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【解説】
SSDの速度低下を招く「メモリー断片化問題」を考える 第1回
なぜ、使っているうちにパフォーマンスが落ちるのか
(2009年06月16日)
SSDの延命措置に
ベンダーは苦心
ユーザーの多くが、買ったばかりのSSDはメーカーの公称値に近い速度で動作するが、使っているうちに速度が低下していくことを経験している。この原因は、SSDのデータ記録の方式にある。書き込みという1つの処理で済むハードディスクとは異なり、SSDは消去と書き込みという2段階を経てデータを記録するのだ。
また、SSDにデータが書き込まれると、コントローラがそのデータをメモリー内部のあちこちに移動させる「ウェアレベリング」という処理を行う。これは本来、メモリーの一部分だけが消耗しないようにして、SSDの長寿命化を図るための処置だ。だが、このウェアレベリングが、結局、パフォーマンス問題の原因となる。
SSDのパフォーマンスと耐久性は相関している。一般的に、パフォーマンスが低いほど寿命は短い。書き込み/消去のサイクルが多くなるほど、ドライブの寿命は短くなるのだ。
コンシューマ向けSSD製品に利用されているMLC(Multi Level Cell)メモリーは、2千〜1万回程度の書き込みサイクルにしか耐えられない。だが、エンタープライズ向けSSD製品に利用されているSLC(Single Level Cell)メモリーは、その10倍の書き込みサイクルに耐えることができる。
ここで、SLCとMLCの違いをおさらいしておこう。SLCは、フラッシュ・メモリーの1つのセルに1ビットのデータを書き込む。これに対してMLCは、各セルに2ビット以上のデータを書き込む方式を採用している。価格は、MLCのほうが大幅に安い。
ベンダーは、SSDのフラッシュ・メモリの寿命を伸ばそうと苦心している。延命策としては、主に次の2つだ。まず、書き込みバッファ用のDRAMキャッシュを搭載し、書き込み/消去サイクルを減らす方法。もう1つは、特殊なファームウェアを使って書き込み処理の効率化を図る方法だ。
調査会社のConvergent Semiconductorsのアナリスト、ボブ・メリット(Bob Merritt)氏によると、SSDの寿命にかかわるもう1つの要素は、「追加のメモリー・セルが用意されているか、もし用意されているならいくつあるか」という点であるという。
一部のベンダーは、ストレージを多めに用意し、フラッシュ・メモリーのブロックが消耗した場合には、余分のブロックを使えるようにしている。例えば、メモリー容量120GBと表示されているドライブが、実際には140GBの容量を持っている場合、余分の20GBは必要になるまで使われることはない。
また、SSDには稼働部品がないため、ドライバの調子が悪くなるときには、コントローラで不具合が発生するなどして、ファームウェア・レベルでOSとのI/Oに影響を与えている場合が多い。実際に、こうした不具合はしばしば見受けられる。
Computerworld米国版のある編集者が先月購入したOCZ Technology製の120GBのSSDは、たった2週間使っただけで故障してしまった。この編集者は現在、交換品を使用しているが、データのバックアップを頻繁に行っている。
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