彼女の追悼のために催されたとの説も。「反政府派だとして、すべてのモスクに葬式を断られた」(改革派筋)とされ、テヘラン南部の墓地に埋葬されたという。
一方、保守強硬派のファルス通信の編集局長は23日、イランの国営テレビに出演し、「あの映像は作り物だ」と語った。