(蜂蜜色の髪飾り) 山本武、は変な奴だと思う。僕が女だと知っても何も変わらない。 そのことが、僕を安堵させる。 変わりたいと思った訳じゃない。(だって変化はこんなにも怖い。) 変わらないことを願った訳じゃない。(もっと近づきたくて。) 僕の名を呼ぶ君の声が。僕を見る君の瞳が。僕に触れる君の手が。 僕の全てを変えてしまった。 手を伸ばしても赦されますか? 手を触れても赦されますか? 伸ばされた手をとることは、 共に歩むことは、 赦されることなのでしょうか? ただ呆然と涙を流す僕に、山本は微笑んだ。 モノクロだった僕の世界に、光を注いだ君。 曖昧でどうしようもなかった気持ちが、一つの気持ちを形作っていく。 「好き、だ」 誰にも渡さない。 「好きなん、だ」 この気持ちは君の為に。 山本は眉尻を下げて、目を細めて笑った。少し困ったように。 僕は彼の、この笑顔が好きだ。 「ヒバリ、好きだ」 止まらない涙。きっとこの涙が枯れても、この気持ちは枯れない。 強く抱き締められる。その背に回す腕に力を込める。 頬に落とされた唇がとても甘くて、何だか満たされた気分になった。 (大丈夫、きっとこれは運命。) NEXT