2009年6月23日 22時0分更新
アスベストによる肺がんで亡くなり労災認定をうけた岡山県倉敷市の男性の遺族が、遺族補償年金の算定方法が不当だとして、国に対し支給額の決定を取り消すよう求める訴えを岡山地方裁判所に起こしました。
アスベストによる労災で遺族補償年金の算定方法を争う裁判は全国で初めてということです。
訴えを起こしたのは、アスベストによる肺がんで亡くなった倉敷市の男性の71歳の妻です。
この男性は断熱工事会社の従業員として21年間に渡ってアスベストを扱う仕事を続けたあと、自分で会社を立ち上げて同じような断熱工事を19年間行い、6年前に亡くなりました。
これについて倉敷労働基準監督署は、おととし労災と認定し、遺族補償年金については男性が自分の会社で事業主としてかけていた労災保険を基準にして、年額およそ60万円の支給を決めました。
これに対して原告は、肺がんなったのは長年に渡る断熱工事会社での作業が大きな原因で、当時の従業員としての労災保険を基準にしないのは不当であり、遺族補償年金は半額以下に削られたと主張して、国に支給額の決定の取り消しを求めています。
原告の弁護士によりますと、アスベストをめぐる労災で遺族補償年金の算定方法を争う裁判は全国で初めてだということです。
原告の女性は「会社で20年余りも働いていたのに適正な金額で補償してもらえないのは納得できない」と話しています。
これについて岡山労働局は「訴えの内容を確認して関係機関と相談し今後の対応を検討したい」と話しています。