[取材]
世界のクロサワ作品で撮影を学び、「鉄道員(ぽっぽや)」等の名カメラマンとして知られる木村大作の初監督作「劒岳 点の記」が、20日に公開初日を迎えた。銀座の映画館では木村監督をはじめ、キャストの浅野忠信、香川照之、松田龍平、宮﨑あおい、仲村トオルが登壇。満員の客席に向けて挨拶を行った。第1回目上映の後に行われた舞台挨拶は、「朝の9時半に映画を観に来る神経が分かりません。本当に本当にありがとう」と木村監督なりの感謝からスタート。全国各地を行脚した舞台挨拶や個別取材など、宣伝活動にも力を入れてきた木村監督。テレビにもたびたび顔を出して、強烈な個性をさらけ出してきたが、ようやく迎えた初日に「本当に嬉しい」と感慨深げ。
延べ約200日間をかけて、立山連峰での撮影を続けてきた「劒岳 点の記」のスタッフ、キャストたち。CGや空撮は一切使わずに撮られた圧倒的な映像美が話題だが、共に目頭を熱くして挨拶に臨んだ主演の浅野と香川の姿からも、現場での相当な苦労が伝わってきた。浅野は「眠れないとき、木村監督に自分の役者としての思いなんかを聞いてもらいました。非常にありがたかったです」と挨拶。香川は皆で山を下っているときに監督が言った「下りは楽だろう。楽なときは下っているときだ。辛いと感じるときは、上っているときなんだ!」と人生訓のような言葉を上げ、「父親のような存在です」と述べた。
常に強靭な精神で皆を引っ張ってきたかに思える木村監督。しかし「最後まで行けないんじゃないかと思った時期もあった」と初日を迎えたからこそ言える本音も告白。また、宮﨑の存在だけは特別だったようで、「大作さん」と呼ばれるたびに「僕も男ですから、クラクラでしたよ」と笑わせた。
「劒岳 点の記」は日本地図最後の空白地点を埋めるために、命をかけて劒岳に挑んだ男たちのドラマ。
「劒岳 点の記」は全国ロードショー中。
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「劒岳 点の記」オフィシャルサイト