阪神を破り、ベンチ前でナインを出迎える楽天・野村克也監督(中央)
「阪神2-5楽天」(20日、甲子園)
静まりかえる聖地に、楽天・野村監督の高笑いが響き渡る。“超格安打線”が爆発し、5連敗中だった甲子園で3年ぶりの勝利。うれしい貯金生活に突入したノムさんは「楽天の成長、そこを評価してくださいよ」と誇らしげに胸を張った。
猛攻は三回、二死走者無しからだった。平石、中村真が連打でチャンスメークすると、4番の草野は安藤の高めスライダーを見逃さなかった。右翼席に4号3ランを突き刺すと、山崎武もバックスクリーンに12号ソロ。さらに、鉄平、丈武の連続二塁打で5点目を加え安藤をKOした。
6連打を放った選手で、1億円プレーヤーは山崎武だけ。平石は820万円、中村真は1000万円、9日に育成選手から支配下登録されたばかりの丈武はわずか440万円。1億円プレーヤーが4人並ぶ阪神打線とは対照的だが、全員が球に食らいつき得点を重ねた。
試合前日の19日、不振の阪神について野村監督は「(選手が)年俸もらい過ぎなんじゃないの?ハングリー社会だろ」と話した。平石、中村真、丈武のように、2軍からはい上がってきた選手が指揮官の言葉を“結果”で実証してみせた。
かつて3年間指揮を執った古巣・阪神は、自身が率いていた01年以来となる2ケタ借金に突入した。99年の阪神監督時代に借金25を経験しているノムさんは「阪神?頑張ってください。おれの記録をどうぞ破っちゃってください」とニヤリ。虎党には悔しすぎる毒ガスコメントを発射した。