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「政府も警察もいらぬ」インドの農村、武装し自治宣言(1/2ページ)

2009年6月22日3時40分

 インド東部の貧困地域で、反政府武装組織インド共産党毛沢東主義派(毛派)に扇動された農民が、警官や政府職員を追い出し、自治を宣言した。「解放区」は250の村々に広がり、インド政府は対応に苦慮している。

 乾期のため耕す者のない荒れ果てた田園地帯。一本道が突然、行き止まりになった。インド東部の中心都市コルカタから車で約4時間。深さ1メートルほどの溝が何者かによって掘られ、先に進めない。さらに1時間ほど歩き、アンダルジョラ村にたどり着いた。

 家々は戸を閉め切り、静まりかえっている。見張り役の男に声をかけると、「みんな出てこい」と叫んだ。

 あっという間に男女約300人に取り囲まれた。鎌やくわ、キツネ狩りに使う弓矢、棒きれを手に武装している。「警官は手当たり次第、村人を逮捕しては、カネをせびる」「政府も警察もない方がましだ」と気勢を上げた。

 地元の西ベンガル州政府と村々の対立が始まったのは昨年11月。近くで起きた州政府首相を乗せた車列を狙った爆弾テロがきっかけだった。03年ごろから一帯に浸透を図っていた毛派の犯行とみられ、警察は深夜、民家を急襲したり、村人に暴行を加えたり、手荒い捜査活動をした。

 村人の反発に毛派が目を付けた。毛派の指導のもと「警察の残虐行為に対抗する人民委員会」が結成され、アンダルジョラを含む州内の250村に支部が作られた。

 中心集落ラルガルでは、毛派最高幹部の一人「キシャンジ」という人物が指揮、州政府関係者の暗殺を繰り返し、村人を扇動して警察施設や政府職員の住宅を襲わせた。アンダルジョラ村でも2週間前、州政府の駐在員を村人が追い出し、立ち木を倒して道路を寸断。自警団を結成し、警察の進入を拒んだ。

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