クリネックスティシューの呪いのCMの話 ))))))))) |
そのCMは、呪われていた。
制作スタッフは次々と不幸な事故にみまわれ、怪我人や病人が続出。
カメラマンはサウナの機械の故障で焼死。
CMが放映される頃には誰も生きていなかった。
出演していた女優はノイローゼで芸能界を引退。
・気がふれて精神病院の隔離病棟に強制入院。
・原因不明の病気に罹り再起不能に。
・首を吊って自殺。
共演の子役の少年は内臓が破裂して急死した。
・撮影収録後に交通事故に遭い首が飛んで死んだ。
・三日三晩金縛りにうなされながら謎の死を遂げた。
・首がもげて死んだ。
全てそのCMに使われた曲が呪いの曲だった所為だ。
・外国では黒ミサで歌われる曲だった。
・逆回転すると悪魔を呼び出す呪いの歌になる。
・全部歌うと呪われる。死ぬ。
・ドイツ語で「死ね、死ね、みんな一人ずつ呪い殺してやる」という意味の呪いの歌。
・「呪いの日曜日」という曲だ。
そして、このCMを観ると、死ぬ。
このCMを観ると呪われる。
このCMを観て自殺者が続出。
このCMを録画して副音声で再生すると若い女性の歌声がしわがれた老婆の声に変わる。
このCMを録画して再生すると赤鬼の子どもが青鬼に変わる。
とにかくもう何が何でも呪われているのです。
それは十條キンバリー株式会社(現株式会社クレシア)のボックスティシュー、
「クリネックス ティシュー」のテレビCMにまつわる噂のお話。
放映期間は1985〜86年頃と大分古いお話なので同じティッシュ仲間の
「ネピア」や「エリエール」と思い違いをしている人がたまにいるけど「クリネックス」が正解。
ちなみに発音は『ティッシュ』ではなく、『ティシュー』らしい。
〜赤鬼編と呼ばれるバージョン〜
そもそもどんなCMだったのかというのは見てもらえば一番わかりやすいのだけれどもちょっと難しい。
わざわざ保存している人なんているのか?
何かの番組を録画したのにたまたま入ってたりはするかもしれないけど
当時の家庭におけるビデオデッキ普及率ってどの程度だったんだろう?
放映期間は恐らく1985年6月頃〜1986年頃までかな。
何故なら1985年6月21日号のTVガイドのCMギャラリーで「クリネックス ティシュー」が紹介されているから。
どんな時代だったかというと航空史上最悪の惨事と言われる日航ジャンボ機墜落で乗客乗員520人が死亡、
なんと阪神が優勝して、チェルノブイリ原子力発電所で爆発事故が発生。
日本人エイズ患者第1号を厚生省が発表、イギリスではBSE(牛海綿状脳症)が初めて公式認定された。
三原山は209年ぶりに大噴火、岡田有希子が飛び降り自殺した後、生放送の歌番組に映ったと大騒ぎに。
…既に全体的に何かに呪われてるっぽい気がしないでもない。
あ、でもチャールズ&ダイアナが来日とか明るい話題も無いこともなかったみたい。
その後結局離婚してダイアナは事故死した上に最近じゃあれは事故じゃなくって
チャールズに殺されたんじゃないかって話題になってるらしいけど。
あとはNASAのスペースシャトル「チャレンジャー」が爆発して乗員全員死亡とか…
まあそんな時代でした。
血のようなくすんだ赤い背景の空間に白いドレスの女性と全身を赤くペイントした鬼の格好をした子ども。
アカペラの女性ボーカルが流れる中ティシューと戯れる。
空中を舞うティシュー。
最後にクリネックスのロゴと男性の「クリネックス ティシューです」のナレーション。
そんな感じです。
なにぶん古いCMなので現物が入手困難。著作権とかも色々面倒らしいよ。
仕方無いのでイメージを描いてみました。
あくまでもイメージです。
どうしてもCMが観たい人は広大なウェブ上を頑張って探せばどこかに動画が転がっているかも。
静止画もどこかで見かけたことがある。
麦わらバージョンのテレカがたまにヤフーオークションに出ていることがあるので検索するとみれるかも。
◆主演女優は死んだのか
さて、『ノイローゼで引退し、気がふれて精神病院に入院し、再起不能になり首を吊って自殺した』
という散々なことになっている主演女優について。
彼女の名は松坂慶子。1952年生まれの方なので当時33歳くらい?
デビューがなんと実写のハットリ君(1967年)で、
「愛の水中花」という歌がヒットしたりした結構有名な人。
最近ではCGにより子どもになっている演出が別な意味で怖いラーメンのCMに出ていたり
ドラマでキルビルのコスプレをしていたりお元気そうです。
…死んでないじゃん!
そう、引退もしてないし、再起不能でもないし、ましてや首吊って死んでもいない。
多分精神病院に強制入院もしていないと思われる。
あえて言うなら両親に結婚を大反対されて
ワイドショーで騒がれる大騒動になったらしいけどそれ呪いじゃないし、
そもそも人の家の事情なんてほっときゃいいのに。
というわけで、主演女優呪い殺され説はデマと判断してよいかと思います。
◆その他の人は死んだのか
多分、誰も死んでないんじゃないかと思うのよね。
この噂が流行した頃、女性週刊誌やワイドショーでも取り上げられて
子役の少年に「君が死んだことになっているんだけど…」といった内容の
インタビューまでしたという情報もあり。
1986年11月25日号の「女性自身」の表紙に
「松坂慶子テレビCMに悪魔の呪いが!!」という文字がかなり大きく載っている。
残念ながら未入手なので内容は確認できません。
この頃の週刊誌なんかには結構載ってる可能性があるかも。
ちなみに『サウナで焼死したカメラマン』っていうのは
1986年4月8日に所属事務所の屋上から飛び降りて死んだ
『岡田有希子の死体写真を撮影したカメラマンが呪われて死んだ話』と混同されてる気がします。
確かにサウナで焼け死んだ新聞社のカメラマンが実在したらしいのだけれども
それが死体を撮影した人なのかどうかは断定できる資料が無いみたいよ。
まあそれはまた別な話ですね。
そういえば赤鬼役の子が死んだ理由として
「全身を赤く塗っていたために皮膚呼吸ができなくて死んだ」という説も。
既に呪いでも何でもない気がするんだけど人は皮膚で呼吸などしてません。ほとんど。
止められると死に至るほどの量の酸素を皮膚からとり入れているのなら、
逆に肺に疾患のある人は皮膚呼吸に切り替えて生きていけるんじゃないかしら。
そんなわけないじゃん。
なんでも007シリーズの「007ゴールドフィンガー」で金粉塗られて窒息死というシーンが
あったためにそんな噂が信じられるようになったらしい。
そんなトンデモネタでいいのか007。
確かに、真っパにペンキだの粉だのを塗りたくって長時間いたら発汗とか体温調節が
うまくできなくなって具合が悪くなることは無いとは言えないんでしょうけどね。
◆呪いの歌で死ぬのか
この噂の主役とも言える「呪いの曲」。
これは今もCD買えば聴くことができるよ。みんなも呪われるかどうか聴いてみよう!
曲名は「It's a fine day」
えー、全然ドイツ語じゃないんですけど。
呪いも日曜日も関係ないっぽいタイトルなんですけど。
「It's a fine day」は「Jane And Barton」というグループが1983年にCherry
Redレーベルから出した歌。
歌っているのがJaneで作詞はBarton。
でも日本版LPでは何故か「Jane」だけになっていたんだって。
Bartonは何処…?
さらに「Jane」は「Miss Jane」と表記されていることもあってもう何がなんだか。
とりあえず今なら「PILLOWS&PRAYERS’03」という
チェリーレッドレーベルの設立25周年記念のコンピレーションが入手しやすいかな。
さらに、実はこの「It's a fine day」は1992年にOPUSVというグループがカバーして全英No.1ヒットに。
そういえば、聞き覚えがあるメロディ。よくクラブなんかでかかってたみたい。
確かに私も人の車(フェイクファーが敷いてあってブラックライト搭載で
ノンストップ何とかMIXのCDがズンドコズンドコいってるような)で聴いた記憶がある。
「ダンス何とかMIX」とかのコンピレーションCDのどれかにも入っていると思われます。
OPUSVのバージョンは大分入手しやすいと思うよ。
ただし、歌っているのはKIRSTY HAWKSHAWという女の人です。
似てる気がするけどJaneじゃないの。
そして現在Janeの消息はわかりかねるけれども、KIRSTY
HAWKSHAWは健在。
もうオーパスVではないんだけどソロでアルバムを出したり活動を続けています。
死んでないよ。
というわけで、歌ってもとりあえずすぐには死なない。
歌詞は英語で、ドイツ語じゃない。作ったのはBarton。
黒ミサで使われてるってことは無いんじゃない?
「呪いの日曜日」説は多分「暗い日曜日」と混ざってる。
かつて自殺の聖歌と呼ばれた「暗い日曜日」というシャンソンは実在します。
1930年代、この歌を聴いて自殺する人が続出したことから発禁処分を受けたらしい。
確かに月曜日の朝っぱらなんかからこの曲を聴いてたら憂鬱で学校にも仕事にも
行きたくない気持ちにはなるだろうけど死ぬ気が出るかどうかは個人差でしょうな。
映画にもなりました。憂鬱な気持ちになりたい時にお薦め★
そうそう、ティシューをネピアやエリエールと間違ってる人同様、
この呪いの曲を別の曲と勘違いしている人が結構いるみたい。
特に「Suzanne Vega」の「Tom's Dinner」とまざっちゃってる人が多いよ。
インスタントコーヒーのCMとか映画の主題歌になっていたから聴けばなんとなくわかるんじゃないかな。
こっちも女性のアカペラっぽい同じメロディと韻を踏んだ詩が繰り返される曲です。
曲やら歌詞やらも公開できるとすぐわかるんだろうけどそのへんは大人の事情があるので。
なんとなくフィーリングで感じるか、自分で何とかして下さい。
「It's a fine day」が♪ラララララリーラーリラー ララララララーラーララー
って感じで
「Tom's Dinner」は♪タッタッタラタッタターラ タッタッタラタッタターラ
って感じです。全くわかりにくいと思うけど。
ここにこっそり歌詞をのっけておきます。
悪気は無いのでじゃすらっCは勘弁して下さい。
翻訳は自分でして下さい。
【it's a fine day
people open windows
they leave their houses
just a short while
they walk by the grass
they look at the sky
it's going to be a fine night tonight
it's going to be a fine day tomorrow】
「クリネックス ティシューです」
「死ね死ね死んじまえ」ではなさそうです。
ものすごい意訳して、MMR並の深読みをすれば…もしかするとそうなるかも。
でも死ね死ね団じゃないんだからさー。
そもそもそんなメッセージをCMにこめて十條キンバリーに何のメリットが?
この呪いの噂は小学生〜高校生の間で流行したらしいので
実際にティシューを購入する立場であろう主婦層への影響ってあんまりなかったのかな。
インパクトで商品を世に知らしめる戦略!にしてはちょっとティシューに呪いってミスマッチ。
◆CMを観ると死ぬのか
「このCMを観ると、死ぬ」
と言われましても死なない人はいないわけだし、
「このCMを観ると呪われる」
って、そもそも呪われている状態ってどんなのさ?
「このCMを観て自殺者が続出」
確かに1986年4月以降、十代の少年少女の自殺が続出したというデータがある。
4月に岡田有希子が飛び降り自殺を図り、それをマスコミがセンセーショナルに取り扱った所為だ。
この月だけで十代の自殺は百二十五人にのぼり(当時の厚生省調べ)
相次ぐ若者たちの自殺現象は約一年間続き、岡田有希子の愛称・ユッコにちなんだ
「ユッコシンドローム」という新語ができるほどの社会問題となったらしい。
でもCMは関係ない。
「CMを録画して副音声で再生すると若い女性の歌声がしわがれた老婆の声に変わる」
っていうのは確認出来ないけれども…ビデオテープカビてんじゃないの?
ちゃんとヘッドクリーニングしてる?
「CMを録画して再生すると赤鬼の子どもが青鬼に変わる」
…別にいいじゃんどっちでも。
◆クリネックスティシューのCMは呪われていたのか
このCMが呪われていたというのは真っ赤な嘘です。
赤鬼編だけに。
………な〜んてネ☆
Hahahahahahahahahahahaha!
It's a joke!!
It's a fine day!!!
It's going to be a fine night tonight.
It's going to be a fine day tomorrow.
ちなみにCMは床が白く光っているバージョンと床に藁が敷き詰めてあるバージョンの2種類有。
スローモーションで舞う白いティシューと赤鬼の子ども、
酸化した血のような赤黒い背景にアカペラの外国の歌。
それらを不気味だと感じる感性を持つ人達がそのCMを観て感じる不安な気持ちを
「呪われている」という言葉で説明しようとしたのかもしれない。
沢山人が死んだり、自殺が流行した時期だったということも関係していたのかも。
…そういうことにして欲しい。
だってCM観ちゃったもん。
でも、Janeの消息は現在確認出来ないし松坂慶子以外のCM関係者の行方も本当はわからない。
天使編 実は、クリネックスの怖いCMというと赤鬼編ではなく、 これよりさらに10年近く前の1977〜78年に放映されていた天使編をあげる人が少なくない。 特に呪いとか死亡とか噂になったという話はきかないけど、 小さい頃に見てトラウマになったという人多数。 映像は天使に扮した異国の少女が光りが射し込む暗い教会のようなところで ティシューと戯れるという美しいものなんだけど、これもやっぱり音楽が怖い。 アカペラの女性のコーラスでどうやらブルガリアン・ヴォイスというらしい。 姫神とチャントを足してジンギスカンで割った感じです。 このCMのために作られた曲でタイトルもずばり「クリネックス」。 「芸能山城組」というグループの「黄金燐讃楊」というアルバムに収録。 ちなみに歌詞は『クリーン』と歌ってるらしい。 作曲・編曲山城祥二がクリネックスの文字をテキトーに並べ替えたって。 このCMは第18回国際放送広告賞カテゴリー2部門最高賞、クリオ国際賞などを受賞したんだって。 凄ーい。 こっちも一応イメージ画像↓ |
『にぇーーーーにーーーにぃぃーーーーにぇーーーー ぅわっ! くりーーーぃぃーいいいーんーー くりーーーぃぃーいいいーんーいーいーいいー』 「クリネックスティシューを お使いですか」 『ぴゃっ!』 |
この「ぴゃっ!」が怖いのよ。 天使役の子はウェッブちゃん当時3歳 エンディング・ナレーションは黒沢良さん 広告会社はJIMA電通(現:DY&R電通ヤングアンドルビカム) |