電車を待つときは決してホームの端に立ってはいけない。そして背後に不審人物がいないか十分な警戒が必要となる。
駅員からの通報で駆けつけた警視庁高井戸署員が殺人未遂の現行犯で逮捕したのは、杉並区浜田山の高千穂大学3年、川満康成容疑者(20)だった。
同署の調べによると、女性は母親、妹の3人で買い物に行くため、永福町駅に到着していた渋谷行き普通電車に乗ろうとした。しかし、乗る直前、ドアが閉まった。3人の先頭にいた母親は、娘たちに「次の電車にしましょう」と合図を送るため後ろを振り向いたところ、女性の背後から男が近づいてくるのが見えた。女性も「誰かが近づいてくる気配は感じた」という。
次の瞬間、男は何を思ったか、女性の左腕を抱えるようにつかんだ。母親は「何をするの!」と叫び声を上げる。驚いた女性は振り払おうと体を右にひねる。そして2人はそのまま、動きだそうとしていた電車の前(ホーム下の線路)に落ちていった。
この一部始終を運転士も目撃していたため、寸前で発車をやめ、急いで救助。女性は腰の骨を折るなど全治2カ月の重傷。一方の川満容疑者は右ひざ打撲の軽傷だった。川満容疑者と女性らの面識はなかった。
川満容疑者は5月31日午前0時ごろから午前4時ごろまで渋谷で友人と酒を飲んでいた。その後、午前8時ごろ渋谷から吉祥寺行きの電車に乗ってそのまま寝てしまったが、「なぜ永福町にいたのかも、やったかどうかもよく覚えていない」と供述をしている。
ただし「逮捕時は泥酔状態ではなかった。まっすぐ歩いていたし、ろれつも回っていた」(捜査関係者)という。同署が動機や詳しい経緯を追及している。