子ども手当よりも保育料、給食費無料化を
これらの見通しを踏まえて、政府は昨年12月24日に「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた『中期プログラム』」を閣議決定した。同プログラムでは「中福祉中負担」の社会を実現するために、税制の抜本改革が必要だと明記。景気回復の前提条件付きながら、消費税の増税や所得税の最高税率引き上げ、消費税の社会保障目的税化や、消費税全額を国民に社会保障給付の形で還付する方針、低所得者への負担軽減策導入などを明らかにしている。そして、消費税引き上げの方針を盛り込んだ税制改正関連法案を3月27日に可決成立させた。
政府与党と対照的なのが民主党だ。医療費拡充などの大型公約を次々と打ち出す一方で、さしたる党内議論もないまま、財源を「特別会計を含む予算の抜本的な組み替え」に委ねてしまった。
しかし、無駄遣い排除による財源の捻出は未知数であり、うまくいかなければ、主要な社会保障政策は軒並み実現不能になりかねない。
社会保障財源の使い方も再考が必要だ。子ども手当は「チルドレンファースト」という民主党の理念に基づくものだが、保護者に配られた手当が子どものために使われるとは限らない。むしろ、保育園の保育料や学校給食費の無料化など、ターゲットを絞った施策のほうが「賢い支出」だといえる。それらは子ども手当の予算の3分の1もあれば実現可能だ。また、保育園や学童保育所、障害児福祉施設や児童養護施設の建設に投じるのも理にかなっている。
小泉政権下で「小さな政府」を目指した自民党は昨年末、中期プログラムで「中福祉中負担」に転じた。だが、麻生太郎首相は1月30日の参議院本会議の代表質問で、中福祉の具体的イメージを問われたものの、あいまいな答弁にとどめた。
とはいえ、財源に関しては政府与党の手だてのほうがまだ現実的だ。政治家の最大の責務は国民の説得である。民主党はそのことを認識し、財源確保の方策を再検討すべきだ。
(週刊東洋経済)
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