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【社会】

海自護衛艦8隻、来月海外へ 「国防」への影響心配も

2009年6月21日 朝刊

 ソマリア沖の海賊対処、インド洋での洋上補給など、海上自衛隊の海外活動が目立っている。艦艇の交代時期となる7月には、8隻の護衛艦が海外に派遣される。有事に活動できる護衛艦の半数に当たり、本来任務の「国防」への影響を心配する声も出ている。

 「護衛艦不足」の影響は既に表れており、毎年6月、米国での訓練に派遣する護衛艦は、例年の2隻から初めて1隻に減らされた。海外に出た艦艇の穴を埋める国内部隊の負担は大きい。

 海外活動中の護衛艦は、海賊対処2隻のほか、洋上補給、遠洋航海、派米訓練で各1隻の計5隻。海賊対処と洋上補給に当たる艦艇の交代がある7月には、重複派遣となり、8隻の護衛艦が日本周辺から離れる。

 海上自衛隊は計52隻の護衛艦を保有している。修理、錬成、任務のローテーションが確立しているため、直接の任務に当たるのは3分の1だ。国防に不可欠な隻数のはずだが、次々に海外に送り出されている。

 海外派遣の影響は、インド洋の洋上補給が始まった2001年から目立つようになった。02年以降、米海軍が主催する環太平洋合同演習(リムパック)に参加する護衛艦は、それまでの8隻から4隻に半減。

 さらにイージス艦情報の漏えい事件や「あたご」の衝突事故などの不祥事が相次いだ。

 海自は昨年12月、抜本的な改革案をまとめ、問題の背景にある「多すぎる任務と人不足」の解消を打ち出したが、その直後からソマリア沖の海賊対処が始まった。

 赤星慶治海上幕僚長は「海外任務は間違いなく増えている。(国防のための)国内態勢を整えていきたい」としている。

 北朝鮮の核実験をめぐる国連決議を受けた船舶検査でも、自民党からは「護衛艦を活用すべきだ」との意見が出ている。海自の「自転車操業」状態は続きそうだ。

 

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