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【岐阜】

研修医を救急搬送現場へ 新制度で美濃加茂の病院と可茂消防

2009年6月23日

救急車内で救急隊員から学ぶ研修医の丸田明範さん(左)=美濃加茂市加茂川町で

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 医師になりたての研修医に救急搬送の現場を知ってもらおうと、美濃加茂市の木沢記念病院と可茂消防事務組合が、新たな研修制度を始めた。研修医は救急車に乗り込み、実際の救急隊の活動を体験する。救急医療体制の充実に向け、医師と救急隊の相互理解を深める取り組みだ。

 同様の試みは、岐阜市消防本部と同市民病院でも実施。救急医療に力を入れる木沢記念病院が提案し、5月下旬、可茂消防事務組合と協定を結んだ。

 本年度中は、同病院に勤める研修医9人が毎週金曜日の午前8時半から午後5時15分まで順次、同組合で研修を受ける。研修医は、救急搬送全般を学び、患者が病院に到着するまでの救急車で、救急救命士らが携わる救命処置に触れる。一方、救急隊員も医師から医学的な知識など専門性を吸収する。

 現在は、研修医の丸田明範さん(26)が毎週、同組合に通っており、救急出動も2回経験。救急救命士と現場に急行し、救急車で患者の心臓や脈拍、血圧をチェックするなど搬送に立ち会った。

 交通事故のケースにも遭遇。けが人の背骨が動かないよう、全身を固定して搬送した。「病院の中にいるだけでは、救急医療の現場が分からない。救急隊員と一緒に活動できたのは、いい経験になる」と丸田さん。

 搬送時に医師が救急車にいることは、救急隊員の側にも大きな支えだ。丸田さんと一緒に現場に行った中消防署の救急救命士板津将司さん(35)は「現場での処置や救急車内での患者の観察など助言をいただき、勉強になった」と話す。

 同組合消防本部の救急課長八田善明さんは「医師と救急隊の間で顔の見える関係をつくりたい。学び合い、意見を反映させていけるのが望ましい」と手応えを感じている。

 (井上昇治)

 

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