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日本興亜損保の保険金支払い遅延、「役員の指示」と幹部(1/2ページ)

2009年6月21日3時2分

 損害保険大手の日本興亜損害保険の役員が、収益力を高くみせるために自動車保険の保険金支払いを遅らせるよう指示した疑いが浮上し、当時の同社幹部が朝日新聞の取材に「担当常務から指示を受けた」と証言した。常務は、遅延を図る意図はなかったとしつつ「誤解を受ける発言をした」と述べており、金融庁も事情を調べ始めた。

 保険業法に基づく政令や監督基準では、事故が起きて支払いの条件を満たせば保険金を速やかに払うよう求めている。意図的な支払い遅延の指示があれば、違法になる。

 証言した幹部は、日本興亜が2月4日に開いた損害サービス部長意見交換会に出席。その場で「担当常務が収益目標の達成が厳しいと発言したうえで、保険料(収入)の落ち込みを損害調査部門でカバーしたいと述べた」という。損害調査部門は、保険金支払いを担当する。

 証言によると、常務は「(部門ごとに)1億円ずつ減らしてくれ」「とくに大口(支払い)の精査をお願いしたい」とも発言。この幹部は、収入の落ち込みを保険金の支払いを遅らせて補う指示と受け止めたという。会議には全国15カ所にある支払い部門の幹部が出席していた。

 担当常務は取材に対し「支払い遅延の指示は一切ないと認識しているが、一部に誤解を受けるような発言をしたことは反省している。軽率な発言だった」と話した。兵頭誠社長は18日の会見で「経営陣の指示で支払いを遅らせた事実はない」と述べた。

 日本興亜によると、500万円以上の大口の保険金支払額は、3月は前年比3割減少。翌4月は同8割増えた。09年3月期決算では、保険料収入から保険金支払額などを引いた正味収支残は54億円の黒字。当初目標は20億円で、3月初めには社内で「現状では何とか黒字を確保できるギリギリの状況」と報告されていた。常務は「月ごとの支払いの変動は頻繁にある」として保険金は遅れずに払われていると説明する。

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