検索オプション


ここから本文です

不況影響…「婚活」新時代、キーワードは“共働き”

6月15日12時56分配信 産経新聞

 テレビのドラマのテーマにも取り上げられ知名度が上がった「婚活」(結婚活動)。不況で結婚に人生の転機を見いだそうとする女性が増えているという。婚活に詳しいジャーナリストの白河桃子氏にその現状などを聞いた。

 ◆20代に専業主婦願望

 −−景気悪化で婚活への変化は

 「ある大手の結婚相手紹介サービス業では今年1〜3月期で、20代の登録が前年同期比50%の増加。とくに女性が増えている。公務員の男性限定のお見合いパーティー企画だと、あっという間に女性枠が埋まってしまうらしい。私は、多様な経歴や職業の人を集めたタイプの紹介業を『デパート型』、男性の登録資格を医師、弁護士などに絞ったタイプを『ブティック型』と呼んでいる。『セレクトされた男性』をそろえたブティック型だと、女性の登録者比率は7、8割にのぼる」

 −−高収入の男性への人気が一段と高くなっている

 「背景の一つには女性の働く環境への絶望感がある。内閣府の意識調査によると、『夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである』という女性への質問で、賛成派は20代が60代に次いで多い。反対派が多いのは40代だ」

 −−20代の女性が専業主婦にあこがれている

 「専業主婦のステータスが非常に上がっている。アラフォー(40歳前後)世代は、専業主婦に簡単になれたから、仕事も結婚も家庭も、と欲張れた。しかし、現在はどれも取れないかもしれないという危機感が出てきた。少数の女性しか専業主婦になれない。なりにくいものの価値は当然上がる」

 ◆養える男性わずか

 −−婚活にも雇用問題が絡んでいると

 「専業主婦は年功序列の終身雇用制度があってこそ存在できる。終身雇用制度が崩壊した今、女性たちが家庭に入って、その分の仕事を男性に譲る形になっても、妻を専業主婦として養える男性が増えるわけではない。しかも、仕事を1回やめた女性が再び働こうとしても、子供を預ける保育園さえ足りない。若い人がそんな状況をみて、『じゃあ、頑張って働こうか』という方向でなくて、『早く、専業主婦にならなきゃ』とあせり婚活が盛り上がるのは良い傾向ではない」

 −−明るい展開ではない

 「一部の女性だけが希望をかなえて勝ち組になり、あとは討ち死にするパターンだ。男性も1人で家族を食べさせていくことに自信をなくしており、働く女性を求めている。その一方で、こうしたニーズに背を向ける女性が増えている。こうしたミスマッチが結婚氷河期の温床となっている」

 −−婚活がブームのようだ

 「婚活への誤解が多い。紹介業を使うことだけが婚活ではない。提言したいのは、妻が夫に養ってもらいつつ、自己実現などのための好きな仕事をやるといった『新専業主婦』的な姿を求める結婚像からの脱却だ。これからは、本格的な共働き時代に移行していくだろう。それを前提に婚活をしないと結婚はしにくい。年収600万円以上の未婚男性はごくわずか。女性は小さいパイを奪い合うのはやめて、広い視野を持って婚活をしてほしい。紹介業に登録するなら、2、3社は話を聞いたほうがいい。詐欺まがいのところもあるし、安いお金じゃないので。耳に痛い助言もしてくれる『この人なら』と信用できる有能なカウンセラーを探すことが大切だ」(比嘉一隆、進藤錬太郎)

                   ◇

【プロフィル】白河桃子

 しらかわ・とうこ 慶応大文学部卒後、大手商社勤務などを経て、ライターに転身した。少子化問題や女性のライフスタイルにかかわるテーマを主に手掛ける。山田昌弘中央大教授との共著「『婚活』時代」は17万部のヒットを記録。講演活動もこなす。東京都出身。

                   ◇

 ■25〜29歳女性、6割が未婚

 政府の少子化社会白書(2009年版)によると、2005年の25〜29歳女性の未婚率は59%にのぼり、30年前(1975年)に比べて、38.1ポイントも上昇した。同年代の男性未婚率は71.4%で、上昇幅は23.1ポイント。若い女性の未婚率は急カーブで上がっている。生涯未婚率(50歳時未婚率)は、女性は4.32%から7.25%に上昇、男性が2.12%から15.96%に上昇した。

 白書では「なぜ若者は結婚しない、できないのか?」と題する分析コラムを掲載。東京の25〜34歳の未婚女性の約7割が年収400万円以上の男性を求める一方で、同年代の未婚男性の約8割が“要求基準”に満たないことを紹介し、需給の溝を指摘している。

 平均初婚年齢は07年が、男性30.1歳、女性28.3歳で、1975年よりそれぞれ3.1歳、3.6歳上昇。晩婚化が進行している。高年齢になると、出産を控えるため、少子化の原因となる。

 少子化は、国内の働き手と消費の担い手が減少することを意味する。年金や経済成長力、財政など、日本を悩ませる大きな問題の根幹には、人口減少がその背景にある。

【関連:「婚活」】
女子大生〜63歳まで“リアルな出会い”婚活バー潜入
サイン見逃すな!40代でも結婚可能な“婚活術”
婚活シートに女性応募殺到 野球場に“肉食系女子”
婚活相手は家畜!? 「男の子牧場」閉鎖
婚活は下着から!? トリンプが「婚活ブラ」発表

最終更新:6月15日12時56分

産経新聞

 

関連トピックス

主なニュースサイトで 婚活 の記事を読む

ブログパーツ

経済トピックス

nikkeiBPnet on Yahoo!ニュース