竹田市で唯一の小児科がある竹田医師会病院に小児科医を派遣していた大分大学医学部が22日までに、同病院への派遣の取りやめを関係者に伝えていたことが分かった。同大医学部が大分合同新聞の取材に答えた。竹田医師会病院の小児科は、小児科医の体調不良を理由に6月1日から休診となっており、市内の小児科医不在状態が長期化する恐れが出ている。
関係者の話によると、小児科医の勤務形態や待遇面などで問題が生じ、市、市医師会などを交えて話し合いを続けてきたが、溝は埋まっていないという。大学は「小児保健医療のモデルとして頑張ってきたが、受け入れ難いものがあった。患者らのことを考えると残念でならない」とした。
病院には1日以降、小児科に対する問い合わせが毎日10~20件あるという。「医師不足や厳しい経営状況の中、最大限の誠意を示してきた。病院としても小児科診療の継続は必要と考えており、市民のことを思うと残念でならない」としている。
市は市内で小児科診療が継続できるあらゆる方策を探っている。県医務課は「(派遣をやめることについて)正式な連絡を受けていないが、小児科医が竹田市に残れるよう支援していきたい」と話している。
2歳の子どもがいる市内の主婦(32)は「本当に困る。緊急の時を考えると怖くなる。早く、市内で診療が受けられるようにしてほしい」と話した。
竹田市などによると、同市は全国でも数少ない小児科空白地域が約13年間続いたが、大分大学が2004年から常勤の小児科医を派遣。市はおたふくかぜの予防接種の全額補助をするなど、行政と医療機関が一体化した取り組みで市の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む平均子ども数)は06年から2年連続で上がった。
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