北朝鮮核実験:「希ガス」確認されず CTBTO監視網

2009年6月22日 19時21分

 【ウィーン中尾卓司】北朝鮮が先月25日に実施した2回目の地下核実験に絡み、核実験全面禁止条約機関(CTBTO、本部ウィーン)の国際監視網で、核実験確認の決め手となる放射性ガス(希ガス)が確認されていないことが分かった。CTBTO当局者が毎日新聞に明らかにした。希ガス「キセノン133」などの寿命は短く、「今後検知されることは絶望的」(外交筋)となった。

 希ガスは、地下の岩盤のわずかなすき間も通過する性質から、最も確実に地下核実験の実施を検証できるとされている。しかし、世界に22カ所の観測地点を持つ国際監視網でこれまで検知されなかった。CTBTOはその理由として、実験場の地下トンネルの岩盤が巨大な爆発エネルギーで崩壊し、希ガスが密閉された可能性もあるとの見方を示した。地震波の特徴から「人工の爆発」との判断に変わりはない。

 北朝鮮による前回06年10月の核実験では、約2週間後にカナダ北西部イエローナイフ観測所で希ガスが観測された。

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