ネットの普及って法律にどんな影響があるの?R256月22日(月) 12時 0分配信 / 国内 - 社会でも、ルールが作られれば、その分だけ“やってはいけないこと”も増え、息苦しくなってしまう人もいるだろう。こういう“気持ち”の部分って法律はどこまで汲んでくれるんだろう? そんなギモンを、法律事務所オーセンス・代表弁護士の元榮太一郎氏にぶつけてみた。 「法律というのは社会秩序のバランスをとる道具ですから、誰もが便利なようにしていこうというのが基本にあると思います。ネット関連の法律も同じ。例えばネット上に新たなコンテンツが生まれて、これがマイナス面の問題を起こせば適宜規制するし、逆にプラスの面が大きければ法律を改正して、既存の枠組みを変更してでも対応するという発想になります」 具体的にはどんなことなのでしょう? 「たとえば私は“弁護士ドットコム”というサイトを主催しています。これは、わかりやすく言うと弁護士を比較検討できる“弁護士の紹介サイト”です。便利なものなんですが、実は日本で唯一の弁護士紹介サイトになります。なぜなら弁護士法の第72条で『報酬』を目的とした弁護士の紹介は一律に禁止されているからなんですね。現状では紹介料としての報酬を受け取ることができないので、ビジネスとしてメリットがありません。ですが“弁護士ドットコム”は、ビジネスメリットよりも世の中が必要とするサービスの提供を優先して、ほかに先駆けて始めました」 では、どうやってサイトを運営しているんですか? 「仮に弁護士ドットコムで選んだ弁護士に連絡をとって契約が成立したとします。その契約料金の一部を報酬として受け取ると“紹介料”となるので法律違反になります。したがって現在のところはバナー広告や弁護士の転職支援などで収益を上げています。ただ、最近はアフィリエイトのような“成果報酬型広告”が普及したように広告モデルが多様化しており、『広告』自体が『紹介』的なものになってきています。両者の垣根があいまいになっているんですね。すぐれた弁護士紹介サイトがあれば、一般の人が弁護士にアクセスしやすくなりますし、私自身も有益だと考えています。そうした意味では、弁護士法72条という法律も改正の必要が出てきている気がします」 新しいメディアの登場や社会状況の変化によって、法の解釈が見直されたり、法律そのものが変わったりすることもある、ということなんですね。ということは、現在は禁止されている弁護士の“有料紹介”もやがて解禁される可能性があるんでしょうか? 「アメリカやイギリスなどでも弁護士紹介は規制されていましたが、21世紀に入ってから相次いで規制緩和されています。なぜなら便利だからなんですね。ユーザーの利益にかなっている。ですから日本でも、そうなることが予想されます。ある時点において、法律がネット社会の利便性を阻んでいるように見えても、そこがゴールではありません。ユーザーの利益にかなっていれば法律も変わっていくべきなのです。法律は守るものですが、社会の変化などに応じて変えていくものでもあります」 なるほどね。まず法律ありき、ではなく利用者である国民の利益こそが大事だと。そのために現実を踏まえて常に変化していくのが、法のあるべき姿ということなんですね。 (R25編集部) ※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびR25.jpから一部抜粋したものです ※一部のコラムを除き、R25.jpでは図・表・写真付きのコラムを掲載しております 【関連記事・情報】 ・ 法律を作る側ってネットについてどう考えてるの? (2009.06.17) ・ 電子マネーと“お金”はいったいナニが違うの? (2009.06.03) ・ 電子マネーがお金になる日はやってくるのか? (2009.06.03)
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