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ニューライトの名付け親、「時代精神」安理事長(5/5)

2009年韓国の模索

◆「過去史委員会はそのままにしておくのがいい」

-「失われた10年」という評価は、「過去史清算」を掲げ大韓民国が歩んできた道を否定的に見る前政権の失敗を繰り返すのではないか。

 「わたしは李明博政権が前政権から継承した過去史清算委員会の活動を積極的に後押しすべきだ、と考えている。委員会が最後まで仕事ができるようにし、これが正しい解決策ではない、と悟るようにするのがいいのではないか。どのみち任期が定められているのだから、その時まで待ってやればよいのではないかと思う。今、李明博政権が過去史委員会の活動を中断させれば、再び権力のために過去史清算が霧散した、という論争が起きるだろう」

-ニューライトは、弱者を責めるむごい顔を持っているように感じられる。社会的弱者や庶民のためのプログラムはないのか。

 「わたしは失業者に働く機会を与えることが最も重要な福祉政策だと考えている。成長を通じ、よい働き口を作り出すことが重要だ。もちろん、貧困者や高齢者、子供に対する福祉の恩恵を広めていくことも必要だ。この面では“進歩政権”が寄与した部分がある。しかし、福祉政策はあくまでも補助的な措置だ。西欧の福祉国家は、所得を平等にするのではなく、所得を手にする機会を平等にする方向に政策を変えた。韓国も、教育・職業訓練に投資しなければならない」

◆「李明博政権に危機感を覚える」

-李明博政権が以前の政権の失敗を繰り返すかもしれない、という危機感はないか。

 「李明博政権は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権と同様に混乱の中でさまよっている。政権の支持率が低いのは、政権が国民から孤立していることを意味する。李明博政権の誕生に責任がある人物として、危機感を覚える。大統領が国民統合に乗り出していないからだ。政府は社会統合委員会を作ったというが、委員会だけでできることではない」

■安秉直理事長ってどんな人?

 安秉直理事長(ソウル大名誉教授)は80年代前半まで、「植民地反封建社会論」の立場から韓国経済を批判してきた左派陣営を代表する研究者だった。しかし85年、低開発国は先進国の技術や資本を土台として先進国に追いつける、という「中進資本主義論」と接することで、大韓民国の成長と発展を肯定するようになる。90年代は、ソウル大「民主化のための教授協議会」の初代・第2代会長を務めるなど、批判的知識人として活動した。安理事長の新たな韓国経済史研究は、87年に李大根(イ・デグン)成均館大名誉教授と設立した落星垈経済研究所で本格化した。06年にはニューライト財団を創立、初代理事長に就任。07年から昨年5月まではハンナラ党汝矣島研究所の理事長を務めた。

キム・ギチョル記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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