【政治】政府と与党一元化 民主政権構想2009年6月22日 07時08分 民主党の鳩山由紀夫代表が衆院選マニフェストに掲げる政権運営構想を練っている。その柱は、政府と与党を一元化し、政策決定の責任の所在を明確にすることだ。国会議員が政策決定を主導する仕組みをつくることで、「脱・官僚」も図る。 (竹内洋一) 自民党政権では、官僚が政府原案を有力議員や党の部会に説明して回り、注文や苦言を聞きながら、了解を取り付けていく段取りが一般的だ。閣僚の意向とは別に、有力者や族議員の意見も、政策に反映されていく。 政策調整の実務を官僚が握っているために、知らず知らずのうちに官僚ペースに巻き込まれている−というのが民主党の見方。民主党はこの仕組みを根本的に見直すことを構想している。 民主党「次の内閣」の閣僚は、財務金融、厚生労働、外務防衛などの各部門会議のトップを兼務している。政権を担当する場合、閣僚を補佐する副大臣・政務官は、部門会議の長を兼ねる案が党内で検討されている。 副大臣・政務官が閣僚の意向を踏まえ、党内の政策議論を主導することで、閣僚が政策決定の権限と責任を持つというプランだ。 一方、官僚には、閣僚への意見具申や政策立案に専念させ、政治家への根回しはさせない。 同時に、鳩山氏は官僚を指して「政治的中立性から外れたような行動がしばしばなされる」と述べており、官僚の在り方も検討課題だ。 例えば、農林水産省の事務次官が十八日の記者会見で、民主党が主張する農家への戸別補償制度を「現実的ではない」と疑問を呈したことを、政治的言動だと問題視。こうした発言は慎むよう徹底するつもりだ。 ただ、政権交代が視野に入るにつれ、官僚を敵視していると誤解されかねない姿勢は軌道修正している。菅直人代表代行は十七日の記者会見で「民主党は『反・官僚』の立場には立っていない。政権を担当する場合には、知識と経験を大いに生かして協力、参加してほしい」と求めた。 鳩山氏は幹事長だった今年二月、各省庁の局長級以上が民主党の政策に賛同しない場合は、辞めさせる考えを示したことがある。党内にも現実的でないとの意見が強く、代表就任後は封印している。 (東京新聞)
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