新型インフルエンザは山梨県でも感染が確認された。しかし、まん延せずに小康状態が続いている。その背景には、県職員や医療関係者らの適切な対応があった。
国内発生直後から県が「『疑い例』でも遺伝子検査を」と医療機関に伝えていたため、医師たちは積極的に遺伝子検査を実施。早期発見につながった。また、カナダの語学研修で生徒が感染した山梨英和中との緊密な連携も、濃厚接触者を最小限に食い止めた。
県の担当職員5人は、国内初発生時や県内発生時には徹夜勤務。5月16日以降、福祉保健部の職員2人が休日含め24時間態勢で相談を受け付けてきた。担当職員の一人は「県民を混乱させないことが第一でした。自分の家族のことさえ、二の次だった」と苦笑した。小康状態の現在も職員たちは「まだ気を抜く段階ではありません」と口々に言う。
何かと不祥事が記事になることの多い公務員だが、今回の県職員たちの対応には、率直に敬意を表したいと思う。感染拡大が懸念される秋以降も、素早い対応を期待したい。【甲府支局・小林悠太】
毎日新聞 2009年6月23日 地方版