2200億円削減は有名無実化したが…
次に歳入に目を転じてみる。国の消費税収は10兆円余りだが、交付税として地方自治体に配られる分を除く国の取り分は7兆円強にとどまる。消費税のうちの国の取り分については、毎年度の予算総則の中で、前出の高齢者3経費に全額が充てられることが明記されているが、その「賄い率」は44%まで低下している(前ページ表)。1997年以来、消費税率が5%で据え置かれている一方、高齢者3経費は毎年、5000億〜7000億円のペースで増加を続けているためだ(09年度は基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げるという特殊事情があるため、3兆円近く増加する見通し)。
社会保障には、消費税以外の財源も投じられているが、所得税全額を投じても、社会保障関連費を賄いきれていない状態だ。例えて言えば、社会保障は「育ち盛りの子ども」でありながら、栄養不良状態になっているのだ。その原因の一つが、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(通称、「骨太方針06」)に盛り込まれた、社会保障費の自然増のうち、5年間で1兆1000億円(年換算2200億円)削減する方針だ。実際には生活保護の母子加算の段階的廃止などが実施され、母子家庭の生活困窮を引き起こした。
だが、2200億円の削減政策は頓挫した。2200億円を削りきれなくなり、有名無実化したのだ。もっとも、削減が事実上棚上げになったからといって、社会保障の水準が直ちに向上するわけでもない。
政府は昨年2月、女性労働力の確保と少子化対策の両立を狙った「新待機児童ゼロ作戦」を打ち出した。こうした少子化対策の実施に際しては、保育園受け入れ児童100万人増などの財源として、1兆5000億〜2兆4000億円が必要だと、厚生労働省は試算している。
また、高齢化の進展とともに、医療や介護サービスはさらなる拡充が必要だ。その所要額について、政府の「社会保障国民会議」は、2015年度までに保険料と公費を消費税率換算で2%程度引き上げる必要があるとしている。
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