憂楽帳

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憂楽帳:天職

 マスコミ志望の大学生6人が会社に訪ねてきた。まだ2年生だが、質問するまなざしは真剣そのものだった。マスコミ業界へ就職したいという強い思いと、厳しい就職戦線の現状を実感した。

 天職という言葉がある。広辞苑には「天から命ぜられた職」とある。しかし、大阪商工会議所会頭の野村明雄・大阪ガス会長は、「天職とは降ってくるものではなく、自分でつかみ取るものだ」と話してくれた。辞書には「その人の天性に最も合った職業」ともあるが、それは、与えられるものではない。「いろいろなハードルを越えながら、自分で天職にしていくものだ」というのが、野村会長の持論だ。

 大学を卒業する時、恩師から「石の上にも3年」という言葉を贈られた。ありふれてはいるが、仕事に行き詰まった時、いつも自分に言い聞かせてきた。学生たちは、厳しい就職活動が続くだろう。夢かなわず、本来の希望とは違う仕事に就いたとしても、すぐにあきらめないでほしい。「これを天職にするんだ」と思うことが、苦難を乗り越える支えになるかもしれない。【須佐美玲子】

毎日新聞 2009年6月23日 大阪夕刊

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